こだわりのコンパクトプレミアム、ノート・オーラ・オーテックに、爽快なドライビングフィールを追求した「スポーツスペック」が加わった。
オーテックは「Premium Sporty」をキーワードに内外装をスペシャルな味わいに仕上げた個性派シリーズである。各部に発祥の地である「湘南の海」(本社所在地は神奈川県茅ヶ崎市)のモチーフを盛り込み、フィン形状のアルミは水中へ差し込む光の躍動感を、メタル調フィニッシュパーツは波打ち際に光る白波の勢いと美しさをイメージしたという。現在、オーテックはSUVのXTRAIL、ミニバンのセレナはもちろん、商用車のキャラバンまで全8モデルを展開。日産ラインアップに欠かせない存在となっている。
その中でもオーラはオーテックの中心モデル。新設定のスポーツスペックは、「目利きが選ぶ上質スポーツコンパクト」を目指して開発された意欲作である。ひと足早く登場したセレナのスポーツスペック同様、ドライバーオリエンティッドなクルマに仕上げられた。せっかく内外装が特別なのだから、走りにもスペシャル感が欲しいというユーザーに向けた、いわばファインチューンモデルだ。
スポーツスペックのメニューは多岐にわたる。加速感向上のためパワートレーンを制御するVCMの特性を専用化。前後サスペンションはバネ/ショックアブソーバー/バンプラバーなどを変更(車高は20mmローダウン)。タイヤはミシュランe-プライマシー(205/50R17)。ボディにはパフォーマンスダンパーを装着しダンピング特性を最適化している。電動パワーステアリングやVDCの制御まで見直され、大型リアスポイラーで空力特性もリファインする念の入れようだ。
車両セッティングには、オーラNISMOの開発経験が生かされており、ショックアブソーバーやバンプラバーなど一部パーツは共用している。ただし、機敏さと明確なスポーティ感を目指したNISMOに対し、スポーツスペックは、爽快さとリニアさ、そして上質性を追求したという。
実際の走りは、伸びのある加速と意のままのハンドリングが印象的だった。ドライブモードはECO/NOMAL/SPORTの3種類。ECOでも加速の力強さとレスポンスは標準車とは明確に異なり、NOMALを選択すると全域でパワフルさを実感。SPORTモードでは、まさに胸のすくダッシュが満喫できた。
ハンドリングは適度なシャープさと安定性が高次元で融合していた。その実力はNISMOとほぼ同等。それでいて足回りはしなやかで乗り心地は良好だ。これは大人に最適なスポーティカーである。e-POWERのスペックは標準車と同様だが、走りの実力は明らかに違う。
高い完成度は、日産車を知り尽くした匠だからこそ実現できたもの。レザーシートに身を落ち着け、静かな室内でアップテンポな走りを楽しむのは特別な体験だった。スポーツスペックが目指した方向性は、あのアルピナに近い。