【スーパースポーツの誘惑】これぞ情熱の結晶。4台のヒストリック・ランボルギーニは新鮮な発見にあふれていた!

1960年代の400GT 2+2から2000年代のムルシエラゴまで4台のヒストリックカーをドライブし「ランボルギーニの情熱」を実感。400GT 2+2はランボルギーニの名声を確立した名車。1966年に登場し4リッター・V12(320ps)搭載

1960年代の400GT 2+2から2000年代のムルシエラゴまで4台のヒストリックカーをドライブし「ランボルギーニの情熱」を実感。400GT 2+2はランボルギーニの名声を確立した名車。1966年に登場し4リッター・V12(320ps)搭載

ランボルギーニの生き証人、どのモデルに乗っても感動した!

 4月初旬に、イモラ・サーキット(イタリア)で開催された「ランボルギーニ・アリーナ」は、メーカーが説明するように「アウトモビリ・ランボルギーニのすべてを祝福するイベント」だった。

 コース上ではワンメイクレース「スーパートロフェオ」の公開練習に加えて「エッセンサSCV12ハイパーカー」のデモ走行を実施。パドックにはビスポーク・プログラムの「ADペルソナ」や、ヒストリックカーのレストアなどを行うランボルギーニの職人集団「ポロストリコ」などがブースを構え、それぞれの活動をファンに説明していた。

 私は幸運にもランボルギーニの招待でこのイベントを取材した。そこでうれしいサプライズが待っていた。なんと、合計7台のクラシック・ランボルギーニが用意され、一般道やワインディングロードで試乗するチャンスに恵まれたのだ。

ムルシエラゴ

 最初にステアリングを握ったのは2001年製のムルシエラゴLP640-4。ミッドシップに搭載されたV12ユニットはレーシングエンジンのようにシャープで、ジェット機を思わせるサウンドも魅力的。難があるとすれば、乗り心地がハードなことと、足回りに強い入力があるとスカットルシェイクを起こすことくらい。デザインはいかにもランボルギーニ的で、いま見ても心奪われた。

ヤルパ走り

ジャルパ リア

 続いての試乗車は1988年製のジャルパ。一般道に乗り出すと、意外なほど足回りがしなやかなことに驚かされた。クラッチは重めだが、さほどの苦もなくフロアまで踏み込める。また排気量3.5リッターのV8エンジンは気難しい素振りを見せることなく、低回転域から十分なトルクを生み出してくれる。それ以上に驚いたのがシフトフィールだった。リモコン式とは思えないほどスムーズで、しかもしっかりとした感触を伝えてくれた。キャビンは広々としていて視界も良好。したがってスーパースポーツであると同時にグランツーリズモとしても使える1台だと感じた。

ジャルパ室内

ジャルパ イメージ

 3台目は、まさに夢のようなモデルだった。その名は400GT 2+2。ランボルギーニ初の量産車である350GTの発展版だ。同社が広く世界的に知られるようになったのは1966年に誕生した400GT 2+2の功績といわれている。試乗して、その理由がよくわかった。エンジンは驚くほど扱いやすいのにシャープ。シフトレバーの動きはスムーズで心地いい。フロントエンジンのグランツーリズモゆえに室内空間に余裕があり視界もいい。足回りはスポーティでありながら快適な乗り心地をもたらしてくれた。

400GTリア

400GT室内

 最後に待っていたのは、1990年製のクンタッチ25周年モデル。排気量5.2リッターのV12エンジンは455psを生み出す。このモデルについては、多くを語る必要はあるまい。今回、恥ずかしながら初めてクンタッチを運転したが、ボディ剛性の高さと前方視界が開けていることに大いに驚かされた。

 乗り心地はやや硬めながらスーパースポーツカーとして納得できる範囲。ハンドリングは極めて正確で、ワインディングロードでペースを上げてもまったく不安を覚えなかった。一方で残念だったのがクラッチの重さと、シフトレバーの渋い動き。しかし、これは本来のコンディションではなかったようだ。後日メンテナンスが行き届いたクンタッチ5000Sに触れたところ、クラッチは軽く、シフトレバーの動きもスムーズだった。それにしてもクンタッチのプロポーションは斬新で心奪われる。初めてその姿を見た者が「クンタッチ!(ピエモンテ地方の言葉で「驚いた!」の意味)と叫んだのも不思議ではない。

クンタッチ

 今回、4台のクラシック・ランボルギーニに試乗して改めて印象に残ったのが、各モデルの個性が実に鮮やかだったこと。2+2のグランツーリズモからMRのスーパースポーツまで、彼らはさまざまなモデルを世に送り出してきた。しかも、1台1台の完成度が驚くほど高い。優れた技術力を備えているからこそ、ランボルギーニの人気はいまも高まる一方なのだ。

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