ラグジュアリーモデルの新たなスタンダードを確立するキャデラックのSUVモデルのエントリーEV「オプティック」がワールドプレミア。パワートレインには300hp(224kW)/354lb-ft(480Nm)を発生するデュアルモーターと総電力量85kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載して全輪駆動システムを構成。航続距離は300マイルを実現
米国GMは2024年5月29日(現地時間)、キャデラックブランドのラグジュアリーエントリーEVモデル「オプティック(OPTIQ)」を発表した。
今回公開されたオプティックは、すでに発表済みの「リリック(LYRIQ)」「エスカレードIQ(ESCALADE IQ)」「セレスティック(CELESTIQ)」、そして来年発表予定の「ヴィスティック(VISTIQ)」を含む、キャデラックのEVラインアップに加わる1台で、セグメントとしてはSUVモデルのエントリーEVに位置する。トリムにはラグジュアリー(Luxury)とスポーツ(Sport)の2タイプを設定。車両価格は5万4000ドル(約840万円)からを予定している。
リリック比で6インチ短いホイールベース(2954mm)に設定したEV専用設計の“アルティム(Ultium)”プラットフォームに搭載するパワートレインは、前後アクスルに配した2基の電気モーターに総電力量85kWhを確保したNCMAリチウムイオンバッテリーパックでデュアルモーターAWDを構成。最高出力は300hp(224kW)、最大トルクは354lb-ft(480Nm)を発生し、一充電走行距離は社内測定値で300マイル(約483km)を成し遂げる。充電に関しては、240VのAC7.7kWで1時間当たり24マイル、240VのAC11.5kWで1時間当たり33マイル、DC急速充電では約10分間で79マイルの航続距離を実現した。また、Regen on Demandブレーキ機構を装備して、効率的に前進運動量のエネルギーを電気に変換してバッテリーパックに蓄えるほか、加減速を最適に制御するワンペダルでの走行も可能とする。さらに、ドライブモードとして日常的な運転に使用する「ツアー(Tour)」、ドライビングの強化とステアリング操作の向上を図る「スポーツ(Sport)」、ホイールのスピンを防止する「スノー/アイス(Snow/Ice)」、ブレーキ操作の応答性やステアリングフィールの向上などドライビング・エクスペリエンスをパーソナライズする「マイモード(My Mode)」を設定した。
足回りに関しては、フロントにコイルオーバーのストラット式、リアに5リンク式を採用し、安定かつ快適な乗り心地が得られるパッシブプラスダンパーを装備。シューズには前245/50R20/後275/40R21サイズのオールシーズン低燃費タイヤ(LRR)を装着する。また、操舵機構には専用セッティングの電動パワーステアリング(EPS)を組み込んだ。
エクステリアについては、キャデラックのEVポートフォリオにスポーティで若々しい個性を加えたことがトピック。洗練されたサーフェスとテクノロジーをシームレスに融合させた新進のシルエットは、ファストバックスタイルの視覚的な軽快さと、キャデラック特有のクロスオーバーEVのスタイリングを巧みに調和させる。また、力強いホイールアーチと大胆なプロポーションのホイールおよびタイヤを組み合わせて、アスレチックなキャラクターとサイズ感を強調した。各部のディテールにもこだわり、フロント部にはキャデラックのバーティカルシグネチャーデザインを採用したうえで、グリル内にレーザーエッチングのパターンを施してハイテク感を演出したブラッククリスタルグリルを配備。また、トップ部にはガラスからシートメタルへの切り替えをシームレスに仕立てた専用の固定ガラスルーフを採用する。さらに、リアクォーターパネルのウィンドウデザインには特有のパターンを施した音響ラミネートガラスを導入。モンドリアンの紋章と調和して、キャデラックのクラシックなスタイリングを彷彿とさせる。ドライバーが車両に近づいたり降りたりすると、キーフォブによる車両が挨拶するようなライティングを演じるシグネチャーライティングコレオグラフィも配備した。ボディサイズは全長4820×全幅2126×全高1644mmに設定している。
インテリアに関しては、広々としたラグジュアリーなキャビン空間を基調に、ハイテクで快適、そしてつながりを感じられるようなデザインで仕立てたことが訴求点だ。空間自体はセグメント最大級の2列目の広さと荷室容量を実現。インパネには9K解像度で10億色以上を投影する33インチ対角のLEDディスプレイを配備する。また、ハンズフリー走行を可能にするスーパークルーズドライバーアシスタンス技術や高精細GPSマッピング、ドライバーアテンションシステム、車線変更機能、ステアリングライトバー、GoogleマップおよびGoogleアシスタントを搭載したGoogleビルトイン互換インフォテインメントシステムといった先進機能を標準装備。音響には19スピーカーのAKGオーディオシステムとDolby Atmosを採用した。新しいアプローチを取り入れたサステイナブルな素材を導入した点も見逃せない。オプティックのパターン入りアクセントファブリックは、100%リサイクル素材から作られた糸で生成。また、インパネのペーパーウッド材はチューリップ材と新聞のリサイクルペーパーを同量ずつ使用して製作している。
なお、GMはオプティックの生産を今秋以降に開始し、ヨーロッパを含む10以上の地域で販売すると予告。日本への導入に関しては、現在のところ正式なアナウンスはない。