新世代ボルボ車は、2015年に発表された2代目XC90からスタートした。新世代をうたう要因は、プラットホームやパワートレーンだけでなく、生産設備まで一新したオールニューだからである。コンパクトSUVのXC40はその最新作だ。
90/60シリーズが採用する「SPA「に対して、XC40は「CMA」と呼ぶひと回り小ぶりなボディ骨格を初採用。ボディサイズは4425×1875×1660mmになる。1.8m後半の全幅をコンパクトと表現するには無理があるが、それでもXC90やXC60と比較すると使い勝手に優れている。
スタイリングはXC40の大きな魅力。デザイナーは「XC90やXC60の縮小版ではなく、「いとこ」という立ち位置を狙った」と説明する。これまでのボルボとはひと味違うフレッシュで都会的な印象を発散する。個性的なのに親しみがわく。ボディカラーも豊富に用意され、選ぶ楽しみがある。
外観同様、魅力的な仕上がりのインテリアを実感しながら走りはじめる。これがまた好印象だった。ピッチング振動が封じ込められた優れたボディコントロール性や、軽快なハンドリングが心地いい。試乗車は大径20㌅タイヤを装着していたが、走りのマイナス面は皆無だった。しかも2リッター直4ターボ(252ps/35.7kgm)の力強さは十二分以上。アクセルを踏み込むと胸のすくダッシュを見せた。ジェントルに走るときのマナーも洗練されている。軽快な印象の走行感覚は魅力的だ。
XC40は、従来のボルボのイメージを革新する実に魅力的なクルマだった。人気が沸騰するのは間違いない。ディーラーで実車を確認する価値は十分にある。
(河村康彦/2018年6月号)
XC40は都会的なイメージを発散するクロスオーバーSUV。2017年9月、イタリア・ミラノのファッションウィークの特設会場で初公開され、日本では2018年3月にデビューした。カタログでは「XC40は、スウェーデンの革新性が生み出したコンパクトSUV。都市で生活するあなたにとって、いちばん使いやすい形にデザインしました」とアピール。メカニズム面では、ボルボの新世代小型車用CMAプラットフォームを初採用。兄貴分のXC90/XC60の単なる縮小バージョンではなく、独自の機能と個性を持たせたのが特徴だった。
安全装備も充実しており、プリクラッシュブレーキは歩行者/サイクリスト/大型動物検知機能付き、対向車の飛び出しにも対応する機能も盛り込まれた。当初のパワーユニットは全車2リッター直4ターボ。最高出力190psのT4と同252psのT5の2シリーズで、駆動方式はT4がFFと4WD、T5は4WDのみ。その後、PHEV仕様が追加され、主要モデルはマイルドHVに進化した。現在ではBEV仕様のリチャージモデルもラインアップに加わり、「2025年にBEV販売比率を50%に高め、2030年には全車のBEV化を目指す」ボルボの中心モデルになっている。
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グレード=XC40・T5・AWD・Rデザイン1stエディション
新車時価格=8SAT 559万円
全長×全幅×全高=4425×1875×1660mm
車重=1710kg
エンジン=1968cc直4DOHC16Vターボ(252ps/35.7kgm)
サスペンション=前ストラット/後マルチリンク