WR-Vは、SUVラインアップを拡充するため、新たな一手として企画されたコンパクトモデル。自然吸気の1.5リッター直4(118㎰)を積むFF仕様に割り切った。
開発は日本/タイ/インドの共同チームで実施。インド工場で生産した車両を導入することで商品化までの時間短縮を図った。全車200万円台前半の手軽な価格を実現したのも大きな特徴だ。
商品性やリーズナブルさが評価され、定番モデルのヴェゼルがありながら発売1カ月で約1万3000台を受注し、話題を集めた。
ボディサイズは4325×1790×1650mm。ヴェゼルとほぼ同等ながら、内容がいろいろ異なる点にWR-Xの魅力と意味がある。まずスタイリングが力強い。「MUSCLE&CONFIDENT=自信あふれる逞しさ」をコンセプトとするスクエアなフォルムは、実際よりも大きくに見えて、車内空間はクラストップ級。後席の居住性も抜群だ。
その広さをアピールする印象的なテレビCMのとおり荷室の使い勝手も優秀。クーペ的なヴェゼルと比べて奥行きが長く、フロアが低く、荷室高にも余裕がある。ヴェゼルも広いが、それ以上に広いのがWR-Vの強み。
「みんなそろって、最高かよ」のキャッチフレーズどおり、親しい仲間と荷物を満載して出かけるのが似合う。
シンプルで機能的にまとめられたインテリアもキャラクターにマッチしている。作りはよく、このクラスながら後席用エアコン送風口があるなど、細部まで気が配られている。乗り心地が良好で十分な快適性が確保されているのも美点だ。ちなみに全長4m以上の車両の税金が高額になる関係で、WR-Vはインドでは高級車の部類に入る。ショーファードリブンとしても使われることも珍しくないという。
走りの性能は、そつなくよくまとまっている。1.5リッターのi-VTECエンジンは、ステップシフト制御を採用したCVTとの組み合わせ。クセのない自然なフィーリングの加減速を実現している。街中から高速道路まで満足感の高いパフォーマンスの持ち主だ。
アクセルを踏み込むと、あえて聞こえるようにしたという元気のよいエンジン音が耳に入ってくる。海外では“ホンダ・サウンド”として好評らしい。
リーズナブルで便利に使えて合理的。WR-Vは、一緒にいると楽しいことがありそうな、いかにもホンダらしいニューモデルである。