ポルシェがバージョンアップした高性能EVスポーツモデル「タイカン」の新グレード「ターボGT」の日本における予約受注を開始。ローンチコントロール使用時のオーバーブーストパワーは760kW(1034ps)を発生し、航続距離は欧州WLTPモードで最大555kmを実現。エアロダイナミクスと軽量設計をさらに追求したターボGTヴァイザッハパッケージもラインアップ
ポルシェ ジャパンは2024年3月12日、フル電動EVスポーツモデルのタイカン(Taycan)の高性能バージョン「ターボGT(Turbo GT)」と、エアロダイナミクスおよび軽量設計をさらに追求した「ターボGTヴァイザッハパッケージ(Turbo GT Weissach package)」を設定し、同日より予約受注を開始した。
車両価格は以下の通り。
タイカン ターボGT:3132万円
タイカン ターボGTヴァイザッハパッケージ:3132万円
「史上最もパワフルな市販ポルシェ」を謳うタイカン ターボGTおよびターボGTヴァイザッハパッケージは、パワートレインに総出力580kW(ローンチコントロール使用時760kW/1340Nm)を発生する前後モーターと強力なパルスインバーター、パフォーマンスバッテリープラスを搭載。最高出力測定法に従うと2秒間で最大815kW(1108ps)を発揮する。追越時に120kWの出力アップが可能となるアタックモードも組み込んだ。一方、リアアクスルに配備するパルスインバーターは半導体材料として炭化ケイ素を使用し、PWRのスイッチング損失を大幅に低減するとともに、より高いスイッチング周波数の設定が可能。また、最大電流は既存のターボSの600Aを上回る900Aを確保した。合わせて、フロントアクスルに配したシングルスピードギアボックスとリアアクスルに配した2速ギアボックスの変速比と堅牢性も改善する。性能面では、ターボGTが最高速度290km/h、0→100km/h加速2.3秒、ターボGTヴァイザッハパッケージが同305km/h、2.2秒を達成。ターボGTの一充電航続距離は、欧州WLTPモードで最大555kmを実現した。
シャシー面については、GT専用チューニングを施したPASMを備えるポルシェアクティブライドサスペンションを含むダイナミクスパッケージを標準装備したことが訴求点。ダイナミックな走行条件において、サスペンションがホイール荷重をバランスよく配分して、路面とのほぼ完璧な接続を成し遂げる。また、パッケージにはスペシャルパフォーマンスサマータイヤとターボGT 21インチ鍛造軽量ホイールもラインアップ。ターボGT専用ホイールはスポークにリリーフポケットを配備し、軽量化と同時にブレーキの効果的な換気を促す。さらに、ブレーキ自体にはポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)をベースにブレーキディスクチャンバーとブレーキキャリパーハウジングの設計を変更して2kg以上の軽量化を図った軽量セラミックブレーキを装着。ブレーキキャリパーは、専用のヴィクトリーゴールドで塗装した。
基本骨格に関しては、Bピラートリムやドアミラーのアッパーシェル、サイドスカートのインレイなどにカーボンファイバー材を使用し、タイカン ターボSと比べて最大75kg軽量化した専用ボディを採用。合わせて、CFRP製フルバケットシートや軽量ラゲッジコンパートメントの採用、テールゲートの電動ソフトクローズ機能の削除などを実施して、さらなる軽量化を果たしている。
エクステリアについては、エアロブレードを配したフロントエンド、フロントスポイラーおよびフロントディフューザー、ハイグロスカーボン織り仕上げのガーニーフラップを追加したアダプティブリアスポイラーなどを採用して、エアロダイナミクス性能をより高めたことが注目ポイント。ヘッドライトはマトリックスLEDヘッドライトを標準、HDマトリックスLEDヘッドライトをオプションで設定する。また、アクセントカラーにターボナイトを配するとともに、フロントボンネットと軽量アロイホイールのハブカバーにポルシェカラークレストを、リアリッドにマットブラック塗装の“Turbo GT”ロゴをあしらった。ボディカラーは新色のペールブルーメタリックとパープルスカイメタリックを含む6色をラインアップするほか、ポルシェエクスクルーシブマニュファクチャーが提供する広範なペイントトゥサンプルプログラムを用意している。
さらに、ターボGTヴァイザッハパッケージにはアンダーボディのエアディフレクターエレメントと専用設計のフロントディフューザー、ウイングサポートを固定したカーボン織仕上げの固定式リアウイングなどを特別装備。ダウンフォースの総量は最大220kgを確保する。また、リアウイングの両サイドにはヴァイザッハパッケージの専用ロゴを貼付。ヴォルトブルー、ブラック、マットブラックのストライプラップも選択可能とした。
内包するインテリアは、ブラックのエクステンデッドレザーアイテム付Race-Texを使用したGTインテリアパッケージやカーボン織り仕上げ(ハイグロス)の軽量フルバケットシートなどを標準装備したことが特徴。フロントアダプティブスポーツシートプラス(18way電動調整機能とメモリーパッケージ付)は、追加料金なしのオプションで選択できる。フロントヘッドレストには“Turbo GT”ロゴが刺繍され、クライメートコントロールパネルの下には各モデルのロゴ入りバッジを装備。ヴォルトブルーまたはGTシルバーのコントラストカラーを基調としたエクスクルーシブインテリア装備もオプションで用意する。また、GTスポーツステアリングホイールはリム部をブラックのRace-Texで覆い、12時位置にマーキングを付与。タイカン ターボSと同様、スポーツクロノパッケージも標準で組み込んでいる。
一方、ターボGTヴァイザッハパッケージはRace-Texインテリアを採用したうえで、サーキット走行に必要のない装備をすべて取り外すことで、さらなる軽量化を実現する。運転席および助手席シートシェルの後部には、通常のリアシートシステムに代わって収納コンパートメントを備えたテーラーメイド高品質軽量カーボンクラッディングを採用。また、メーターパネルに通常装備されるスポーツクロノパッケージのアナログ時計や、フットマットおよびトランクマットなども削除し、合わせて断熱材の使用量も低減する。同時に、軽量化に寄与する特別な防音断熱ガラスとサウンドパッケージプラスを装備した。さらに、助手席側にはヴァイザッハパッケージのロゴ入りバッジを貼付。オプションとして、ヴォルトブルーとGTシルバーのインテリアパッケージも設定した。
なお、独ポルシェAGはタイカン ターボGTの発売前に、プロトタイプを駆ってドイツのニュルブルクリンクのノルドシュライフェと米国のウェザーテックレースウェイ・ラグナセカにおいてタイムアタックを実施。ニュルブルクリンクではタイカン ターボSパフォーマンスパッケージで記録したレコードラップを26秒も上回り、しかも現在の市販電気自動車の最速記録となる7分07秒551のラップタイムを、ラグナセカでは同じく現在の市販電気自動車の最速記録となる1分27秒87のラップタイムを達成している。