メルセデスAMG独自開発の「メルセデスAMG GTクーペ」が第2世代に移行。専用開発の新ボディシェルを採用したうえで、従来よりホイールベースを延長して2+2のシートレイアウトを新設定。パワートレインには最高出力585ps/最大トルク800Nmを発生する“M177”4リットルV8ツインターボエンジンを搭載。駆動システムにはメルセデスAMG GTクーペ初のAMG 4MATIC+を導入
メルセデス・ベンツ日本は2024年4月2日、メルセデスAMGのトップハイパフォーマンスモデルとなる新型メルセデスAMG GTクーペ(C192)を日本で発表し、同日より予約注文の受付を開始した。グレードは「メルセデスAMG GT 63 4MATIC+クーペ」のみをラインアップし、車両価格は2750万円に設定。ユーザーへの納車は本年4月下旬頃からを予定している。
今回の全面改良で第2世代に移行するメルセデスAMG完全独自開発の新型メルセデスAMG GTクーペは、極めてダイナミックな走行性能と卓越したスポーツ性を備えると同時に、優れた快適性も兼ね備えた新世代のパフォーマンスラグジュアリーモデルに仕立てたことが特徴である。
まずエクステリアは、近年のメルセデス・ベンツのデザイン基本思想「Sensual Purity(センシュアル ピュリティ)」とメルセデスAMGのDNAを高次元で融合させるとともに新しい2+2レイアウトコンセプトを採用して、新次元のパフォーマンスクーペを体現したことが訴求点。基本フォルムはロングホイールベース、ショートオーバーハング、大きく傾斜したフロントウィンドウ、ロングボンネット、後方にオフセットしたキャビンによって、メルセデスAMG GTクーペならではのダイナミックなプロポーションを形成する。各部のデザインにもこだわり、フロントマスクは立体形状の縦桟基調グリルを低い位置に設置したうえで、ワイドな視覚効果と空力性能に優れたフロントエプロン、力強いパワードームを配したロングボンネット、3つのLEDのドットが印象的なデイタイムランニングライトを組み込んだデジタルライトなどを採用して、先進的かつオリジナリティ満点の表情を演出。一方でサイドビューは、際立つショルダーラインにエッジのない面の抑揚による美しいパネル面、力強く張り出した前後フェンダー、シームレスなドアハンドルなどによって、エレガンスとスポーティネスを高度に融合したフォルムに仕立てる。足もとには前10.5J×21/後11.0J×21鍛造AMGアルミホイールのRWEを標準で、同サイズの鍛造AMGアルミホイールのRWLをオプションで装着し、タイヤには前295/30/後305/30R21サイズを組み合わせた。そしてリアセクションは、ワイド&ローのスタンスを基調に3つの立体的なグラフィックが目を惹くLEDコンビネーションランプやデュアルエグゾーストエンドを一体化した新造形のハイグロスブラック塗装ディフューザーなどを配して、存在感あふれる後ろ姿を具現化する。さらに、フロントグリルとフロントエプロンのエアインテーク内にはエアパネルを、フロント下部には電動で開閉するアクティブエアロダイナミクスシステムを、リア後端には5段階で可変するリトラクタブルリアスポイラーを装備して、空力性能を最大限に高めた。ボディサイズは従来のベースグレード比で185mm長く、45mm幅広く、65mm高く、ホイールベースが70mm長い全長4730×全幅1985×全高1355mm/ホイールベース2700mmに設定している。
インテリアに関しては、AMGハイパフォーマンスカーのDNAを取り入れながら、高品質な素材やクラフトマンシップ、そして先進の機能装備を導入した、アナログとデジタルを高度に融合する“ハイパーアナログ”デザインを採用したことがトピックだ。航空機から着想を得た左右対称のダッシュボードは力強いウイング形状にデザインし、タービンノズル型のエアアウトレットとともにスポーティな印象を創出。また、ワイドなセンターコンソール中央部にはNACAダクトデザインを採用して、モータースポーツのDNAを受け継いでいることを強調する。そして、様々な情報を見やすく表示する11.9インチの縦型メディアディスプレイはNACAダクトデザインとシームレスに融合。さらに、12.3インチのデジタルコックピットディスプレイは立体的なバイザーに巧みに収められ、合わせて大胆に絞り込んだグリップやフラットボトム形状、大型のアルミニウム製パドルシフト、AMGドライブコントロールスイッチを配したツインスポークデザインのAMGパフォーマンスステアリングを配備して、ハイパーアナログなコックピットを形成した。機能装備の面では、最新のMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザーエクスペリエンス)やBurmesterサラウンドサウンドシステム、アンビエントライト、ワイヤレスチャージングなどを標準で採用し、オプションとしてMBUXエンターテインメントパッケージやアドバンスドコネクティビティプラス、Burmesterハイエンド3Dサラウンドサウンドシステムなどを用意。インテリアの仕様としては、ナッパレザー仕上げのブラッククロームトリムを標準で、AMGカーボンファイバートリムをオプションで設定する。また、内装色はブラック、シエナブラウン/ブラック、レッドペッパー/ブラック、セージグレー/ブラック、トリュフブラウン/ブラック、クリスタルホワイト/ブラック、マキアートベージュ/チタニウムグレー、イエローステッチ入りブラック、レッドステッチ入りブラックをラインアップした。
シートについては、レイヤーや折り目を巧みに組み合わせ、ライトでスリムなデザインを採用したAMG専用のスポーツシート(ナッパレザー)を標準装備。シートベンチレーターおよびシートヒーター(運転席・助手席)やマルチコントロールシートバック(運転席・助手席)も内蔵する。シートカラーは標準内装で4色、オプション内装(ダイヤモンドステッチ入)で3色から選択可能だ。また、ヘッドレスト一体型でレーシーなデザインのAMGパフォーマンスシートをオプション設定。シート素材とカラーはナッパレザー内装で7色(ダイヤモンドステッチ入含む)、ナッパレザー/MICROCUT内装で2色から選択できる。一方、新型の特徴である新設定のリアシートはオプションで選択可能。着座できる乗員の身長は150cmまで(チャイルドシート装着時は135cmまで)で、シート自体には可倒機構を組み込んでいる。ラゲッジルームは2シーター仕様で321リットル、オプションの可倒式リアシート装着時は後席を倒すことで675リットルの容量を確保。利便性を高めるEASY-PACK自動開閉テールゲートとフットトランクオープナーも装備した。
ボディシェルに関しては、新しいアーキテクチャーを採用して2+2レイアウトを構築するとともに、アルミニウム、スチール、マグネシウム、繊維複合材を使用した材料の組み合わせ、さらにMIG溶接、レーザー溶接、パンチリベット、ブラインドリベット、MIGハンダ、ボンドシーム、フロードリリングスクリューといった最新の接合方法によって、重量を抑えつつ可能なかぎり高い剛性を実現する。ねじり剛性は従来比で18%高まり、また横軸の剛性は同50%、縦軸の剛性は同40%向上。一方、ドア/ボンネット/テールゲートを除いたボディシェルの重量は270kgあまりに収めた。
パワートレインについては、熟成の“M177”3982cc・V型8気筒DOHC直噴ガソリンツインターボエンジン(最高出力585ps/5500~6500rpm、最大トルク800Nm/2500~5000rpm)を採用。搭載に当たっては、新設計のオイルパンや設定位置を変更したインタークーラー、アクティブクランクケースベンチレーション、3 系統の冷却システムなど、数多くの改良を施す。また、磁性流体と円環状コイルが作り出す磁界強度を変化させることで、マウントの固さを無段階に調整するダイナミックエンジンマウントを導入した。一方、トランスミッションにはダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現した電子制御式9速トランスミッションのAMGスピードシフトMCT(マルチ・クラッチ・テクノロジー)を組み合わせ、また駆動機構には前後トルク配分を50:50から0:100の範囲で可変トルク配分を行うことでハイパワーを4輪に最適配分するAMG 4MATIC+と、走行状況に応じてロッキング機構を電子制御することでトラクションを最大限に高める電子制御AMGリミテッドスリップデフを採用した。
シャシー面に関しては、5本のコントロールアームによって各ホイールを常に最適にガイドすることで接地面積を最大限に確保する5リンク式サスペンションを前後に採用。また、電動機械式の連続可変式電子制御スタビライザーによりコーナリングや車線変更時のロールを効果的に抑制する専用セッティングのAMG ACTIVE RIDE CONTROLサスペンションや、駐車場の出入り口や踏切の段差などにおいてフロントバンパーをダメージから守るフロントアクスルリフトシステム(30mm上昇)、アジリティと走行安定性を向上させるリアアクスルステアリングといった先進機構を組み込む。そして、ドライブ、トランスミッション、エグゾーストシステム、サスペンションなどの設定を統合制御するAMG DYNAMIC SELECT を標準装備。モードとしては、「Slippery(滑りやすい路面)」「Comfort」「Sport」「Sport+」「RACE」「Individual」の6つの走行モードを設定する。さらに、選択したモードに応じてESPや4MATIC+、電子制御リミテッドスリップデフの設定が切り替わるAMG DYNAMICSを採用。モードとしては「Basic」「Advanced」「Pro」「Master」という4モードを配備した。