【スーパーカー新時代】ランボルギーニ・テメラリオは「桁外れに勇敢」なV8+3モーターPHEV。最高許容回転数はなんと10000rpm!

テメラリオ01

ランボルギーニ・テメラリオ=TEMERARIO。車名はマドリッドで活躍した闘牛に由来。スペイン語で「桁外れに勇敢」を意味する。ヘキサゴン状のデイタムランプの上で睨みをきかすシャープなヘッドライトが印象的

ランボルギーニの新たな主軸、それは刺激的な存在

 システム総合出力920cv。もし1015cvを誇るレヴエルトが先に登場していなかったら、「ウラカン後継車」、その名もテメラリオのスペックだとは誰も思わなかったに違いない。テメラリオのパフォーマンスは、0→100km/h加速2.7秒、最高速は340km/h以上。アヴェンタドール後継と説明されても納得するほどの数字である。

 というわけで、テメラリオはもはや「ベビーランボ」ではない。何しろテメラリオとは、その昔マドリッドで活躍した闘牛の名前であると同時に、スペイン語で「桁外れに勇敢」という意味だ。ランボルギーニはそのことを「フォーリクラッセ=規格外」であると宣言した。

 新色のブルーをまとったテメラリオの第一印象はというと、実はそんなハイスペックさをまるで感じさせない。むしろ従来にないほどラグジュアリーなムードのスーパースポーツだった。

フロント

サイド ヘキサゴン状のユニークなデイタイムライトの上で薄目のヘッドライトが睨みをきかす。前後のフェンダーはグラマラスに抑揚し、鋭く尖ったノーズとドラマチックに跳ね上がったリアエンドとを結んでいる。見るからに中が広そうなキャビンスタイルだ。レヴエルト同様に上方排気を採用しており、リア両脇には再びヘキサゴン状のライトが備わっていた。とても低い位置にV8ツインターボエンジンを搭載している。

 インテリアはまるでレヴエルトのようだ。ドアパネルやセンターコンソール、メーターのグラフィックは異なるものの、ダッシュボードそのものはそっくり。チーフデザイナーのミッティア・ボルカートは、「歴史に残るコクピットスタイルを提案したかった」という。レヴエルトと同様、パイロットになった気分を味わえるコクピットスタイル。頭上も足元も広い。ちなみにラゲッジスペースも顧客の要望に応じてかなり広がった。

 ボディ骨格はさすがにカーボンファイバーではなく、アルミスペースフレームだ。パワートレーンそのものが小さくまとまったため、形状的にもシンプルになって軽量かつ高剛性(ウラカン比でねじり剛性24%増)を達成した。

トップスピード340km/hオーバー! 実力は超高水準

 注目のパワートレーンは、そのシステム構成=フロントモーター×2+バッテリー+エンジン+モーター+8DCTもレヴエルトとよく似ている。実際、バッテリーは基本的にレヴエルトでも使用されているユニットだ。

 L411型と呼ばれる90度4リッター・V8はサンタアガータ独自開発の完全ニューエンジン。ドライサンプ・フラットプレーンとし、バンクの谷間に2基の大型ターボチャージャー(ブースト圧は最大2.5バール)を抱えたホットV形式だ。
 エンジン単体のスペックは最高出力800cv/最大トルク730Nmというから、もうこの時点でアヴェンタドール・ウルティメの数値を上回っている。

リア

 最高出力は9000〜9750rpmで発揮する。超高回転型エンジンだ。最高許容回転数はなんと1万rpmというから早くブン回してみたい。これらの開発にはモータースポーツ活動で得られた知見がフルに活用された。

 これほどまでに潔く高回転型にできた理由のひとつに、電気モーターを加えたハイブリッド式が開発の前提とされたことが挙げられる。テメラリオはフロントに2基、エンジンとミッションの間に1基、計3基の電気モーターを備えている。フロント用アキシアルフラックスモーター2基によるeアクスルは、もちろんトルクベクタリングとしても働く。ちなみにレヴエルトとは違ってリア用もまたアキシアルフラックスモーターで、クランクシャフトと直結させた。

 レヴエルトではリアモーターが8速DCTと一体となったeDCTを採用していた。ところがテメラリオではリアモーターはエンジンハウジングに組み込まれている。つまりDCTミッションそのものがレヴエルト用とは異なる。テメラリオ用は非常にコンパクトな機械式の新設計8速DCTなのだ。ちなみにレヴエルトではリバースをモーターの逆転で行ったが、テメラリオではリバースギアが備わる。

シート

 サウンドも楽しみのひとつ。ルーベン・モール率いる開発陣はフラットプレーンV8の特性をサウンドだけでなく振動でも体感できるようエンジンマウントやボディに工夫を施した。加えてサイレンサーボックスや排気バルブ、サウンド・シンポーザーなどを駆使し、ドライブモードごとに音響チューンを行っている。1万rpm付近でのサウンドとバイブレーションについてルーベンは「市販車では味わったことのないレベルに達している」と語る。実に楽しみだ。

 トラック性能を重視する顧客向けに「アレジェリータ(軽量化)」パッケージも最初から用意する。各所にカーボン製エアロパーツを装着した姿が実に勇ましい。もちろん空力も向上している。

 語るべきことは他にもたくさんあるが続きは乗ってからのお楽しみにしよう。価格はウラカン最終仕様からおよそ2割アップとなりそうで、日本での正式発表は11月29日の予定だ。
「ランボルギーニはドリームカーであり続ける」。チェアマン&CEOのステファン・ヴィンケルマンの言葉がすべてを物語っている。

諸元

エンジンリッド

マフラー2028年デビュー予定BEV、ランザドール情報

 ランザドールは2028年にデビュー予定のBEV。2023年8月にコンセプトカーが発表された。首脳陣によれば、ほぼこのプロポーションで登場するという。ランザドールは2+2構成のGT。ヴィンケルマンCEOは、「次世代モデルを考えたとき、すでに存在する2種類のスーパーカーと1種類の大型SUVとはまるで違うカテゴリーにしなければいけないと思いました。そうすると必然的にGTとなります。しかもわれわれはいつもユーザーやファンを驚かせたい。そこでデザイナーやエンジニアが知恵を絞った結果が、このランザドールでした」と説明する。

 メカニズムの詳細は未公表。開発部門を率いるルーベン・モールは、「フル電動パワートレーンの魅力は駆動力を4輪に自由に配分できることです。走りは従来と別次元。ドライバーはヒーローになったような気分でメガワット級の高性能GTを操ることができるのです」と教えてくれた。実に楽しみである。

スタイル

室内

 

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