メルセデス・ベンツがGクラスのEVモデルの市販バージョンとなる「G580 with EQテクノロジー」を北京モーターショーと米国のイベントで発表。パワートレインは各輪にモーターを配した4モーターと総電力量116kWhのリチウムイオン電池で構成。システム総出力は432kW(588ps)/1164Nmを発揮し、一充電航続距離はWLTPモードで434~473kmを実現
メルセデス・ベンツは北京モーターショー2024(プレスデー:4月25日~26日/トレードデー:4月27日~28日/一般公開日:4月29日~5月4日)と米国のワールドプレミアイベントにおいて、Gクラスの市販EVモデル「G580 with EQテクノロジー(G580 with EQ Technology)」を公開した。
「G580 with EQテクノロジー」は、これまで「EQG」の名で発表されてきたプロトタイプの市販バージョンに位置する。プレスリリースによると、Gクラスのシリーズであることを強調するためにあえてEQGを名乗らず、またEQテクノロジーの呼称によってEVであることを明確化したという。発表の場では、通常モデルのほかにローンチモデルの「エディションワン(EDITION ONE)」を披露した。
注目のパワートレインは、各輪にモーターを配した4モーターとローレンジを備えた2速のトランスミッション、高剛性のケースで覆った総電力量116kWhのリチウムイオン電池で構成。1基のモーターは最高出力108kW(147ps)/最大トルク291Nmを発生し、システムでの最高出力は432kW(588ps)、最大トルクは1164Nmを絞り出す。また、駆動系には新開発のバーチャルディファレンシャルロックを配したトルクベクタリングや、その場で360度回転ができるGターン、リア内輪を軸にクルマを旋回させるGステアリング、低速を維持しながら(最大加速は14km/h)悪路の走破性を高めるオフロードクロールなどを装備。さらに、V8モデルから着想を得た“Sport”や静粛性の高い“Comfort”といったサウンドを奏でるGロードを採用した。
基本骨格は既存の内燃機関モデルと同様、ラダーフレーム形式を踏襲するとともに、懸架機構はフロントが独立懸架のダブルウィッシュボーン式、リアがリジッドアクルス式を新設計して採用する。足回りには専用開発のAMGアクティブライドコントロールサスペンションを配し、4輪の電子制御ダンパーに接続された油圧回路によってロールを効果的に抑制。シューズには265/60R18サイズのA/Tタイヤと5ツインスポークデザインの18インチアロイホイールを組み込む(エディションワンは275/50R20タイヤ+20インチAMG10スポークアロイホイール)。車両重量は3085kgとウルトラヘビー級となったものの、性能面では0→100km/h加速4.7秒、最高速度180km/hを達成し、一充電航続距離はWLTPモードで434~473kmを実現した。
エクステリアについては、Gクラスならではのスクエアなボディを基調としたうえで、ブラックパネルのフロントグリルや3D効果を演出するイルミネーション、丸目のLEDヘッドライト、バッテリーを損傷から守る専用アンダーガードなどを装備。リアのスペアタイヤホルダーは、充電ケーブルホルダーに変更することもできる。空力特性も重視し、樹脂パネルを備えたAピラーおよびルーフ回りや、スリットを入れたリアフェンダー、ルーフ後端に配したスポイラーリップなどによって、空気抵抗係数(Cd値)は既存のG450d比で0.04低い0.44を実現した。
内包するインテリアは、新世代のオフロードコクピットを採用したことがトピックだ。インパネにはオフロード走行に必要な様々な情報を表示する12.3インチのドライバーディスプレイと11.6インチのタッチ式センターディスプレイを装備。フロントカメラを使って前方の路面状況をディスプレイに映し出すトランスペアレントボンネットも設定する。最新のMBUXやAndroid Auto/Apple CarPlayワイヤレス対応、コネクティビティ性能を引き上げる複数のUSB Type-Cポートなども採用した。シートは内燃機関モデルと同様に2/3名乗車の2列式で構成。エディションワンはシルバーパール/ブラックのナッパレザーシートや3ツインスポークデザインステアリングホイール、Burmester 3Dサラウンドサウンドシステムなどを標準で装備している。
なお、「G580 with EQテクノロジー」は日本への導入も計画しており、詳細などは後日アナウンスされる見込みである。