デリカミニは、そのネーミングどおり、「ミニバンSUV」として独自のポジションを確立したデリカの弟分。タフでギア感のあるスタイリングは、ライバルが続々とデビューする中でもひときわ異彩を放つ。とくに三菱らしいフロントマスクはインパクト大だ。4WDに標準装備される大径タイヤ(165/60R15サイズ)もよく似合い、2トーンを含め12タイプも用意されたボディカラーも選ぶ楽しさがある。
試乗車は最上級のTプレミアムの4WD。FF仕様より外径が10mm大きいタイヤを履き、走りもタフに専用チューニングされている。ざっくりいうと、ショックアブソーバーの減衰力の縮み側を下げるとともに伸び側を強化したという。
その成果は、走るとすぐに実感できる。まずは砂利道にトライした。普通ならもっとガツガツと、いかにも荒れた道を走行している感覚がダイレクトに伝わってくるはずだが、実にしっかりしており、乗り心地も意外にいい。大径タイヤとの相乗効果で入力が上手く吸収されているようだ。突き上げは少なく、轍でステアリングが取られることもない。よい意味で感度が低く、砂利道でも神経質にならずに走れる。
舗装路では、快適性の高さと動きの素直さに感心した。ダンパーのチューニングが絶妙で、カーブではロールを抑えながらも突っ張った感じはない。上質なステアリングフィールを味わいながら、自然な感覚でコーナリングできた。
動力性能もなかなかである。車重は1㌧を超えているが、ターボのおかげで高速道路を含めてストレスなく走れた。先進安全装備も充実している。
デリカミニは、見た目だけでなく、伝統あるデリカの一員らしく、しっかりと作り込まれている。滑りやすい路面での発進性を高める制御が新たに追加されているのもその一例。いままでよりも、一歩先のフィールドに入っていける本格派だ。カワイイ顔をして、実力は本物である。
精悍なブラックをベースにライトグレーのアクセントを配した室内も魅力的。いたるところに収納スペースが用意され、シートは撥水性のある生地を採用している。試乗時に雨に降られたが、濡れても水滴をサッと拭き取ることができて不快な思いをせずに済んだ。小さな子どものいる家族なら、とくに重宝するだろう。荷室も簡単に汚れを拭き取れるようになっている。開口高は1080mmもあり、荷室地上高も低いので、かさ張る荷物も積み下ろししやすい。リアシートは左右分割で320mmも前後スライドするのに加え前倒しできるので自在にアレンジできる。デリカミニは使い込むほどに、信頼が増すクルマだ。