5代目インプレッサは、今後SUBARU各車が順次採用する「次世代プラットホーム」を導入した第1弾になる。車種ラインアップは5ドアHBのスポーツと4ドアセダンのG4の2種。試乗車はスポーツである。
新型はボディがひと回り大型化し、ホイールベースは25mm延長。スリーサイズは4460×1775×1480mmだ。ホイールベースの拡大分は後席ニースペースの拡大に使われている。全幅の35mm拡大は「豊かなボリューム感を演出する」というスタイリング面の要求で決定されたという。新型のキャビン空間はゆとりが感じられる。全方位の視界がいい点は、スバル車共通の特徴だ。
試乗車のパワートレーンは、2リッターの直噴水平対向4気筒(154ps)とCVTの組み合わせ。CVTは基本的に旧型からのキャリーオーバーだが、これまで低速域で気になった「ザワザワ」というノイズはほとんど聞こえない。新型は7速マニュアルモード付き。アクセル操作に対する「ラバーバンド感」が減少したことは確かだ。
驚いた点は、新型のフットワークである。その高い完成度は「このカテゴリーのベンチマークとして君臨する」と認識してきたVWゴルフを明確に凌ぐ水準に達していた。これまで「VWゴルフこそNo.1」と思われたボディの剛性感、しなやかなサスペンションストローク、4輪と路面の確かなコンタクト感などが、インプレッサは明らかに優れている。優れた走りが、今後世界の市場で際立つ評価を獲得するのは確実だ。
一方、個人的にいま一歩と感じたのはスタイリング。全面的に刷新されているものの、情感豊かな新造形には、まだ到達していないように思えた。
(河村康彦/2016年11月号)
5代目インプレッサはSUBARUの新世代を象徴するモデル。走りと安全性の両面を大幅に引き上げる「スバル・グローバルプラットフォーム(SGP)」を初採用。ボクサーエンジンとシンメトリーAWDのコア技術が支えるパフォーマンスを一段と魅力的なものにした。日本仕様は5ドアHB(スポーツ)と、セダン(S4)の2種。2016年7月にプロトタイプが公開され、10月に正式デビューした。なおスポーツをベースにしたクロスオーバーSUVのXVは独自性を一段と高め2017年4月にデビューしている。
5代目はすべてがスバルらしく進化していた。優れた視界により、良好な取り回し性をキープしながら、ボディサイズの拡大で室内空間は広くなり、セールスポイントの安全性もアイサイト(バージョン3)の全車標準化でレベルアップ。日本車初の歩行者保護エアバッグの採用も話題を呼ぶ。そして何より高評価を集めたのはSGPがもたらす高次元のフットワーク。安定性とハンドリング、そして快適性は、このクラスの世界標準として君臨するVWゴルフを凌駕していた。エンジンは2リッター直噴と1.6リッターの2種。トランスミッションはCVT。駆動方式は4WDとFFが選べた。
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グレード名=インプレッサ・スポーツ2.0i-S(4WD)
新車時価格=7CVT 259万2000円
全長×全幅×全高=4460×1775×1480mm
車重=1400kg
エンジン=1995cc水平対向 4DOHC16V154ps/20.0kgm)
サスペンション=前ストラット/リア後・ダブルウィッシュボーン