フリードの開発担当者は、シエンタについて「サイズと価格帯が近くて3列シート車という点では共通するものの、直接的なライバルではないと考えている」と話す。たしかに車内のつくりはだいぶ違う。それでもユーザーは意識するだろう。
全長はフリードが4310㎜、シエンタは4260㎜。ともに小柄だが、車内が広々としている点は共通。ただしシエンタはフロアがサイドシルよりも低い位置にある。対してフリードは一般的なミニバンと同じで段差がない。まずこの点が大きく異なる。シエンタはコンパクトカーの延長上で3列シートを納めたパッケージングという印象である。
3列目シートにも注目だ。シエンタは簡易的なシートをダイブダウンして沈み込ませるシステムを採用。通常は格納した状態で使い、いざというときに3列目を出動させる使い方に向いている。フリードは、ミニバンらしい3列目シートを設定した。格納は跳ね上げ式。新型は跳ね上げた際の使い勝手が向上している。
両車はハイブリッドの方式が異なるとおり、乗り味もだいぶ違う。ともに1.5ℓエンジンとモーターの組み合わせだがフリードのe:HEVは電動感があり、リニアな特性が魅力。シエンタのTHSは発進や再加速での力強さをアピールする味付けとなっている。また、音や振動については割り切った感のあるシエンタに対し、フリードはかなり綿密に手当てされている。
足回りの味付けは、新型フリードはしなやかな味わいに変化し、むしろシエンタのほうがときおり硬さを感じる。従来と立ち位置が逆になったように思える。
似て非なる2台。違うからこそ選び甲斐がある。