ルノーがジュネーブ国際モーターショーにおいてコンパクトEVの「ルノー 5 E-TECH エレクトリック」を発表。往年のルノー5のアイコンをモチーフに、内外装を現代的な解釈で“レトロフューチャー”。パワートレインには70kW/90kW/110kWの3種のモーターと40kWh/52kWhの2種のリチウムイオンバッテリーをラインアップ。本国での車両価格は2万5000ユーロ~に設定
仏ルノーは2024年2月26日(現地時間)、ジュネーブ国際モーターショーにおいて新世代コンパクトEVの「ルノー 5 E-TECH エレクトリック(Renault 5 E-Tech electric)」を発表した。
ルノー 5 E-TECH エレクトリックは、往年のルノー5(サンク)のアイコンをモチーフに、内外装を現代的な解釈で“レトロフューチャー”したことが特徴である。モチーフとなったルノー5は、1972年1月に従来の4(キャトル)に代わる新世代小型車として市場デビュー。ボディ形状は2ドア+リアゲートの3ドアハッチバックで、それまでのフランス製コンパクトカーの定番だった4ドア+リアゲートから一変し、またフォルム自体は台形を基本としたシンプルなもので、前後のバンパーにはいち早く樹脂材を用いる。角形のヘッドライトや縦長のリアコンビネーションランプなども斬新な印象を与えた。内装デザインも近代化され、独立したメーターパネルやセンターパネル、クッション厚とサポート性を高めたシートなどを装備する。市場に放たれた5は、たちまち大ヒットモデルに昇華し、フランスのみならずヨーロッパ市場でのベストセラーカーへと発展した。この名車の5が、電気自動車として復活することとなったのである。
エクステリアは往年の5のアイコンである角形基調のヘッドライトや縦長リアコンビネーションランプをLED化して配するとともに、安定感のある台形フォルムやがっしりとしたCピラー、カラーのルーフトリム、ボンネットのベントグリルなどを最新のアレンジの再現。ベントグリルは充電インジケーターとして活用され、またLEDヘッドライトにはドライバーが近づいた際にウインクするように点灯するウェルカム機構を組み込む。一方、ボディ形状は4ドアハッチバックで仕立て、ボディサイズは全長3920×全幅1770×全高1500mm/ホイールベース2540mmに設定。ボディ色はイメージカラーのポップイエローのほか、ポップグリーン、ミッドナイトブルー、パールホワイト、ノアールエトワール(スターリーブラック)という計5タイプをラインアップした。
内包するインテリアは、往年の5を彷彿とさせる2層のパッド入りダッシュボードや角を丸めた長方形のメータークラスター、サイドのボルスターを張り出たせたフロントシートなどが目を惹く。一方、メーター自体には10.1インチまたは7インチのデジタルディスプレイを配備。また、センター部には10インチのマルチメディアディスプレイを組み込む。さらに、表示がトリコロールや数字の5、往年の5のイラストおよび1972の数字などに切り替わるe-popシフターを装備した。ラゲッジルームについてはVDA値で277リットル、床下と合わせて326リットルと実用的な容量を確保したうえで、後席シートバックに分割可倒機構を内蔵する。内装の仕様としては、デニム張り(Denim upholstery)のテクノバージョンと、イエローのカラーリングを随所に配したアイコニックサンクバージョンを用意した。
基本骨格に関しては、従来のCMF-B EVに改良を施したAmpR Smallプラットフォームを採用。フロントサスペンションなど一部パーツにクリオ用をリセッティングして流用するなど、可能な限りコストの削減を図る。そして、肝心のパワートレインには70kW/215Nm、90kW/225Nm、110kW/245Nmの3種のモーターと、アーバンレンジ40kWh、コンフォートレンジ52kWhの2種のリチウムイオンバッテリーを設定。航続距離は40kWhバッテリーで欧州WLTPモード300km、52kWhバッテリーで同モード400kmを実現する。性能面では、110kWモーター+52kWhバッテリーで0→100km/h加速8秒、最高速度150km/hを成し遂げた。一方、充電については11WのACと最大100kWのDCに対応。DC充電では15%から80%までの充電を約30分でこなすという。
なお、ルノー 5 E-TECH エレクトリックの本国での車両価格は2万5000ユーロ(約406万円)~に設定。また、ルノー・ジャポンは5 E-TECH エレクトリックの日本導入を検討中とアナウンスしている。