【素晴らしき哉、イタリアン!】イタリアと日本はより分かり合える関係に深化している by 在日イタリア商工会議所 事務局長「ダヴィデ・ファントニ」

ダヴィデさん01背後に作り手が見えるプロダクトこそ本物のラグジュアリーです

 私は日本とイタリアのビジネス関係を促進し発展させる手助けを行っています。来日してすでに24年ほどになります。
 この間、日本人のイタリアに対するイメージは確実に変わったと思います。以前は「ワー! イタリア、楽しい、明るい、美味しい!」という感じでしたが、いまはイタリアの本質、クラフトマンシップや、センスなどをしっかりと捉えている。プラスのバリューが認知されてきたと思っています。イタリアを実際に訪れたり、自分自身で調べたりする方が増えたのが大きな要因だと感じています。

地図

語り

 イタリア自身も変化しています。南と北の違いは少なくなり、ミラノは本当の都会になりました。20年前、ミラノ人の誇りはさほどではなかった。でも現在はイタリアで一番きれいな街という自負を持っています。南も確実に発展しています。先日、プーリア州のファッションブランドを日本に紹介しました。彼らはサステナブルを大切にしたスーパークリエイティブな作品を生み出します。南も世界に語れるストーリーが増えてきました。

ファッション01

ファッション02

 イタリア人の日本観も変化しています。象徴的なのは日本食の浸透でしょうか。ミラノには200店舗以上の日本料理店がありますし、シチリアのパレルモでも日本食が食べられます。

 ビジネス面でも関係は確実に深まっています。スタートアップ企業も、積極的に日本でチャレンジし、躍進しています。それは、日本がイタリアの魅力、本質を理解している国だからです。そこが他の国とは違う。日本は長いタームで見て、本当の信頼を築ける国だと思います。

 またビジネスジャンルも拡大しています。以前はフード、ファッション、デザイン、クルマが中心でしたが、最近はこれにテクノロジーが加わりました、具体的には環境、オートメーション、製薬分野などです。日本とイタリアの関係は、アメリカやドイツなどと比較すると、まだ始まったばかり。でもだからこそ未来があると考えます。

アルファ

マセラティ

 ちなみに、イタリアは“家族経営”が特徴です。言い換えれば企業にしっかりとしたストーリーがある。クルマを例に取ると、フェラーリ、ランボルギーニ、マセラティを筆頭に、歴史を大切にしアイデンティティを継承しています。そして企業のすべての人が、その大切さを理解し動いている。だからこそ、高いブランド性を一貫してキープしているのだと思います。

 私個人は、日本のクラフトマンシップに注目しています。小さなスケールの“もの作り”、地方の職人技に興味があります。ブランドの背後に作り手の顔が見えるプロダクト、それが私にとってのラグジュアリーです。東京や大阪などの大都会だけでなく、東北などにも目を向けていきたいと考えています。“そこにしかないもの”にこそ価値がある。日本、そしてイタリアには、まだ広く紹介されていない素晴らしいプロダクトが数多く存在します。

 クラフトマンシップを支える職人さんはアーティストです。なぜなら伝統を継承しつつ、確実に新しいものを生み出しているのですから。ただしその価値を紹介するには、明確な“戦略”が必要だと思います。

カット01

カット02

 最後になりますが、2025年春に開催が迫った関西・大阪万博の話をしておきましょう。イタリアには21の州がありますが、その大部分が参加します。こちらでもいくつかの州のお手伝いをしていて、それぞれの魅力を州ごとに紹介するプログラムを練っています。きっとイタリアの新しいイメージを持つきっかけになると思います。ご期待ください。

【Davide Fantoni プロフィール】

プロフィール

ダヴィデ・ファントニ/在日イタリア商工会議所(ICCJ)事務局長。イタリア中央部のトスカーナ州フィレンツェ出身。フローレンス大学を卒業し1980年に来日。1972年に設立されたICCJスタッフとして仙台を振り出しに日本の拠点で活動を続ける。イタリアと日本のビジネス、文化の交流促進のために日々活動している

 

SNSでフォローする