フェラーリ・クラシケをご存じだろうか?
2006年に設立されたクラシケは、生産から20年以上が経過したフェラーリが「本物」であるかどうかを認証し、レストアやメンテナンスを行い、ビンテージ・フェラーリを所有するオーナーを対象とした各種イベントを主催する組織だ。
なぜフェラーリ・クラシケは誕生したのだろうか?
1980年代から90年代にかけて、世界中で「ニセモノのビンテージ・フェラーリ」が市場に現れるようになった。それらは、オリジナルとはまったく異なるパーツが用いられていたり、たとえフェラーリ製シャシーやエンジンを搭載していたとしても、オリジナルとは異なる組み合わせで車両が構成されている個体が少なからずあったという。
そういったニセモノを市場から排除し、顧客が安心してビンテージ・フェラーリを購入できるようにすることがクラシケ創設の最大の理由だったと、同部門を統括するアンドレア・モデナ氏は語った。
では、1台のビンテージ・フェラーリが本物であるかどうかを、彼らはどうやって見分けるのだろうか?
フェラーリには1947年に生産された最初のモデル、125Sから現行の最新モデルにいたるまで、1台1台の詳細スペックがすべて完璧な状態で保存されている。これをもとにして、現在の車両がどの程度「オリジナル度」を保っているのかを評価。その結果に応じて、本物かどうかを判定する。
その判定にしても明確な規準がある。まず、シャシー、ボディ、エンジン、ギアボックス、ディファレンシャルギアの5つを主要なコンポーネントと位置付け、シャシーがオリジナルであることが絶対条件。残るボディ、エンジン、ギアボックス、ディファレンシャルギアのうち、2つ以上がオリジナル車両と同じなら本物と認定される。
では、ニセモノと判定された車両はどうなるのか? クラシケに所属するファビオ・メネゴンは、たとえそのオーナーが自分の古い友人であったとしても「車両を破壊、廃棄するように依頼する」と語った。しかも、そうした実例は少なからずあるようだ。
本物のビンテージ・フェラーリだけを後世に残すことは、オーナーの満足感と安心感を高め、フェラーリというブランドの保護に役立つと、彼らは考えている。なお、クラシケで認証されたビンテージ・フェラーリはそれだけで取引価格が平均で15〜20%も高くなるそうだ。