【魅惑のスーパースポーツ】ランボルギーニ・ウルスSEはPHEVスーパーパフォーマー、つねに前進する「ファイティングブル」の先駆である!

ランボルギーニ・ウルスSE。ウルスSEはシステム出力800psを誇るスーパーPHEV。スタイリングは従来以上にダイナミック。ボンネットを延長し精悍なマスクを強調。4WDシステムも刷新し、走行シーンに応じてステアリング特性を自在に制御する

ランボルギーニ・ウルスSE。ウルスSEはシステム出力800psを誇るスーパーPHEV。スタイリングは従来以上にダイナミック。ボンネットを延長し精悍なマスクを強調。4WDシステムも刷新し、走行シーンに応じてステアリング特性を自在に制御する

ウルスSEはPHEV化だけでなくすべてが進化した新世代

 基本的なプロポーションが変わっていないからといって、だまされてはいけない。ランボルギーニが発表したウルスSEは、単なるフェイスリフト版でも、パワートレーンを電動化しただけの追加モデルでもない。これからのウルス・シリーズを背負って立つ次世代のスーパーSUV、それがウルスSEである。

 その心臓部は、かねてからランボルギーニ自身が公言していたとおりPHEV(プラグイン・ハイブリッド)に改められた。しかも、ベースとなるエンジンは、シリンダーヘッドを新設計した4ℓ・V8ツインターボである。おかげでシステム出力は実に800㎰(!)、システムトルクは950Nmに達し、それぞれ666㎰と850NmのウルスSを大幅に凌ぐ。0→100km/h加速は3.4秒、最高速度は312km/hに達し、ウルスS(3.5秒/302km/h)を凌駕する。
 つまり、ウルスSEはCO₂排出量の削減と、パフォーマンスの向上を同時に実現したのだ。

工場

リア

 デザインはさらに洗練された。ウルスの発表は2017年。現在のチーフデザイナーのミティア・ボルケルトがランボルギーニに加わったのは2016年なので、彼は実質的にデザインには関わっていなかった。このSEが、ボルケルトが本格的に手を加えたウルスになる。

 その出来映えはいかにもボルケルトらしい。細かなデザイン要素を省き、シンプルかつ大柄な造形によってダイナミックさとプロポーションの美しさを表現している。

 たとえば、従来のウルスにあったボンネットとフロントグリル間のパネルを取り除くとともに、ボンネットを延長。こうすることでクリーンなフロントグリル回りを作り出した。また、ヘッドライト内のデイタイムランニングライトは、従来のYの字を横倒しにした形状からCの字形に改められた。これはファイティングブルの尻尾にインスピレーションを得たものだという。

 リア回りは、テールランプの間を六角形のメッシュパターンでつないだうえで、ナンバープレートをバンパー下側に移設。ボディ中央を縦に貫く「折り目」をつけてシャープなイメージを作り出している。

 インテリアもボルケルト作品らしくなった。ダッシュボードを天地に薄い形状に改めて軽快感を演出したほか、大型ディスプレイを採用して視認性と操作性の向上を図っている。

新4WD機構はドライバーの意思を予測。圧倒的な速さと自在なハンドリングを実現

 ウルスSEの注目点は、PHEV化とともに、4WDシステムを根本から見直したところにある。従来のウルスは、アウディ・クワトロにならってトルセン式のセンターデフを用いてきた。トルセンデフは純メカニカル式なので動作に遅れがなく、効き方がスムーズなことに特徴がある。だが能動的な制御ができないことが弱点のひとつ。また、オーバーステアになりかけると前輪により多くのトルクが分配されてオーバーステアを抑制する点も、積極的にドリフト走行を楽しみたいユーザーにとって物足りない要素となっていた。

インパネ

センター

 ウルスSEは電子制御式油圧多板クラッチの4WDシステムを新採用。前後のトルク配分をコントロールすることにより、車載システムがステアリング特性を自在に制御できる駆動系に改めた。

 すなわち、ドライバーがオーバーステアを期待していると判断した場合には、リアに配分するトルクを増やすとともに、今回新たに装備されたE-Diffをロック、さらにはブレーキトルクベクタリングを活用して積極的にオーバーステアを生み出すのである。

 では、ドライバーがオーバーステアを期待していることを、いかにして判定するのか? チーフテクニカルオフィサーのルーヴェン・モールに確認すると、こんな答えが返ってきた。

「ドライバーがステアリングを切ったまま、スロットルペダルを必要以上に深く踏んでいる場合、ドライバーはオーバーステアを期待していると考えられます。運転操作からドライバーが何を期待しているかを推測し、それに合わせて車両制御を行う技術を、私たちは予測制御と呼んでいます。この制御方式を最初に採用したのはウラカンEVOですが、先ごろリリースしたレヴエルトの開発を通じてさらに理解が深まったので、ウルスSEにもエッセンスを盛り込みました」

スタイル

充電

 そしてモールは「油圧多板式クラッチをトルク配分に用いる考え方そのものは目新しくありません。ウルスSEは、ランボルギーニ独自の予測制御を用いている点に最大の特徴があります」と付け加えてくれた。

 ウルスSEはPHEV化に伴って25.9kWhのバッテリーを搭載。60km以上のEV走行を可能にした一方で、車重はウルスSに対して300㎏程度増加したと見込まれる。おそらく、この車重増を感じさせない軽快なハンドリングを生み出すために、新たな4WDシステムを採用したのだろう。強力な動力性能と自在な操縦性を手に入れたウルスSEがどんなパフォーマンスを見せるのか、いまから楽しみである。

ランボルギーニ・ウルスSE主要諸元

ライト

モデル=ウルスSE
全長×全幅×全高=5123×2022×1638mm
ホイールベース=3003mm
トレッド=フロント:1695/リア:1710mm
重量配分=前後:54対46
エンジン=3996cc・V8DOHC32Vツインターボ
エンジン最高出力=456kW(620cv)/6200rpm
エンジン最大トルク=800Nm/2250〜4500rpm
最高許容回転数=6800rpm
リアモーター最高出力=141kW/3200rpm
リアモーター最大トルク=483Nm
圧縮比=9.7対1
トランスミッション=8速AT
高電圧バッテリー容量 kWh=25.9(リチウムイオン)
サスペンション=前後マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
タイヤサイズ=フロント:285/45ZR21/リア:315/40ZR21
駆動方式=4WD
乗車定員=4/5名
0→100km/h加速=3.4km/h
0→200km/h加速=11.2km/h
最高速度=312(EV時/135)km/h
満充電時EV航続距離=60km以上

白リア

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