【20世紀名車】往年のライトウェイトスポーツ完成型。’69ロータス・エランSr.4の華麗なる世界

1969年式ロータス・エラン・シリーズ4・DHC(ドロップヘッドクーペ)SE。エランは1962年のロンドン・モーターショーで発表された傑作ライトウェイトスポーツ。X字型バックボーンフレームとFRP製ボディを採用

1969年式ロータス・エラン・シリーズ4・DHC(ドロップヘッドクーペ)SE。エランは1962年のロンドン・モーターショーで発表された傑作ライトウェイトスポーツ。X字型バックボーンフレームとFRP製ボディを採用

F1技術が傾注された傑作FR2シーター

 英国スポーツカーの名門ブランド、ロータスの歴史は、創業者アンソニー・コーリン・チャップマンが、1947年末に自身のために製作したレーシングスペシャル、ロータス・マークⅠから始まる。

 大衆車、オースチン・セブンをベースにしたロータス・マークⅠは、高性能で周囲の注目を集め、その後に続く数々の名車製作のきっかけとなった。その後ロータスは1960年、F1で初優勝を飾り、1963年にはジム・クラーク選手を擁してドライバーとコンストラクターの両部門でF1年間チャンピオンに輝く。1965年と1968年にも年間チャンピオンを獲得し、世界的な名声を確立した。

リア

 今回の主役、初代エランは1962年に誕生。エランはロータス独自の軽量設計と、パワフルなDOHCユニットを組み合わせたFR2シーター。高剛性のX字型バックボーンフレームと、FRP製ボディ構造を持ち、足回りは4輪独立システムである。エンジンは通称「ロータス・ツインカム」といわれる名機。フォード製直4OHVユニット(116E型)をベースに、独自設計DOHCヘッドを組み合わせ、1498ccの排気量から100ps/14.9kgmのパワーとトルクを発揮した。

 F1を頂点とするモータースポーツで得たノウハウが投入されたエランは、抜群の操縦性とスピード性能を誇った。リトラクタブル式ヘッドライトを組み込んだ流麗なスタイリングも好評で、瞬く間に人気モデルに成長する。

室内

エンジン

 エランの特徴は、時を重ねるごとに改良を実施した点だった。1963年にはエンジン排気量を1558ccに拡大、翌1964年10月にはマイナーチェンジを実施し、シリーズⅡに発展。1965年9月に固定ルーフのフィクスドヘッドクーペ(FHC)が追加された。1966年6月にはオープンボディのドロップヘッドクーペ(DHC)を改良。ドアをサッシュタイプに変更し、ソフトトップの耐候性を高め、シリーズⅢを名乗った。このタイミングで1.6リッターエンジンの115ps仕様が登場した。1968年3月に155R13サイズのタイヤを装着し、ホイールフレアを拡大、テールランプ形状を一新したシリーズⅣが登場。

 その後、1971年2月にエンジンのインテークバルブを改良、126ps/15.6kgmにパワーアップしたスプリントが誕生する。スプリントの最高速度は190km/hに達した。初代エランの生産台数は約1万2000台。現在でもマニアの熱い視線を集めている。

1967年ロータス・エランSr.4主要諸元

エンブレム

モデル=1969年式/ロータス・エランSr.Ⅳ
全長×全幅×全高=3638×1422×1156mm
ホイールベース=2134mm
車重=698kg
エンジン=1558cc直4DOHC
エンジン最高出力=115ps/6000rpm
エンジン最大トルク=14.9kgm/4000rpm
トランスミッション=4速MT
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:ストラット
タイヤ&ホイール=155R13+スチール
駆動方式=FR
乗車定員=2名

真正面

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