<新型スープラ特集>最強RZのライバルは誰だ?

IMG_8965.JPGトヨタ・スープラRZ 価格:8SAT 690万円 3ℓ6ターボ(340㎰)搭載 パワーウエイトレシオ:4.47㎏/㎰ 0→100㎞/加速は4.3秒でクリア

ライバル1BMW Z4 M40i 

IMG_3878.JPGBMWZ4M40i 価格:7SAT 835万円 新型はスープラと共同開発 基本メカニズムは共通 相違点はボディタイプ 0→100㎞/h加速は4.5

メカニズム共通。兄弟対決

 生い立ちを知っているとはいえ、Z4を見て、スープラと兄弟関係にあると素直には受け入れ難い。BMW自身がピュアスポーツカーといいきるだけに、新型Z4の動きは俊敏そのものだ。まず極太グリップのステアリングが頼もしい。手応え確かでやや重い操舵感は、スープラとは異なる。
 直接比較をしていないので、予測でしかモノはいえない。異母兄弟を比較する意味があるのかといえば、どちらでもない。だが、気になることは間違いない。
 走りの雰囲気だけでいうと極めて似ている。Z4はオープンボディだけに、フロア関係はスープラ以上に高い剛性と強度を必要とする。
 Z4は、ビシッと引き締まった直進安定性を持つ。その極めて広いニュートラルゾーンを超えてステアリングを転舵しはじめると、同時か、気持ち舵角以上に早く動いたのでは!?というタイミングでインに吸い込まれる。非常にシャープな動きをする。だからドライバーに不安を与えないよう、操舵感が重めなのだと思う。
 Z4は箱根の、ボクがいつも走っているステージで試乗した。スープラの試乗会も箱根であれば比較もできるのだが、違った。
 2速のタイトコーナーを行くZ4。立ち上がり加速でアクセルを深く踏み込むと、オープン時は瞬間的にパワースライドを発生。安定制御機構と電子制御デファレンシャルが挙動を即時に収める。クローズド状態では全体の剛性が上がりタイヤの接地性が増すためか、何事も起きない。Z4の走りは素晴らしい。オープンとクローズド、2つの個性が融合している。

IMG_9285.JPGインパネは1025㌅ディスプレイとデジタルメーターを装備した最新BMW共通造形 ステアリング操舵フィールはスープラより重め

IMG_3927.JPG全長×全幅×全高4335×1865×1305㎜ 車重1570㎏ RZ比で全長は45㎜コンパクト 車重は50㎏重い M40iのエンジンは2997㏄直6DOHC24Vターボ 340㎰/5000rpm 500Nm/160〜4500rpm RZとスペックは同じ

※次ページでポルシェ718ケイマンを紹介

ライバル2:ポルシェ718ケイマンGTS

IMG_1499.JPGポルシェ718ケイマンGTS 価格:6MT 999万円/7SMT 10532000円 ポルシェ最速MRスポーツ ニュルブルクリンク北コースで740秒のラップタイムを記録

ベストハンドリング!! 官能性対決

 スープラが2シーターという関係で、おのずとライバルに強力な相手がひしめく。そこにはミッドシップスポーツも加わり、その代表格がポルシェである。いまやハンドリングでは911を凌ぐ存在の718ボクスター/ケイマンは、ミッドップはこうあるべき、というクセも、とがった特性もない操縦特性が高く評価できる。
 とくにクイックなステアリング特性ではないが、ドライバーの操作速度に応じて正確に自然に姿勢を変える様子は、水平対向4気筒ターボを搭載する現行718でさらに磨きがかかった。ターボトルクの盛り上がりを使いパワーオーバーステアを誘発させても、安定制御が介入したことすら感じさせずに姿勢を直進状態に戻す能力は絶品。
「ターボラグ」を感じさせない機敏なエンジンレスポンスと全力加速時の圧倒的なパフォーマンスにもほれぼれする。718ケイマンGTSの最高速度は290㎞/hに達し、0→100㎞/h加速は4.3秒でクリアする。パフォーマンスはスープラRZより一枚上手だ。
 だがボク自身は一世代前の自然吸気・水平対向6気筒と比較して、現行4気筒ターボモデルは魅力が半減したと思う。4気筒エンジンの出力特性そのものに異論はない。不満点は、いまひとつスッキリ整わないサウンドである。メカニカルノイズのたぐいまでも抑え込んだスープラRZの"魅惑の6気筒"と比較すると、チープな印象がある。スポーツカーにとって、サウンドを含む「官能性能がどれほど重要か」を改めて実感した。
 ポルシェの4気筒は微妙な立場にある。再び6気筒を望む声が大きいと聞くが、納得できる。

IMG_1657.JPGステアリングは360㎜径のスポーツ形状 操縦性はナチュラル 写真はアルカンターラとカーボン素材で構成するopインテリア

IMG_1538.JPG全長×全幅×全高4385×1800×1285㎜ 車重1430㎏ RZ比全長は5㎜長く車重は90㎏軽い 駆動方式はMR GTSのエンジンは497㏄水平対向4DOHC16Vターボ 365㎰/430Nm RZ比出力は25㎰パワフル トルクは70Nm低い

※次ページでBMW M2クーペ・コンペティションを紹介

ライバル3:BMW M2コンペティション

IMG_0463.JPGBMW・M2コンペティション 価格:6MT 876万円/7SMT 901万円 M社専用開発ストレートシックス搭載 前後とも精悍なオーバーフェンダー形状 0→100㎞/h加速は4.2秒 前後重量配分は52対48

究極FR。じゃじゃ馬対決

 初めてスープラに触れたのは、袖ケ浦フォレストレースウェイで行われたプロトタイプ試乗だった。一般公道に準じた路面の摩擦係数のため、ロードカーを評価するのに適した場所だ。ウエットの厳しい状況下でのプロトタイプ・スープラは、激しい挙動変化が起きた。
 それをコントロールしながら思い浮かんだのがBMW・M2だ。その段階でZ4は日本未発売で、「スープラの兄弟はM2ではないか」とさえ思った。
 1st・M3を知る世代は、M2に乗ると1st・M3の自由に操れる軽快さを思い出す。エンジン性能が勝っていることとシャシーのディメンションの関係がそうさせるのだ。動力性能は2.3リッターの4気筒を積んでいたM3とはまったく異なる。圧倒的に速い。M2の3リッター直6ターボの最高出力は410㎰。0→100㎞/h加速は4.1秒。とくにサーキット走行ではじゃじゃ馬ぶりを披露する。
 しかし、ハンドリングはワイドトレッドとファットなタイヤにより、抜群のロードホールディングを生む。車両安定制御のDSCをオフにすると一転。ステアリング操作でインを向いたノーズに合わせてアクセルを早く深く踏み込むと、駆動トルクが勝るものの、アンダーステアにはならない見事な特性が堪能できる。後輪駆動ならではのパワーオーバーステアを披露しつつ、カウンターステアとアクセルコントロールで姿勢を収束させるのだが、その挙動変化は素早く、まさにじゃじゃ馬だ。
 FRの古典的特性ではあるが、その味を知る者にとっては懐かしくも楽しい。洗練のスープラRZ、味わいのM2といえる。

IMG_0557.JPG本革巻きスポーツステアリングに走行モード切り替えMボタン装着 8.3インチワイドモニターHDDナビ標準 操縦性はダイナミック

IMG_0481.JPG全長×全幅×全高4475×1855×1410㎜ 車重1610㎏ RZ比全長は95㎜長く車重は90㎏重い 駆動方式:FR エンジンは2979㏄直6DOHC24Vターボ 410㎰/6250rpm 550Nm/2350〜5230rpm RZ比70㎰/50Nmパワフル

※次ページでアルピーヌA110を紹介

ライバル4:アルピーヌA110ピュア

IMG_5244.JPGアルピーヌA110ピュア 価格:7SMT 790万円 新型の駆動方式はMR 前後重量配分は44対56 重心高405㎜ 最高速度は250㎞/h(リミッター作動) 0→400m加速は12.3秒でクリア

アイデンティティ継承。復活車対決

 ライバルとしてこのクルマを指名したのは、実は大きな過ちかもしれない。それほどA110は強力な存在だ。
 スープラ同様に「復活したピュアスポーツ」だが、新生A110は、往年のアルピーヌを現代の技術でイメージもそのままに作り直した理想型でもある。
 従来はRR(リアエンジン/リア駆動)だったレイアウトは、MR(ミッドシップエンジン/リア駆動)に変わった。新型は、ポルシェ・ケイマンをも脅かす走りの性能と、フランス車らしいエレガンスを放つ。センスのいい内装も見事。
 質実剛健、質感の高さはさすがだが、「お洒落か?」と聞かれるとそうは思えないスープラのデザインとは明らかに異なる。
 ひし形キルティングのシート地に色使いの細やかさは、それだけでも女性を虜にしてしまう。もちろんドライバーはお洒落感覚とともに、ジャストサイズのコクピットと、クルマ全体の取り回し性のよさを気に入るに違いない。
 エンジンは252㎰/320Nmを誇る1.8リッターの直列4気筒ターボ。7速DCTは自動変速も、パドルを引いてのマニュアルシフトも自在。スポーツモードを選択すれば、変速時とアクセルオフ時のアフターファイアが気分を盛り上げる。
 操縦性は、ステアリングのクイックな応答性と、強い横Gを受けても左右にぶれないリアの接地安定性と、高い駆動力が印象的。フォーミュラマシンのような俊敏なフットワークに魅せられる。軽快そのものの身のこなしは現状、クラス最強。格上のスーパースポーツ系を相手にしても勝ると思えるポテンシャルの持ち主だ。

IMG_5164.JPG視界はワイド ステアリングは小径Dシェイプ 走行モードの切り替えはステアリング部の赤いボタンで行う ミッションは7速DCT

IMG_5282.JPG全長×全幅×全高4205×1800×1250㎜ 車重1110㎏ 主要ボディパネルはアルミ製 RZ比全長は175㎜コンパクト 車重は410㎏軽い エンジンは1788㏄直4DOHC16Vターボ 252㎰/6000rpm 320Nm/2000rpm パワーウエイトレシオは4・40㎏/㎰ RZ比88㎰/180Nm非力

※スペックはすべて20196月現在

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