ポルシェがEVスポーツカーのタイカンGTSを駆って氷上ドリフト走行の最長記録にチャレンジ。46分間、17.503kmを走破してギネス世界記録に認定。タイカンとしては4つめのギネス世界記録の栄冠に輝く
ポルシェAGは2025年1月28日(現地時間)、フル電動スポーツカーのタイカン(Taycan)を駆って氷上ドリフト走行の最長記録にチャレンジし、ギネス世界記録を達成したと発表した。
記録挑戦の走行会場は、フィンランドのレヴィ(LEVI)に居を構えるポルシェ・アークティック・センター内の氷上コースに設置した、直径59メートルの特設ドリフトサークル。車両はタイカン・シリーズ中のスポーティなオールラウンダーという性格を有するGTSで、パワートレインにはローンチコントロール使用時で最高出力515kW(700ps)、最大トルク790Nmを発生する前後モーターに、33個のセルモジュールを配して総電力量93.4kWhを確保したリチウムイオン電池のパフォーマンスバッテリープラスおよび800Vの電圧システムを搭載する。記録挑戦に際しては、スパイクを付けた市販のミシュランタイヤを装着し、合わせて走行距離だけではなく、ハンドルの動き、アクセルとブレーキ、車両に作用するGフォースなどのドライバーのアクションも記録するプロ仕様のGPS測定装置を組み込む。ドライバーはポルシェ・エクスペリエンスのインストラクターであるイェンス・リヒター(Jens Richter)氏が務め、またギネス・ワールドレコーズの公式審査員のカール・サヴィル(Carl Saville)氏ら挑戦に立ち会った。
記録挑戦は2025年1月14日の午後にスタート。しかし、1度目は「ドリフトするタイカンの極端な継続的負荷で、氷の軌跡が予想よりも早く劣化し、そのため最初の試みは11kmほどで中止せざるを得なかった」(リヒター氏・談)という。そして2度目のアタックでは、氷の劣化を極力防ぐ目的でタイヤのスパイクを短いものに切り替え、合わせて暗くなると氷の温度がより下がるという状況を利用する計画を立てる。この案は功を奏し、リヒターはスロットルとステアリングのみを巧みにコントロールして、走行時間46分間、計17.503km(特設ドリフトサークル132周)にわたってドリフト走行をし続けた。この結果、従来の記録14.809kmを大幅に更新し、見事にギネス世界記録を樹立する。なお、タイカンとしては2020年にドイツ・ホッケンハイムにおいて達成した最長ドリフト記録、2021年にアメリカ・ルイジアナ州ニューオリンズにおいて達成した室内ドライブ最速記録、2023年に新彊ウイグル自治区からチベットにおいて達成した最大の高度差移動記録に続いて、4つめのギネス世界記録認定となった。
今回の記録達成に際して、リヒター氏は「氷上での新たなギネス世界記録のタイトルにより、タイカンは再び横向きドライビングの資質の高さを実証しました。また、今回は全輪駆動でもその性能を証明しました(2020年の最長ドリフト記録は後輪駆動車)。タイカンGTSが過酷な条件下でも非常にうまく制御できるという事実は、その優れたシャシーとバランスの取れたパフォーマンスを物語っています」とコメントしている。