JMS2023で発表されたマツダICONIC SPは2ローターのロータリーEVシステムを採用するという。ここで用いられる2ローター・エンジンは、MX-30 ロータリーEVに搭載されたシングルローター・エンジンの発展形と考えるのが自然。この見方をマツダの中井英二執行役員にぶつけたところ、こんな答えが返ってきた。
「そこは明確にしていませんが、2ローターだけでなく、可能性としては3ローターや4ローターも考えられます」
これはロータリー・ファンにとっていかにも夢のある話だが、ローターの数が増えればさらに燃費は悪化してCO2排出量が増える。実現性は決して高くないように思える。なのに、なぜ中井役員は3ローターや4ロータの可能性を指摘したのか?
そこまで思いを巡らせて、はっと気づいた。燃焼させても実質的にCO2を排出しないカーボンニュートラル燃料を用いれば、たとえ燃費が悪くても地球環境を害することにはならない。私がその可能性を指摘すると、中井役員はニヤリと笑ってから「カーボンニュートラル燃料なしでCO2の排出量を完全にゼロにするのは不可能に近いでしょうね」と答えたのである。
もしかすると、マツダはマルチローターの可能性を真剣に模索しているのかもしれない。未来はクルマ好きにとって、なかなか楽しそうだ。