VWのBEV、ID.4は着実に進化している。上級グレードとなるProの2023年モデルの1充電当たり走行距離は613km(WLTCモード)。2022年モデルの561kmから大幅に延びた。それを確認するために、ID.4で都内と仙台を往復するという企画に参加した。
調べると、北品川から仙台までの距離は常磐道経由で355km、東北道経由で375km。20km短い常磐道で向かうことにする。
往路は2023年モデルだ。走行可能距離はそれまでの走り方が反映されるため、北品川を出発した時点では、バッテリー残量が100%で455kmと表示されていた。走り方は、とくにエコドライブを意識せず、あくまで“普通”に走り、エアコンもON。ごく普通に使ってどうなのかを確認するのが今回の主旨である。
途中、電費の表示を見ていると、ずっと6km/kWh台が出ていた。車重が2tを超えるBEVとしては上々だ。スタートから約100km走った友部SAでの数値は、電費が6.3km/kWh、バッテリー残量は79%、走行可能距離は380kmの表示。まったく問題なさそうだ。
2023年モデルは新色の設定以外に見た目の変更はなく、足回りの変更も説明はない。だが、心なしか乗り心地がよくなっているような印象を受けた。
さらに進むと、福島の帰還困難区域を通過する。年々エリアが減少しているとはいえ、放射線量の表示を目にすると、まだ震災の影響が残っていることを感じる。
いわきで一般道に下りて、クルマで川を渡ることのできることで知られる内郷白水町へ。地上高が確保されているおかげで段差や凸凹も臆せずに進んでいけた。出発からの距離は約200km。バッテリー残量は52%、電費は5.6km/kWh、走行可能距離は236kmと表示されていた。
そこからしばしワインディングを走る。ID.4はとくにスポーティさはうたっていない。とはいえVWである。後輪駆動でサスペンションも引き締まっているので、けっこう楽しめた。
再び高速にもどり、最寄りのICから目的地までは一般道を走る。到着時点での走行距離は379km、バッテリー残量は13%、走行可能距離は58kmと、ごく普通に走っても余裕を持って到着できた。高速道路の120km/h区間を走ると、ガクンと電費が落ちるBEVが少なくないところ、ID.4はそうでもないことが印象的だった。
往路は2022年モデル。いろいろ立ち寄りながら東京を目指す。常磐道を南下し、出発から約200km走った小名浜で、名物のカニピラフを食す。バッテリー残量は53%。感触としては2023年モデルと減り方に大差はない。多少エコランすれば充電せずに目的地までたどりつけなくなかった気もするが、念のため友部SAで少し充電した。新電力の充電器なら70kWh超で充電されることを確認できた。
優れたパッケージングや走行性能とともに、ID.4のProはロングドライブでもストレスを感じさせない実力の持ち主だと実感した。
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グレード=Pro
価格=648万8000円
全長×全幅×全高=4585×1850×1640mm
ホイールベース=2770mm
トレッド=フロント:1585/リア:1570mm
車重=2140kg
モーター型式=EBJ(交流同期電動機)
モーター定格出力=70kW
モーター最高出力=150kW(204ps)/4621〜8000rpm
モーター最大トルク=310BNm(31.6kgm)/0〜4621rpm
一充電走行距離=618km(WLTCモード)
交流電力量消費率=139Wh/km(WLTCモード)
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池
駆動用バッテリー総電力量=77.0kWh
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=フロント:235/50R20/リア:255/45R20+アルミ
駆動方式=RWD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m