アルファロメオ・ジュニア。ジュニアは、次世代アルファの主力。ラインアップはアルファ初のBEV 「ELETTRICA(エレットリカ)」とHEVの「IBRIDA(イブリダ)」の2シリーズ。駆動方式はエレットリカがFWD、イブリダはFWDと4WD(Q4)から選べる。2025年に日本にも上陸予定
アルファロメオ・ジュニアは、次世代アルファの主力、すべてのアルフィスタが「待っていました」という言葉で迎える正真正銘のアルファロメオである。発表からわずか4日で車名を「ミラノ」から「ジュニア」に変更したのはご愛嬌。ジュニアはすべてがイタリアン・スポーティネスで仕上げられ、強いメッセージを放つ意欲作だ。
具体的にはステルヴィオ、トナーレに続く第3のSUVである。ボディサイズは4173×1781×1505mmとコンパクト。ラインアップはアルファ初のBEV 「ELETTRICA(エレットリカ)」とHEVの「IBRIDA(イブリダ)」の2シリーズ。駆動方式はエレットリカがFWD、イブリダはFWDと4WD(Q4)から選べる。
ジュニアはまず、そのスタイリングで魅了する。短いオーバーハング、ファットなホイールハウス回り、伝説のGiulia TZを想起させる「そぎ落としたテール」など、ダイナミックそのもの。新しさと同時に伝統を感じさせる点が素晴らしい。「アルファロメオは、いつの時代もクルマを単なる「移動手段」ではなく、 「本物の感情=絆」を紡ぐ大切な手段と考える人たちに向けて造形してきた」とリリースで説明するように、ジュリアにはアルファロメオの歴史と開発陣のパッションが凝縮されている。
印象的なのはアルファの象徴である盾の演出である。スポーティ指向のプログレッソ仕様は、ビショーネ(蛇)の透かし彫り。ジェントルなレジェンタ仕様は戦前のアルファのような筆記体のロゴが入る。フロントマスク中央に位置する盾を、キャンバスのように見立て自由にアレンジしたデザインセンスは素晴らしい。このスタイリングはトリノのアルファロメオ・チェントロスティーレが担当した。
メカニズムももちろん全力投球である。クラス最軽量と理想的な前後重量配分を追求。イメージリーダーとなるBEVのエレットリカは、156psバージョンと280psのヴェローチェの2種を用意する。バッテリー容量は54kWh。EV航続距離は156ps仕様が410km(WLTCモード)、280ps仕様は同332-334kmに達する。
ヴェローチェはアルファ本来のスポーツDNAを体現した存在。0→100km/h加速を5.9秒で駆け抜け、トップスピードは200km/hに達する。そのドライビングダイナミクスは、4CやジュリアGTAを手がけたドミニコ・バニャス氏が率いるスペシャルモデルチームが担当している。
25mm低いローダウンサスペンション、高剛性アンチロールバー、トルセンLSD、フロント380mm径のブレンボ製4ピストンブレーキ、BEV専用設計20インチタイヤを採用し、意のままのハンドリングを追求した。ステアリングギア比が14.6とシャープなこともあり、フットワークは俊敏そのもの。クラストップの実力の持ち主だ。もちろん快適性もハイレベル。開発陣は「ジュニアはコンパクトサイズのプレミアムカー。街乗りからロングドライブまで深い満足感が得られることに注力した」と語っている。
アルファは、やはりエンジンで乗りたいというユーザーにもジュニアはしっかり対応する。HEVのイブリタは可変ジオメトリーターボ付き1.2リッター直3ミラーサイクルエンジンと21kWモーター、そして48Vリチウムイオン電池で構成。トランスミッションは6速DCTを組み合わせる。システム出力は136ps。モーター出力はそこそこのレベルに抑えているものの、メーカーは「市街地の50%以上で電動走行が可能。電動走行時のトップスピードは150km/hに達する」と説明する。
走行モードは、ナチュラル/ダイナミック/アドバンスド・エフィシャンシーの3種(4WDはQ4を加えた4種)。ダイナミックを選べば爽快な走りを、そのほかでは高効率な電動フィールが楽しめそうだ。
ジュニアの日本正式導入時期や、販売グレードは現時点では不明。だが2025年には上陸する。新たなアルファロメオの誕生。クルマ好きには胸騒ぐニュースである。