LBXは、レクサスのブランドホルダーである豊田章男氏の「本物を知る人が素の自分に戻れ、気負いなく乗れる高級車がほしい」という強い思いから開発されたプレミアムコンパクト。日本でも正式デビューしたLBXを、富士スピードウェイ・ショートコースで試乗した。
エクステリアは全長×全幅×全高4190×1825×1560mmと、ヤリスクロス+αといったレベルだが、サイズ以上に堂々としたスタイルを実現。ドシッと踏ん張ったスタンスは、日本伝統の「鏡餅」からインスピ―レーションを得たという。
インテリアは新世代レクサスの「TAZUNAコクピット(ステアリングからメーター、HUDへと繋がるレイアウト)」の概念を踏襲した独自デザイン。個人的にはレクサスで最も自然かつ整ったレイアウトだと感じた。着座姿勢もこだわりのひとつ。実際に座るとハッチバックに近い感覚である。リアシート/ラゲッジは必要十分の広さだが、LBXのキャラクターを考えれば満足できるレベルだろう。
パワートレーンは、LBX専用の1.5リッター直3+THSⅡ。印象は「電動車感」がかなり強め。発進時はEV走行、アクセルをかなり踏み込んでもエンジンは始動しない。エンジンが始動しても「静→動」のギャップは少ない。アクセルの全開付近では3気筒のビートが聞こえるが、軽やかなサウンドは心地いいレベル。システム出力は100kW、個人的には高速域でもう少しパンチがほしいと感じたが実用域は十分以上のパフォーマンスだと思う。
GA-B型をベースにしたプラットフォームはLBX独自設計。シャシー回りも上級モデル顔負けのアイテムが奢られる。フットワークの印象は「軽快な動きなのに重厚なフィーリング」である。直進時はタイヤの四隅配置&ワイドトレッドによる踏ん張りの高さからコンパクトモデルとは思えないドッシリ感。コーナリング時は前輪依存度が少なめでアンダーステアはほぼ顔を出さない。ドライバーの意のままの走りが可能だ。見た目に似合わずハンドリングマシンである。
乗り心地はフラットなサーキットなのでわざと縁石に乗せてチェックしてみた。入力の伝わり方やショックの抑え方などは電子制御ダンパーと錯覚するくらいしなやかな足さばきとフラットなボディコントロールだった。かなり期待できそうだ。
LBXはレクサスの中では最小モデルだが、こだわりの作り込みが魅力。見た目も走りも我慢しない本物の「小さな高級車」が誕生した。
グレード=クール
価格=THS 460万円(FF)/486万円(4WD)
全長×全幅×全高=4190×1825×1545mm
ホイールベース=2580mm
車重=1310kg(FF)/1390kg(4WD)
パワートレーン=1.5リッター直3エンジン+モーター
エンジン最高出力=67kW(91ps)/5500rpm
エンジン最大トルク=120Nm(12.2kgm)/3800-4800rpm
モーター最高出力=前69kW(94ps)/後5kW(6ps)
モーター最大トルク=前185Nm(18.9kgm)/後52Nm(5.3kgm)
タイヤサイズ=225/60R17/225/55R18