西川淳の新型スープラ・レポート 試乗記
強いオーラを放つスタイリング
スープラへの思い入れは人一倍強い。初めてのマイカーは2ndスープラ(セリカXX)だった。エンブレムやデカール、マーカーを輸出仕様(スープラ)に換えて楽しんだ。いまでも2ndセリカXX(別個体)は所有している。
今回の復活は、ほかのモデル以上に注目していた。新型が歴代の2+2レイアウトからピュア2シーターに変身した点は、スープラ・ファンのボクからすると残念。2014年発表のコンセプトカー、トヨタFT―1に似たアグレッシブな造形もちょっぴり違和感があった。でも「ストレート6」にこだわったBMWとのコラボは大賛成。
正直なところ、思い入れが強いだけに「ニュー・スープラ」には複雑な思いを抱いていたが、太陽光のもとで初めて見た新型スープラは、ユニークなオーラを放っていた。これはこれで魅力的だと思えた。とくに前後のフェンダー回りがいい。ほかにない造形だ。これくらいアクが強くないと、いまの時代、埋没してしまう。美意識について意見できるほど、ボクはデザインセンスに自信はない。しかし新型が強いオーラを放つクルマだとは理解した。
山道で乗った結論は、「非常によくできたFRスポーツカー」だった。とくに4気筒のSZが気に入った。ボディとシャシーが2リッター/197㎰仕様のパワートレーンに勝り、足回りがベーシックな分、クラシックなスポーツカーフィールが味わえた。上位2グレードに比べてパワーは譲るが、2リッターターボはストレスなく回り、必要十分なトルクを発揮してくれた。これなら3ペダルマニュアルミッションで乗ってみたい 欧州仕様のBMW・Z4には設定されたというし......。
電子制御式可変減衰力ダンパーとアクティブデファレンシャルを装備したSZ―Rも楽しめた。旋回性に優れ、立ち上がりも鋭いため、いきなり「速い」。258㎰の最高出力は運転自慢でなくても楽しめるパフォーマンスという点で、また、GTカーとしての余裕(スープラらしさ)という点でも魅力的。お勧めグレードだ。
対して、ストレート6を積むRZには、SZ―Rとの100万円の価格差分の魅力を感じなかった。3リッター/340㎰ユニットはのびやかに回る。力も確かにある。だが、8速ATはそれを気持ちよく操るだけの制御にはなっていない(とくにマニュアル操作時)。こだわりの6気筒だったはずなのに、そう思えない点が惜しい。