【最新モデル試乗】生粋のカーガイ・モリゾウによる「道楽」の結晶。レクサスLBX MORIZO RRのドライビングハイ!

レクサスLBX MORIZO RR/価格:6SAT/8SAT 650万円。MORIZO RRは2024年の東京オートサロンで初披露したモデルの市販版。レクサス初のMTも選べる「非日常」が味わえる4WDスポーツ。エンジンは最新GRヤリス/GRカローラと共通のG16E-GTS型・直3DOHC12Vターボ。1618ccの排気量から304ps/400Nmを発生

レクサスLBX MORIZO RR/価格:6SAT/8SAT 650万円。MORIZO RRは2024年の東京オートサロンで初披露したモデルの市販版。レクサス初のMTも選べる「非日常」が味わえる4WDスポーツ。エンジンは最新GRヤリス/GRカローラと共通のG16E-GTS型・直3DOHC12Vターボ。1618ccの排気量から304ps/400Nmを発生

MORIZO RRは「運転する楽しさ」を真摯に追求した特別モデル

 年初の東京オートサロンで「MORIZOの愛車」としてコンセプトカーを公開。多くの人の話題をさらったLBX「MORIZO RR」の予約受注がいよいよスタートした。発売は8月下旬の予定。袖ヶ浦フォレストレースウェイでプロトタイプに試乗した。

 MORIZO RRは、レクサスの末っ子に該当するLBXのハイパフォーマンスモデル。すべてが特別に仕立てられ、LBXの世界観を広げる使命を担う。
 開発陣は「MORIZO RRはレクサスらしい上質な走りと洗練されたデザインとともに、クルマとの対話が楽しめる特別な1台。ステアリングを握ると思わず笑みがあふれ、非日常の高揚感が味わえる高性能車を目指した」と説明する。まさに「本気のクルマ遊び」の相棒としてぴったりなニューカマーである。

佐々木選手

レーシングドライバーの佐々木雅弘選手が調律。通常のHEVモデルが「スニーカー」ならば、「スパイクにもなる運動靴」をイメージ。遊び心が感じられる自信作という

 開発は、レクサスのマスタードライバーでもある豊田章男現会長の「こんなクルマがほしい」という思いが原点。レーシングドライバーの佐々木雅弘選手とともに開発を進めたという。開発関係者は、佐々木選手から、「どうやったら速くなるのかではなく、どうやったら楽しく走れるかを教えてもらった」と説明する。

 最大の注目ポイントは、やはりパフォーマンス。パワートレーンは進化型GRヤリスやGRカローラと同じ、304ps/400Nmを発揮する1.6リッター直3ターボ、G16E-GTS型。トランスミッションは8速ATと6速iMTが同価格の650万円でラインアップされた。

 ATだけのラインアップだろうと予想していたので、MTが用意されたことにはちょっと驚いた。国内仕様のレクサス車としては初の3ペダルMT車となる。

 外観はアグレッシブだ。MORIZO RRは、そのパワフルなエンジン性能を引き出せるよう、幅広のハイグリップタイヤを履かせ、車体から足回りまでパーフェクトに手が加えられている。

フロント

エンジン

 空力性能を一段と磨いた4190×1840×1535mmのボディサイズは、標準LBXよりも20mm幅広くなり10mm低い。視覚的には数値以上にワイド&ローになったと感じる。

 開口部が大きくカナード形状を取り入れたフロントバンパー、ワイドスタンスと低重心を印象づけるリアバンパー、さらに大径の左右2本出しマフラーがのぞく様子はインパクト絶大。19インチ鍛造アルミのスポークから見える強化ブレーキも目を引く。

 インテリアもドライバーオリエンティッドにまとめられた。サポート性に優れたバケットシートを装着したコクピットは精悍そのもの。しかもレクサスだけに各部の作りはていねい。一見しただけで「本気のクルマ遊び」の相棒に最適だと実感した。

超刺激的な304psターボの実力。強靭ボディと専用サスがベストハンドリング実現

 試乗はMTとATをそれぞれドライブ。短時間だったが、高い実力をすぐに納得した。
 ドライビングポジションは完璧。着座位置を低めるとともに、それに合わせてフットペダルの角度を最適化している。すべてがしっくりくる。スポーツ走行でも操作しやすい。

 もちろん強力なエンジン性能は刺激十分。グッと盛り上がる強烈な加速は鮮烈である。それをコーナーを立ち上がるたびに味わうことができるのだ。最高である。
 レスポンスにも優れ、レッド表示となる7000rpmまで一気に吹き上がる。

 いくつか選べるアクティブサウンドコントロールの音質やATの変速もレクサスにふさわしく味付けされていることを実感した。MORIZO RRは、ただ速いだけではなく実に洗練されている。

走り

 GRカローラとの共通性が高い4WDシステムは、駆動力配分の選択で走りが変化。車体も強靭である。スポット溶接打点を469点も増やしたほか、構造用接着剤の塗布を12.8m伸ばし、ブレース類を追加して剛性を高めた。
 パフォーマンスダンパーを装着して走りの質自体をリファインした点も見逃せない。

 足回りでは、フロントロアアームに採用したREDSという世界初のレスポンス向上減衰構造に注目だ。操縦安定性のために対策したところNVにも効いたアイテムだという。これらの相乗効果で、雑味ないスッキリとした操舵感と、意のままに、切ったとおりに、行きたいところに行けるハンドリング性能に仕上がっている。

 サイドブレーキは、いまや少数派のレバー式。操作することで、走りのアクションのきっかけを作れるのは楽しい。

インパネ

シート

 佐々木選手は「MORIZO RRは、GRの上をいく「いいとこどり」にトライしました。GRでは、たとえばサファリを駆けるチーターのように、無駄を省いたアスリートのような筋肉を持つ野生味を追求しています。このクルマは違います。野性味あふれるパワーだけでなく、シャシーを中心にレクサスの上質性を加味しました。もちろん速さでGRに勝つポテンシャルを秘めています」と語る。

 そして「もう1点、心がけたのは「無駄の演出」です。サウンドコントロールや排気系のパブリングなどはまさにそれ。そこまでこだわらなくても、というレベルまで煮詰めました。そのほうが楽しいからです。ATで鋭い発進を約束するローンチコントロールもそのひとつ。ふだんは使わないデバイスですが、装備しているところに価値があると考えています」と語ってくれた。無駄にこだわることで、ワンランク上のゆとりや上質性につなげているのである、

 MORIZO RRは資質の高さをストレートに実感する実力車。相棒としてガレージに収め、共に過ごす時間が増えるほど、よい遊び相手になってくれそうだ。

諸元フォトギャラリー

 

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