【CDリバイバルインプレッション】メルセデス・ベンツGクラス人気を確定した2台、その印象と実力

350dトップ01/2013年G350ブルーテック/報告:カー・アンド・ドライバー編集部

キャリア豊富な最新ディーゼル車

過去記事350d

 メルセデスGクラスに、クリーンディーゼル仕様のG350ブルーテックが登場した。パワーユニットはEクラスやMクラスと共通の3ℓ・V6直噴ディーゼルターボ(211ps/55・1kg・m)。魅力はG550用5.5ℓ・V8(387ps/54.0kg・m)を上回る大トルク。ブルーテック・クリーンディーゼルとGクラスの組み合わせは、日本市場が世界初である。価格は989万円。G550より361万円安く、Gクラス唯一の右ハンドル仕様になる。
 車重は2510kg。超ヘビー級のため、大トルクでもパワフルな印象は薄い。試乗時の燃費は、約8km/ℓだった。

350dリア

350dインパネ

 静粛性は一般的。アイドリング時にはディーゼル特有のゴロゴロしたノイズが耳に届く。高速道路では風切り音が大きめだ。ステアリングの操作力も全域で重い。G350dブルーテックの走行性能からは、本格オフローダーとして開発された背景が伝わってくる。乗り心地は硬めだが、ストロークが豊かなサスペンションの効果で快適性はハイレベル。

 試乗車に搭載された最新の装備類が印象的だった。全車速対応のクルーズコントロールをはじめ、斜め後方からのクルマの接近を知らせるブラインドスポットアシスト、狭い場所での取り回しを容易にするパークトロニック、HDDナビゲーションが標準装備され、7速ATにはパドルシフトがつく。

シート

リアゲート

 クラシカルなスタイルと、先進クリーンディーゼル、そして最新装備を組み合わせたG350ブルーテックは、長くつきあうと魅力が実感できる。ファッションで乗るか、実用で使うか、思案どころである。
(CD誌/2013年12月号掲載)

ワンポイント解説/G350dブルーテック

 350ブルーテックは、Gクラスをちょっぴり身近にした。シリーズ唯一の右ハンドルと経済的なディーゼルの組み合わせだったからである。ただし走りはさほどパワフルではなかったようだ。350ブルーテックはその後350dに名称を変更。そのタイミングで245ps/600Nm(61.2kg・m)にパワーアップしている。ブルーテック時代はマイナートラブルも見られたが350dに移行して以降は、信頼性も高まった。

G63トップ02/2016年メルセデスAMG G63

過去記事G63 01

過去記事G63 02

 メルセデス・ベンツが全輪駆動車の開発に挑んだのは1926年である。前2輪、後4輪のすべてを駆動する軍用車は、G1と名付けられた。ドイツ語のゲレンデ、つまりオフロードの頭文字であるこの“G“の名称を受け継いで1979年に生まれたのが現在のGクラスだ。

 かつてのG1と同じように、Gクラスは当初、軍用車として開発がスタートした。Gクラスの基本構造は、オフロードでの走破性を考慮し、かつメルセデスらしい信頼性や耐久性を確保するため、ラダーフレームに、前後ともコイルリジッドのサスペンションを備えていた。4WDシステムは、当初は室内のレバーで後輪駆動と4輪駆動を切り替えるパートタイム式だった。デビュー10周年を迎えた1989年、乗用モデルはフルタイム式に転換した。

 現在の日本仕様は5ドアワゴン。ボディは、地球上のあらゆる場所で容易に修理ができるよう、可能な限り平面で構成されている。ウィンドウガラスは、フロントをはじめすべて平面だ。万一破損しても、住宅用窓ガラスで対処できる。

G63リア

G63インパネ

 ボディ形状をスクエアに近づけた背景の一つに、悪路での車両の見切り性を高める狙いがある。その象徴が、フロントフェンダー上に取り付けられたウインカー兼用のマーカーランプだ。昼夜を問わずボンネット端が確認しやすい。

 最低地上高は215〜235mmもあり、フレームは太く頑強で、室内フロアはステップを使わないと乗り込めないほど高い。腰を下ろしてもほとんど沈み込まないシートは、かつての質実剛健なメルセデス車そのものだ。

 走りだしてすぐ、取り回しの良さを感じる。試乗車のG63の全長×全幅×全高は4575×1860×1950mm。見た目は堂々としている。しかし全長が比較的短く、スクエアなボディは見切りがいい。狭い道でも安心だ。

G63シート

G63エンジン

 車両重量は約2.6㌧に達するうえに、アクセルペダルが重く渋いので、発進はおっとりしている。だが加速性能は強力。速度が増すほど迫力たっぷりの走りを示す。

 乗り心地は固めで、直進性はほどほどのレベルにとどまる。前後ともリジッドアクスルのサスペンションがストロークするため、微妙に進路が変わるからだ。
 こうした特性は、基本設計が古いから…‥ではなく、悪路走破性を最優先した設計思想のためである。それが理解できれば、独特のスタイリングと乗り味にも納得するだろう。
(CD誌/2016年8月号掲載)

ワンポイント解説/メルセデスAMG G63

 463型を名乗る先代の最終型は、「G63」の他に「G65」というAMGモデルも設定していた。G65は5977ccのV12ツインターボを搭載。G63比で59ps/240Nmもパワフルな630ps/1000Nmを発揮した。カタログではその走りを“想像を絶するパフォーマンス”と表現。価格はなんと3470万円だった

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