米国ラスベガスで開催されたCES2024において、ソニー・ホンダ モビリティがさらなる進化を果たした「アフィーラ(AFEELA)プロトタイプ」を公開。「人とモビリティの関係を再定義する」をテーマに、「ADASにおけるAI活用」「創造的なエンタテインメント空間としてのモビリティ」という2つの観点で内容を進捗。Microsoftとの連携も発表
ソニー・ホンダ モビリティ(SHM)は2024年1月8日(現地時間)、米国ネバダ州ラスベガスで開催された家電エレクトロニクスショー「CES2024」のプレスカンファレンスにおいて、進化したEVモデル「アフィーラ(AFEELA)プロトタイプ」を公開した。
SHMは高付加価値型の電気自動車の開発および販売と、モビリティ向けサービスの提供を目的に2022年6月に設立したソニーとホンダの合弁会社で、「多様な知で革新を追求し、人を動かす。」という企業パーパスのもと、最先端の技術と感性を掛け合わせて“Mobility Tech Company”としてモビリティの革新を追求している。
今回の会場では、まずホンダの川西泉代表取締役社長兼COOが登壇し、プレイステーションのコントローラーを使ってアップデート版のアフィーラ プロトタイプをステージに招き入れる。そして「人とモビリティの関係を再定義する」をテーマに、「ADASにおけるAI活用」「創造的なエンタテインメント空間としてのモビリティ」という2つの観点で活動の進捗をプレゼンテーション。また、パワートレインには最高出力180kWを発生する前後のモーターと、総電力量91kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載してAWDを構成していることを明らかにした。
バージョンアップの内容としては、ソフトウェアによって進化する新世代のクルマのプラットフォーム「Software Defined Vehicle(SDV)」を採用するとともに、イメージセンサーやLiDAR、レーダーといったセンシングデバイスを改良して、AI技術を活用したAD/ADASを目指す。さらに、Perception(認識)にVision Transformerを、Path Planning(経路推定)に機械学習を使用。同時に、安心安全のために冗長性のあるシステムを構築した。また、本システムにおいてはQualcomm Technologiesの車載用高性能SoCを採用。センシングデバイスの性能向上に即して、フロントマスクやリアセクション下部などの一部デザインも変更した。
車両データとセンシングデータを活用した車内における新しいユーザーエクスペリエンスの創出に向け、Epic Gamesと仮想空間を活用した新しいエンタテインメントやゲーミング機能を協業して開発している点も、バージョンアップのトピックだ。車両、歩行者、地形、天候など、様々な外的環境条件をシミュレートし、AR技術と組み合わせることで、ユーザーは安心・安全の上で没入感のある体験を楽しむことが可能。さらに、インターネット上のメタデータを重畳した3Dナビゲーションマップを提案し、マップデータを利用した新しいエンタテインメントやゲーミング機能の創出を目指す。センシングデータや車両データを使用したこれらの機能を実現するために、アフィーラではEpic Gamesのゲームエンジン Unreal Engine 5の最新バージョン(Unreal Engine 5.3)を使用。今後もアップデートに対応していくという。
多様な知との共創とそれを可能とする場づくりを創出する、モビリティ開発環境のオープン化(仮称:AFEELA共創プログラム)の進捗状況も注目ポイント。会場では、Microsoftと連携し、Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用した対話型パーソナルエージェントの開発に取り組むことがアナウンスされる。この場では、マイクロソフト コーポレーションでデータやAI、デジタルアプリケーション、プロダクトマーケティングを担当するジェシカ・ホーク コーポレートバイスプレジデントも登壇。生成AIが人々のクリエイティビティを増幅し、クリエイターやデザイナーが車内体験を変革する機会を創出する新しいキャンバスであることを強調した。
さらにSHMは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの100%出資によるソフトウェア開発会社のポリフォニー・デジタルが、アフィーラの車両開発に参画すると発表。ポリフォニー・デジタルの持つシミュレーション技術と、実車開発をしているSHMとで主に人の感性・官能領域でバーチャルとリアルを融合させた車両開発を行っていくという。
なお、市販版のアフィーラは2025年から先行受注を開始し、2026年春に米国市場で、2026年後半に日本市場でデリバリーを開始する予定である。