レクサスRC Fを迎え撃つ4台の刺客たち

IMG_0231.JPGレクサスRCFパフォーマンスパッケージ 価格:8SAT 1404万円 パフォーマンスパッケージは「限界性能を極限まで高めたスポーツカー」をテーマに開発 CFRP製アイテムの積極採用で標準車比50㎏軽量化

ライバル1:日産GT-Rプレミアムエディション

IMG_5964.JPG日産GTRプレミアムエディション 価格:6SMT 12105720円 2020年モデルはターボを効率化しミッションとブレーキをリファイン 写真は2019年モデル

速さで圧倒。フィーリング勝負

 GT―Rは、レクサスRCFと比較すると、「スピード性能で圧勝、エモーショナルという点で後塵を拝す」と表現できる。強大なエンジン出力を無駄なく駆動力に変換するため、4本のタイヤにしっかり荷重をかけることが不可欠......というのがGT―Rの思想。
 GT―Rはフロントにエンジン、リアにトランスミッションを置くトランスアクスル方式によって前後重量配分を適正化したうえで、2本のプロペラシャフトを用いる凝ったレイアウトを採用して4WD化。0→100㎞/h加速が3秒を切るという、まさに「スーパーカー」のパフォーマンスを実現した。最高速度は300㎞/hに到達する。GT―Rの、妥協を一切排除して速さを追求する姿勢は、まさに世界最高峰だ。
 スピード性能は超一級だが、五感を刺激する官能性はいまひとつ。570㎰/637Nmのハイスペックを誇るツインターボ付きの3.8ℓ・V型6気筒エンジンは、「高出力を発することこそがアピールポイント」という印象。
 5ℓという大排気量の自然吸気V8(481㎰/533Nm)を高回転まで回すことで得られる、RCFの刺激的で迫力あふれるサウンドアピールはない。どうやっても差をつけられる。わずかなアクセル操作に即応するレスポンスといった点でも、RCFに一日の長がある。
 とにもかくにも、「速ければ善」──GT―Rには、どうしてもそうしたスタンスが感じられる。RCFは、スピード性能ではGT―Rにかなわない。だが、サウンドを含めたフィーリング面でドライバーを魅了する。

IMG_5858.JPG年次改良で高速直進安定性を改善 室内の静粛性と上質さも高まった 写真はファッショナブルインテリア(op54万円) 乗り心地は固め

IMG_5986.JPG全長×全幅×全高4710×1895×1370㎜ 車重1770㎏ エンジンは3799㏄・V6DOHC24Vツインターボ 570㎰/6800rpm 637Nm/3300〜5800rpm RCF比89㎰/102Nmパワフル

※次ページでBMW・M4クーペ・コンペティションを紹介

ライバル2:BMWM4クーペ・コンペティション

IMG_7712.JPGBMW・M4クーペ・コンペティション 価格:6MT 1256万円/7SMT 1307万円 コンペティションは最高出力を標準仕様の431㎰から450㎰にアップ 20㌅アルミ装着

珠玉の直6。走りの歓び勝負

 M4クーペ・コンペティションは、450㎰の最高出力を7000rpmで発生。550Nmの最大トルクを2350~5500rpmの幅広い領域で生み出す。エンジンは直列6気筒とターボチャージャーを組み合わせている。基本構成は大きく異なるが、RCF(481㎰/535Nm)とスペックが比較的接近していることもあり、レクサス開発陣が最も気にしているのはM4かもしれない。
 フィーリングが大味になりがちなターボ付きスポーツエンジンにあって、M4の心臓部は過給器がアドオンされることによるネガティブ面をほとんど意識させない。
 エンジンに火が入った瞬間、重低音サウンドが耳に届く。これはスポーツ派ドライバーを間違いなく感動させてくれる。低回転域からよどみなくわき上がるトルク感は、エンジン回転数が上昇しても決して頭打ちにならない。むしろ高回転域で、見事なほどパワーが伸びる。実に刺激的だ。排気音に過剰に頼らない澄みきったエンジン音も魅力。M4は、決して荒々しさを伴うことのない直列6気筒エンジンならではのバランスのよさが存分に味わえる。
 駆動方式は、RCF同様、前輪が駆動系から切り離されたFRレイアウト。自然なステアリングフィールは、もちろんM4の大きな美点。4WD化されたとしたら、もっと強力なトラクション能力を手にする一方で、爽快で自在なハンドリング感覚に少しマイナスが生じるかもしれない。
 M4のパフォーマンスとともに、「走る歓び」を追求する姿勢は、RCFのクルマ作りの思想とオーバーラップする。

IMG_5267.JPG操作性に優れたMスポーツステアリング装備 操舵フィールはやや重め 内装の加飾パネルはカーボンファイバー 6速MTと7速DCT設定

IMG_7780.JPG全長×全幅×全高4685×1870×1390㎜ 車重1640㎏ エンジンは2979㏄直6DOHC24Vツインターボ 450㎰/7000rpm 550Nm/2350〜5500rpm RCF比出力はマイナス31㎰ トルクは15Nm太い

※次ページでアウディRS5クーペを紹介

ライバル3:アウディRS5クーペ

IMG_5999.JPGアウディRS5クーペ 価格:8SAT 1263万円 2ndモデルはパワーユニットを4.2ℓV8450㎰/430Nm)から2.9ℓV6ツインターボ(450㎰/600Nm)に変更

V8 vs V6ターボ。エンジン勝負

 新型RS5は、エンジンを旧型の大排気量自然吸気V8エンジンからターボ付きで排気量を抑えたV6エンジンへと変更した。かつての4.2リッターV8ユニットに代わって搭載されたのは、2.9リッターのツインターボ付きV6だ。スペックは450㎰/600Nm。最高出力は従来と共通、最大トルクは170Nmもアップした。そして車両重量は70㎏ほど軽くなった(とはいえ、1760㎏)。すべて「いいことずくめ!」というのが、開発陣の主張だ。
 なるほど、わずか1900rpmから発せられる600Nmというトルクは圧巻。ターボチャージャーのレスポンスはシャープで、低回転域からでも即座に強い加速力を得ることができる。0→100㎞/h加速は3.9秒でクリアする。
 一方で、そうしたエンジンのキャラクターゆえ、もはやとくに高回転域まで引っ張る理由がないのも事実。当然、エンジンサウンドを耳にする機会も減少した。「スポーツエンジン」として、このあたりをどう受け取るかによって、評価は変わる。
「V8エンジン時代」とは大きく変わった走りのキャラクターとは別に、相変わらずRS5の大きな見どころがハンドリングとエレガントなスタイリング。
 自在なハンドリングは、強靭な足回りと後輪側にトルクバイアスを置く4WDシステム、リア左右輪のトルク配分を制御するスポーツデファレンシャルが生み出した。
 ルックスは、RCFと比較して大人っぽい印象。クワトロブリスターと称されるワイドなフェンダーによって精悍な印象をアピールする。

IMG_6173.JPGステアリングホイールはアルカンターラ巻きDシェイプ インパネはレザー仕上げ バング&オルフセン・サウンドシステム標準 各部上質

IMG_6019.JPG全長×全幅×全高4725×1860×1365㎜ 車重1760㎏ エンジンは2893㏄・V6DOHC24Vツインターボ 450㎰/5700〜6700rpm 600Nm/1900〜5000rpm RCF比出力はマイナス31㎰ トルクは65Nmパワフル

※次ページでメルセデスAMG・C43クーペを紹介

ライバル4:メルセデスAMGC434マチック・クーペ

IMG_2162.JPGメルセデスAMG・C43・4マチック・クーペ 価格:9SATC 969万円 CクラスのAMGは3ℓ・V6(390ps)のC43と4ℓ・V8(476〜510㎰)のC63を設定

スポーツ vs GT。日常性勝負

C43・4マチックは、サーキット走行も念頭に置いたAMGのトップモデルに対して、高い快適性にフォーカスをした新しいコンセプトによるスポーツモデル。2基のターボチャージャーが与えられたV6エンジンは、3リッターながら390㎰の最高出力と520Nmという最大トルクを発揮する。
 動力性能はAMGの名に恥じない。十分に刺激的だ。RCFと比較するとさすがに見劣りするが、少なくともサーキットで競わない限り、ハイウェイクルーズからワインディングランまで、どのような場面でも強力な加速が瞬時に味わえる。
 同時に、たとえ天候が悪化しても、優れたパフォーマンスを高い安心感とともに味わえる。これは4WDシステムの採用あってこそのメリットだ。それでいながら、後輪駆動モデルと変わらぬハンドリング感覚が得られるのは、前後31対69と、後輪側にバイアスが与えられた駆動システムだからだ。
 一方、Cクラス本来の使い勝手のよさをわずかにスポイルするのが、駆動系に変更が加えられたことで前輪の切れ角が小さくなり、最小回転半径が5.8mと大幅に大きくなったこと。RCFの5.3mとは大差がつく。
 快適性を失うことなくスピード性能とオールラウンドぶりに磨きをかけたC43・4マチックは、硬派なRCFとは異なる「オールマイティなクーペ」というキャラクター。ピュアにスポーツドライビングを楽しむならRCFだが、C43・4マチックは、ふだん乗りで魅力が光る。ボディタイプはクーペのほか、セダン、ワゴン、カブリオレが選べる。

IMG_2194.JPGインパネはCクラス共通形状 各部レザー仕上げ センターモニタ--は10・25インチ 安全・運転支援装備レーダーセーフティパッケージ標準

IMG_2182.JPG全長×全幅×全高4700×1810×1410㎜ 車重1720㎏ エンジンは2996㏄・V6DOHC24Vツインターボ 390㎰/6100rpm 520Nm/2500〜5000rpm RCF比91㎰/25Nm下回る

※スペックはすべて20196月現在

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