SUBARUは2024年10月17日、エンジンとモーターを動力源とするハイブリッドシステム「ストロングハイブリッド」を発表。クロストレックに搭載して先行予約をスタートした。発売は12月を予定している。
クロストレックのストロングHVは、プレミアムS:HEVとプレミアムS:HEV EXの2グレード構成。価格は従来のマイルドHVのリミテッド比で約35万円高、アイサイトXやナビなどの装備が追加されるEXはさらに20万円ほど高額になる
ストロングハイブリッドは、かねて噂のスバルらしい走りの楽しさと環境性能が高い次元で両立された新世代のパワートレーンである。トヨタの技術をスバル流にアレンジしたシリーズ・パラレル方式で、状況に応じてエンジンとモーターを効率よく使い分ける。
具体的にはスバルの魅力であるシンメトリカルAWDの基本レイアウトを継承し、新開発の2.5リッター水平対向エンジン(160ps/209Nm)とトランクアクスルを搭載。エンジンのゆとりあるパワーと高出力モーター(119.6ps/209Nm)により高い加速性能を実現した。パフォーマンスはスポーティカーレベル。0→100km/h加速データは従来のマイルドHV比で2秒以上短縮。ややマイルドな走りがクロストレックの数少ない不満点だったが、それを完全に払拭した。またライバル各車のような後輪をモーターで駆動するオンディマンドAWDではなく、前後輪をプロペラシャフトでつなげた機械式AWDを継承したことで、あらゆる路面でスバルらしい圧倒的な走破性&安定性を発揮する。
もちろん燃費経済性もハイレベルだ。WLTCモード燃費を従来のマイルドハイブリッド比で20%以上リファイン。さらに大型駆動用バッテリーを搭載しながらも、燃料タンク容量を48リッターに対し63リッターと大幅に拡大することで、歴代スバル車最長となるワンタンク1000kmを超える航続距離を実現した。開発者は「東京を起点に、青森でも、山口でも本州の端まで無給油で走れる」と胸を張る。またEVドライブモードの採用や、通常走行でも大幅にモーター走行領域を拡大することで、実用燃費と走行時の静粛性を向上させているのもポイントだ。
外観は、専用の18インチアルミ以外、従来モデルとの識別ポイントは少ない。ただし足回りやボディは上級グレードとしてふさわしい快適で上質な乗り心地と安心感のあるハンドリング実現を念頭に専用設計された。
具体的には、リアダンパーのロッドを延長して横力時のフリクション荷重を減らし、しなやかな乗り心地を実現したほか、ボトム側へのチェックバルブスプリングの追加により、スムーズな減衰とフラット感を向上させている。さらに、アームブッシュ特性の見直しにより、トー変化とヒステリシス(力の伝達の遅れ)を低減。操舵の手応えやライントレース性の向上を図った。
インテリアは上級のEXにはアイサイトXとセットで先進感のあるフル液晶メーターが付き、全車に専用タイプのグレー・ファブリックシートが装着される。
ストロングHVは、ラゲッジの右側にAC100Vの電源コンセントを設定。荷室は既存モデルに対してフロアが微妙に高くなり、荷室高は20mm減っている。容量として後席使用時で279リッター。既存モデルは311リッターだから、数値上はけっこう違う。アンダーボックス容量も少し狭くなった。
ちなみにストロングハイブリッドは、まずクロストレックから導入がスタートし、2025年にはモデルチェンジするフォレスターにも設定される予定だ。これからのスバルの主軸メカニズムとなるストロングハイブリッドは魅力たっぷり。その動向からは目が離せない。
グレード=クロストレック・ストロングHV
全長×全幅×全高=4480×1800×1575mm
ホイールベース=2670mm
トレッド=前1560/後1570mm
最低地上高=200mm
車重=1660kg
エンジン(レギュラー仕様)=2498cc水平対向 4DOHC16V
エンジン最高出力=118 kW(160ps)/5600 rpm
エンジン最大トルク=209Nm(21.3kgm)/4000~4400rpm
モーター最高出力=88kW(119.6ps)
モーター最大トルク=270Nm(27.5kgm)
燃料タンク容量=63リッター
サスペンション=前ストラット/後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=225/55R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m
※ストロングHVは「S:HEV」と「S:HEV EX」の2グレード構成