マクラーレンの名高い「1」モデルの血統を受け継ぐ新世代スーパースポーツ「W1」がデビュー

マクラーレンが「F1」「P1」のスーパーカー哲学を継承する新世代スーパースポーツ「W1」を発表。パワートレインは新開発のMHP-8型4リットルV8ツインターボエンジンに、電気モーターとコントロールユニットを一体化したE-モジュールを搭載して、トータル最高出力1275ps/最大トルク1340Nmを発生。生産台数は世界限定399台で、すでに完売

 英国マクラーレン・オートモーティブは2024年10月6日(現地時間)、新世代スーパースポーツの「W1」を発表した。

▲マクラーレンの名高い「1」モデルの新世代スーパースポーツ「W1」が登場。生産台数は世界限定399台で、車両価格は200万ポンド(約3億8500万円)~に設定

▲マクラーレンの名高い「1」モデルの新世代スーパースポーツ「W1」が登場。生産台数は世界限定399台で、車両価格は200万ポンド(約3億8500万円)~に設定

 

 マクラーレンがF1シーンにおいて初の世界チャンピオンとなった50年前の10月6日を記念して同じ日に公開されたW1は、マクラーレンの名高い「1」モデル、1992年発表の「F1」と2012年発表の「P1」のスーパーカー哲学を継承する、マクラーレンのアルティメットモデルの究極形に位置。車名のW1は“ワールド1”の意味で、前述の世界チャンピオンの獲得に由来している。

▲マクラーレンW1(写真・手前)は1992年発表の「F1」(同・奥)と2012年発表の「P1」(同・中)のスーパーカー哲学を継承する、マクラーレンのアルティメットモデルの究極形に位置する

▲マクラーレンW1(写真・手前)は1992年発表の「F1」(同・奥)と2012年発表の「P1」(同・中)のスーパーカー哲学を継承する、マクラーレンのアルティメットモデルの究極形に位置する

 

 注目のパワートレインは、バンク角90度に設定した新開発のMHP-8型3988cc・V型8気筒DOHCツインターボエンジン(最高出力928ps/最大トルク900Nm)に、電気モーター(最高出力255kW〈347ps〉/440Nm)とコントロールユニットを一体化したE-モジュールを組み合わせて縦置きミッドシップ搭載し、そのユニットの前にリチウムイオンバッテリー(総電力量1.384kWh)を配置してプラグインハイブリッドシステムを構成。システムのトータル最高出力は1275ps、最大トルクは1340Nmを誇る。トランスミッションには専用セッティングの8速DCTを採用し、後退は電気モーターが担当。駆動は電子制御ディファレンシャルを介して後輪に伝達される。電動モーターのみでの航続距離は2kmほどで、バッテリーへの充電は約22分の急速充電で80%までの充電が可能。性能面では、最高速度350km/h(電子的に制限)、0→100km/加速2.7秒を達成した。

▲パワートレインは新開発のMHP-8型3988cc・V型8気筒DOHCツインターボエンジン(928ps)に、電気モーター(255kW)とコントロールユニットを一体化したE-モジュールを組み合わせて縦置きミッドシップ搭載。そのユニットの前にリチウムイオンバッテリー(総電力量1.384kWh)を配置してプラグインハイブリッドシステムを構成する。システムのトータル最高出力は1275ps、最大トルクは1340Nmを誇る

▲パワートレインは新開発のMHP-8型3988cc・V型8気筒DOHCツインターボエンジン(928ps)に、電気モーター(255kW)とコントロールユニットを一体化したE-モジュールを組み合わせて縦置きミッドシップ搭載。そのユニットの前にリチウムイオンバッテリー(総電力量1.384kWh)を配置してプラグインハイブリッドシステムを構成する。システムのトータル最高出力は1275ps、最大トルクは1340Nmを誇る

 

 基本骨格については、“エアロセル”(ハイフットボックス、一体型シート、一体型フロントサブフレーム、一体型シングルピースアッパーストラクチャー)と称するCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製モノコックボディに、前後クラッシュストラクチャーを組み合わせて構成。剛性を高めつつ、軽量化を図った結果、最軽量乾燥重量で1399kgを実現し、パワーウエイトレシオでは911ps/トンを成し遂げた。

▲基本骨格には“エアロセル”(ハイフットボックス、一体型シート、一体型フロントサブフレーム、一体型シングルピースアッパーストラクチャー)と称するCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製モノコックボディを採用

▲基本骨格には“エアロセル”(ハイフットボックス、一体型シート、一体型フロントサブフレーム、一体型シングルピースアッパーストラクチャー)と称するCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製モノコックボディを採用

 

 シャシー面に関しては、前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションを基本とするマクラーレンレースアクティブシャシーコントロールⅢ(露出したインボード式アクティブヒーブサスペンション、3Dプリントによるチタン製サスペンションコンポーネント、リアアクティブドロップリンク、可変ダンピング)を採用。レースモード(スプリント/GP/ブーストの3パターン)を設定し、これを選択するとライドハイトがフロントで37mm、リアで17mm低くなり、合わせてリアウィングが300mm後方に伸びてロングテールに切り替わる。ダウンフォースはフロントで最大350kg、リアで最大650kgを実現した。公道走行に適したコンフォートモードや、ワインディングなどで最適なスポーツモードも設定し、公道とサーキットの両方で圧倒的な性能を発揮する。また、シューズには大幅な軽量化を果たした新造形の鍛造アロイホイール(前9.5J×19/後12.0J×20)と専用設計のピレリP ZERO RタイヤおよびピレリP ZERO Trofeo RSタイヤ(前265/35R19、後335/30R20)を装着した。

 操舵機構も注目ポイントで、新しいハードウェアとソフトウェアを組み込み、同時にギアレシオを見直した電動油圧アシスト式ステアリングのマクラーレンハイドロリックパフォーマンスステアリンを装備。また、制動機構にはカーボンセラミックディスク(前φ390/後φ390mm)+鍛造モノブロックキャリパー(前6ピストン/後4ピストン)で構成するマクラーレンカーボンセラミックレーシング+(MCCR+)システムを組み込んだ。

▲シャシー面には前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションを基本とするマクラーレンレースアクティブシャシーコントロールⅢを装備

▲シャシー面には前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションを基本とするマクラーレンレースアクティブシャシーコントロールⅢを装備

▲レースモードを選択するとライドハイトがフロントで37mm、リアで17mm低くなる

▲レースモードを選択するとライドハイトがフロントで37mm、リアで17mm低くなる

▲シューズには大幅な軽量化を果たした新造形の鍛造アロイホイール(前9.5J×19/後12.0J×20)と専用設計のピレリP ZERO RタイヤおよびピレリP ZERO Trofeo RSタイヤ(前265/35R19、後335/30R20)を装着

▲シューズには大幅な軽量化を果たした新造形の鍛造アロイホイール(前9.5J×19/後12.0J×20)と専用設計のピレリP ZERO RタイヤおよびピレリP ZERO Trofeo RSタイヤ(前265/35R19、後335/30R20)を装着

 

 エクステリアについては、“機能が形を決める”というマクラーレンの設計理念のもとに、空力性能をいっそう研ぎ澄ませたことが訴求点である。核となるのがエアロセル(Aerocell)モノコックで、フロントセクションを細く絞り、フロアを高くしたことに加えて、一体型シートを配してホイールベースを短く設定して、グラウンドエフェクトエアロダイナミクスを最大限に活用する形状に仕立てる。また、リアに最大で300mm伸びるアクティブロングテール(Active Long Tail)リアウィングを、フロントに弧を描くようにして全幅にわたって低圧エリアを作り出すスポイラーを配備。さらに、ドアにはアンヘドラル(Anhedral)ドアと称するエアロブレード一体型の上ヒンジ式ガルウィングタイプを組み込んだ。デザイン面も要注目で、上部には流麗な造形で、かつ整流効果の高い“シュリンクラップドデザイン”を、下部にはシャープでテクニカルな空力デバイスを装備。フォーミュラ1由来のサイドポッドは、エクステリアの表面形状をフルに活かしてエアロセルの周囲にエアフローを導く。ボディサイズは全長4635×全幅2074×全高1182mm、ホイールベース2680mm、トレッド前1676/後1624mmに設定した。

▲エアロセル(Aerocell)モノコックを採用。フロントセクションを細く絞り、フロアを高くしたことに加えて、一体型シートをはしてホイールベースを短く設定して、グラウンドエフェクトエアロダイナミクスを最大限に活用する形状に仕立てる

▲エアロセル(Aerocell)モノコックを採用。フロントセクションを細く絞り、フロアを高くしたことに加えて、一体型シートを配してホイールベースを短く設定して、グラウンドエフェクトエアロダイナミクスを最大限に活用する形状に仕立てる

▲フォーミュラ1由来のサイドポッドはエクステリアの表面形状をフルに活かしてエアロセルの周囲にエアフローを導く

▲フォーミュラ1由来のサイドポッドはエクステリアの表面形状をフルに活かしてエアロセルの周囲にエアフローを導く

▲リアに最大で300mm伸びるアクティブロングテール(Active Long Tail)リアウィングを装着

▲リアに最大で300mm伸びるアクティブロングテール(Active Long Tail)リアウィングを装着

▲ドアにはアンヘドラル(Anhedral)ドアと称するエアロブレード一体型の上ヒンジ式ガルウィングタイプを組み込む

▲ドアにはアンヘドラル(Anhedral)ドアと称するエアロブレード一体型の上ヒンジ式ガルウィングタイプを組み込む

 

 内装に関しては、マクラーレンDNAの中核に従ってスーパースポーツの比類なき人間工学とクラス最高の視界を確保した新設計の“ラップアラウンド”インテリアを採用する。コクピットはミニマルなデザインで構成し、エアロデプロイメントとブーストの2つのボタンしか装備していない上下フラット形状のステアリングホイールや、調整可能なアルミニウム製ペダル、ヘッドライナー内に配した各種スイッチ、情報や調整機能を担うマクラーレンインフォテインメントシステム(MIS Ⅱ)および8インチの高解像度タッチスクリーン、新設計のバケットシートなどを装備。また、大きなフロントガラスやマクラーレン史上最も細いAピラー、斜め後方のガラス張りなどによって有効な視界を確保する。さらに、シートの背後にはラゲッジシェルフを設定。ヘッドレストは前方に倒すと水平になり、収納スペースは最大117リッターを確保した。超軽量テキスタイルの“マクラーレンInnoKnit”素材や厚さ3mmのカーボンファイバー製サンバイザーなどを配して、軽量化を果たすとともにW1ならではの個性に磨きをかけたこともインテリアの特徴である。

▲コクピットはミニマルなデザインで構成。エアロデプロイメントとブーストの2つのボタンしか装備していない上下フラット形状のステアリングホイールや、調整可能なアルミニウム製ペダル、ヘッドライナー内に配した各種スイッチ、情報や調整機能を担うマクラーレンインフォテインメントシステム(MIS Ⅱ)および8インチの高解像度タッチスクリーンなどを配備する

▲コクピットはミニマルなデザインで構成。エアロデプロイメントとブーストの2つのボタンしか装備していない上下フラット形状のステアリングホイールや、調整可能なアルミニウム製ペダル、ヘッドライナー内に配した各種スイッチ、情報や調整機能を担うマクラーレンインフォテインメントシステム(MIS Ⅱ)および8インチの高解像度タッチスクリーンなどを配備する

▲超軽量テキスタイルの“マクラーレンInnoKnit”素材を張った新設計のバケットシートを装着

▲超軽量テキスタイルの“マクラーレンInnoKnit”素材を張った新設計のバケットシートを装着

▲シートの背後にはラゲッジシェルフを設定。ヘッドレストは前方に倒すと水平になり、収納スペースは最大117リッターを確保する

▲シートの背後にはラゲッジシェルフを設定。ヘッドレストは前方に倒すと水平になり、収納スペースは最大117リッターを確保する

 

 なお、マクラーレンW1の生産台数は世界限定399台で、ユーザーはマクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)を利用して様々な内外装に仕立てることも可能。車両価格は200万ポンド(約3億8500万円)~の設定だが、すでに完売しているという。

▲W1はマクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)を利用して様々な内外装に仕立てることも可能

▲W1はマクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)を利用して様々な内外装に仕立てることも可能

 

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