【素晴らしき哉、イタリアン!】「イタリアの名車を、南アフリカから持ち帰りました」ALFA ROMEO GT 1300 Junior/西坂和浩さん

西坂さんの「段付き」ジュリア クーペは異色の経歴の持ち主。南アフリカ工場生産の右ハンドル仕様で、父親が仕事の関係で赴任した折に購入。帰任時に持ち帰った。1970年モデルで各部は一見オリジナルだが、ボディやディテールは南アフリカ流の手直しが施されているという

西坂さんの「段付き」ジュリア クーペは異色の経歴の持ち主。南アフリカ工場生産の右ハンドル仕様で、父親が仕事の関係で赴任した折に購入。帰任時に持ち帰った。1970年モデルで各部は一見オリジナルだが、ボディやディテールは南アフリカ流の手直しが施されているという

まさか自分が「段付き乗り」になるなんて

 まさか自分がアルファ乗りになるとは思ってもみなかった。名車と名高い「段付き」のジュリアクーペに乗っておいてそれはないだろ、と思うが、本当に偶然だったのだから。

 遡ること10年。大学生だった私は、5万円で買ってきたトヨタのカローラ・レビン(AE111)に乗っていた。クラシックカーへの憧れはあったけれど、軒並み値上がりが始まっていて、とても大学生がすぐに買えるようなものはない……そんなときに、南アフリカに駐在していた父が、現地でけっこう売っていると情報を教えてくれた。アルファとアフリカ……当時は想像できなかったが、アルファロメオはかつて、南アに工場を持っていたのだ。なんと当時の南アはタマも豊富で、相場が異様に安い。選んだのは約70万円のGT1300 Jr.だった。相場を知っていると間違いなく心配だが、一応動いてはいた。かくして、ジュリアは父が帰任した2017年に日本の地を踏んだ。

走り

エンジン

 登録に際して、やはりブレーキや電装系など整備を要したが、以降は大きな故障は発生しておらず、ここ7年はきわめて好調。いっとき146というレアなアルファと2台持ちしたこともあったが、結局ジュリアのほうが丈夫で、こちらばかり乗ってしまい、146は知人に譲ってしまった。ジョルジェット・ジウジアーロが描いたオリジナルのたたずまいが最も美しいと考え、ノーマル然とした姿で乗り続けている。

インパネ

 イタリアはクルマ以外にもファッション、映画、食と気になることは多い。いずれも享楽的で陽気で色っぽいといった印象を日本人は抱きやすいが、そろそろそうしたステレオタイプにはまらない、難解なイタリアも知ってみたい。ならばトリノのランチアか。あのクルマには、アルファからは得られないイタリアらしさがある。アルファは好きだが、まだ 30 歳。この先の人生で「まさか自分がランチア乗りになるとは思ってもみなかった」と思う日がやってくるかもしれない。

カット

【西坂和浩さん プロフィール】

プロフィール

にしざか かずひろ/1995年、東京都生まれ。幼い頃よりクルマ好きで、現在はメンズファッション誌で編集者を務める。愛車はアルファロメオ・ジュリア 1300GT Jr.のほか、トヨタ 86 も所有しダートトライアルに挑戦中。夢は、モンゴルやアフリカを舞台にしたラリーレイドに4輪で出場すること。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

 

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