[マツダ3特集]素晴らしい走り。ファストバックを次世代エースに推す理由

マツダ3ファストバックXD・Lパッケージ 試乗記IMG_0354.JPGマツダ3ファストバックXD・Lパッケージ(FF) 価格:6SAT 291万9000円 新型は究極の「人車一体感」を追求した新車両構造技術スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー導入第1弾 ファストバックの造形テーマは「色気のある塊」

新型は世界統一名称。まるでクーペのような雰囲気

 スラリと伸びる低いノーズに、ボリューム感豊かなリアセクション――マツダ3ファストバックは、パワーパックを縦置きとしたFRレイアウトのような、スリークかつ大胆なプロポーションにまず目を奪われる。
 名称は、「ブランド力をより高めるため」という理由からこれまで親しまれてきたアクセラから変更。世界統一のマツダ3になった。

 従来のアクセラ同様、ボディはハッチバックとセダンの2タイプを設定。ハッチバックには「ファストバック」のサブネームが与えられる。新型は、5ドアボディではあるものの、まるでクーペのようなスペシャル感を感じる。スタイリングを見ていて、絶妙なネーミングだと感心した。

「引き算の美学」と称してキャラクターラインを極力なくし、張りのあるパネルで構成したボディは、筋肉質な造形が美しい。そしてパネル間の「チリ」が小さい点と、緻密な造形のライト類が上質感を引き上げている。
 ボディサイズは全長×全幅×全高4460×1795×1440mm。大きすぎず、小さくもない、日本で使うのに最適なサイズにまとめられている。

 しっかりした感触のドアハンドルを引いてドライバーズシートに座る。インテリアもなかなか上質。入念な仕上げに驚いた。
 中央部分がディスプレイ化された3眼式のメーターを筆頭に、室内はシンプルで奇をてらわないデザインが印象的。ダッシュボード全体の質感は、このクラスとして世界屈指のレベルに達している。
 プッシュ機能を併用したトグルスイッチを中心に、ステアリングホイール右側スポークにまとめられたクルーズコントロール関係のスイッチは、慣れれば目視せずに自在に扱えそうなロジックが好印象。逆に、右側ドアトリムにレイアウトされた電動格納式ミラーのスイッチは、鏡面角度の調整時にミスタッチしやすい。

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ファストバックは1.5リッター(111ps)と2リッター(156ps)のガソリン/1.8リッターディーゼル(116ps)/スカイアクティブXの4種のパワーユニット設定 2リッターガソリン以外は4WDを設定
優れた静粛性。1.8リッターディーゼルは豊かなトルクが魅力

 試乗はクローズドのコース内のみ。それも短時間だった。「人が歩く際の姿勢こそが最適の運転姿勢」という発想からデザインされた自慢のシートの実力を、存分にチェックするまでにはいたらなかった。

 限定された条件だったが、走りの実力は「素晴らしく好ましい_」と思えた。
 試乗車は1.8リッターのディーゼルターボ(116ps/270Nm)を搭載したXD・LパッケージのFFモデル。

 まず感心したのは、高い静粛性だった。アイドリング時はもちろん、走行時も実に静かだ。タイヤに起因するロードノイズなど、いわゆる〝雑騒音"が小さく抑えられている。このため相対的にエンジン音やタービン音が目立つ結果になっていたが、ほとんど気にならない。日常シーンはもちろん、ロングツーリングに積極的に連れ出したくなる静粛性の持ち主である。

 ばね下の動きの軽やかさと、自在なハンドリング感覚も、強く印象に残った。試乗コースが完全舗装で荒れた部分がほとんどないという路面状況は考慮に加える必要があるものの、フットワークの完成度は高い。
 それでもセダンと比べると、ロードハーシュはやや強め。2リッターガソリンのセダンと比較して60kgという重量増やその前後配分、そしてタイヤの指定内圧がセダンの4輪2.5barに対して前2.7bar/後2.5barと、とくにフロント側が高めの設定であることと関連があるかもしれない。

 1410kgの車重に対してターボ付き1.8リッターディーゼルの116ps/4000rpm、270Nm/1600~2600rpmというスペックは、街乗りシーンをイメージした走りでは「十二分」と思える加速力を生み出してくれた。パフォーマンスは大多数のユーザーが満足するだろう。
 だが驚くほどのスピード性能はない。従来のアクセラは、大トルク(450Nm)で圧巻のクルージング性能を提供してくれた2.2リッターディーゼルが選べた。マツダ3は、それがない。なんとも残念だ。

 マツダ3は、フラッグシップエンジンとして、世界初のSPCCI(火花点火制御圧縮着火)仕様となる"スカイアクティブX"を設定している。"夢のエンジン"をうたうスカイアクティブXは、マツダ3の金看板だ。それでも圧倒的な加速パフォーマンスと、優れた燃費性能、高い信頼性がバランスした2.2リッターディーゼルターボを設定してほしかった、というのが、ボクの本音である。

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室内は上質 各スイッチの操作フィールはすべて一定の重さとタッチで統一 インパネ上面パッドは本革の風合いを持つ新開発シボ仕上げ 操縦フィールは素直
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シートは脊柱が自然なS字カーブを描く快適設計 Lパッケージは本革標準 カラーはブラック バーガンディーセレクション(7万200円高)はレッド
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自在なハンドリングと足回りの軽やかな動きが印象的 静粛性は全域で高い 走りはクラストップレベル

※次ページでスペックを紹介

マツダ3ファストバックXD・Lパッケージ主要諸元と主要装備
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グレード XD・Lパッケージ(FF)
価格=6SAT 291万9000円
全長×全幅×全高=4460×1795×1440mm
ホイールベース=2725mm
トレッド=フロント1570×リア1580mm
車重=1410kg
エンジン=1756cc直4DOHC16Vディーゼルターボ(軽油仕様)
最高出力=85kW(116ps)/4000rpm
最大トルク=270Nm(27.5kgm)/1600~2600rpm
WLTCモード燃費=19.8km/リッター(燃料タンク容量51リッター)
(市街地/郊外/高速道路=16.4/19.7/21.8km/リッター)
サスペンション =フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=215/45R18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員:5名
最小回転半径= 5.3m

●主な燃費改善対策:アイドリングストップ/筒内直接噴射/電子制御燃料噴射/過給機/コモンレール高圧噴射/4バルブ/センターノズル化/ロックアップ機構付きトルクコンバーター/電動パワーステアリング
●主要装備:スマートブレーキサポート(前後進時)/AT誤発進抑制制御(前後進時)/レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)/レーンキープアシスト/クルージングトラフィックサポート/交通標識認識システム/車線逸脱警報/ブラインドスポットモニタリング/前後側方接近車両検知/ドライバーアテンションアラート/アダプティブLEDヘッドライト/フロントパーキングセンサー/ヒルローンチアシスト/レインセンサーワイパー/バックガイドモニター/8.8インチセンターディスプレイ/7インチマルチスピードメーター/ヘッドアップディスプレイ/本革巻きステアリング&シフトノブ/ステアリングヒーター/本革シート/運転席電動調整機構/前席シートヒーター/フルオートAC/マツダハーモニックアコースティック(8スピーカー)/グレーメタリック塗装18インチアルミ/Gベクタリングコントロールプラス/ナチュラルサウンドスムーザー/電動パーキングブレーキ(オートホールド付き)
●装着メーカーop:BOSEサウンドシステム(12スピーカー)7万5600円/360度セーフティパッケージ(360度ビューモニター+ドライバーモニタリング)8万5300円/スーパーUV&IRカットガラス+CD&DVDプレーヤー+地デジテレビチューナー4万8600円
●ボディカラー:ソウルレッドクリスタルメタリック(op6万4800円)
※価格はすべて消費税(8%)込み リサイクル費用は9780円
※スペックは2019年7月現在

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荷室は実用的なサイズ 後席使用時に容量67リッターのスーツケースが2個積める リアゲートは手動式
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全長×全幅×全高4460×1795×1440mm 車重1410kg パワーウエイトレシオ:12.16kg/ps 写真のボディカラーはソウルレッドクリスタルメタリック(op6万4800円)
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