BMWが「BMWと日本の名匠プロジェクト」第4弾モデルとなる日本オリジナルコンセプトモデルの「X7 錦ラウンジ」を発表。専用2トーンのボディカラーを纏った最上級ラグジュアリーSAVのX7をベースに、楽芸工房が手がけたインパネおよびセンターコンソールパネル、kuska fabricと楽芸工房によって仕上げられたセンターコンソールボックス、老舗織物メーカーの川島織物セルコンが製作したフロアマットを特別装備
BMWジャパンは2025年2月3日、最上級プレミアムSAVモデルのX7をベースとする日本オリジナルコンセプトモデルの「X7 錦ラウンジ(NISHIKI LOUNGE)」を発表した。
2020年8月発表のM850i xDrive グランクーペ 京都エディション、2020年12月発表の750Li xDrive ピュア・メタル・エディション、2021年9月発表のX7 西陣エディション(X7 xDrive40d ベース)に続く、「BMWと日本の名匠プロジェクト」の第4弾モデルに位置するX7 錦ラウンジは、高級感あふれる凛とした存在感とラグジュアリーSUVに相応しい乗り心地、最大7名の乗車を可能とする高い実用性を備えた通常モデルのX7をベースに、日本の伝統工芸を惜しみなく施して、その魅力度をいっそう際立たせたことが特徴である。また、X7 西陣エディションが「“光”がうつろう、明るくクリーンな新時代のラグジュアリー空間」をコンセプトに掲げていたのに対し、X7 錦ラウンジはそこから時間を経て「“星”がきらめく、美に満たされたやすらぎの空間」をコンセプトに据えている。ちなみに、モデルの名称に“錦”を冠したのは、“錦”が色とりどりの糸で織られた絹織物だけでなく、自然の彩りや“心の錦”“錦心”など心の美しさを表す単語で、なおかつその語源が“二色”であることから「夜のとばりがおりて輝く星」と「2つの美しい色できらめく世界」がコンセプトモデルの持つラウンジ空間のイメージと合致することに由来しているという。
では、X7 錦ラウンジの概要を紹介していこう。まず外装では、通常モデルでは未設定の特別な2トーンペイントのボディカラーを纏ったことがトピック。BMW Mトリコロールカラーの中心色であるブルーで、かつBMWブルーの中で最も柔らかな色調であるBMW Individual カラーのベルベットブルーをメインカラーに用い、そこに宇宙に輝く星雲の煌めきを表現する目的でルーフ部分をスペースシルバーで塗装して、“錦”の語源の二色を鮮やかかつ巧みに具現化する。また、宝石のような光輝を放つ“クリスタルライトヘッドライト”や優しい光を放つ“アイコニックグロー”を配備して、明るい星を思わせるルックスに仕立てた。
インテリアについては、1万5000個ものLEDにより青白い星の光を夜間に主張するパノラマスカイルーフや、地上に輝く光を音で表現するB&Wダイヤモンドサラウンドサウンドシステム、光を反射した上質な輝きを放つクラフテッドクリスタルなどを組み込んで、“星”が輝くやすらぎのキャビン空間を創出したことが訴求点。そして、京都・西陣で箔屋としての歴史を重ねてきた村田商店の直営工房・意匠部として平成元年に創業し、西陣織の特徴のひとつである引箔の製造を行なっている楽天工房が手がけたインパネトリムおよびセンターコンソールパネルや、1936年創業の老舗ちりめん製造工房のkuska fabricと前述の楽天工房がコラボして仕立てたセンターコンソールボックス、1843年に創業した国内有数のファブリックメーカーである川島織物セルコンが製造したフロアマットという、スペシャルな工芸架飾を特別装備した。
楽天工房が手がけたインパネトリムおよびセンターコンソールパネルは、五色銀重(ごしきぎんがさね)という手法を採用。ベースに黒漆を塗って箔を押し、その上から黒漆を重ね塗りして箔を消し込む工程を繰り返して、貼り付ける箔の輝きや色味を繊細に変化させて、広大な宇宙空間と煌めく星々を箔泊装飾で鮮やかに表現している。
一方でセンターコンソールボックスは、kuska fabricが経糸(たていと)と緯糸(よこいと)ともレザーで、しかも4mm、3mm、2mmとレザーの太さを変えて繊細かつ立体的な仕上がりとしたレザー100%の織物に、楽天工房による箔の装飾を施し、文様には連続柄の市松模様を採用。宇宙空間の果てしない広がりを、丹後織と箔装飾で見事に有形化している。
そしてフロアマットは、川島織物セルコンの職人が基布にタフティングガンと呼ばれる電動工具で糸を打ち込んで製品を作っていく“ハンドタフト”という技法を採用。特別に染め分けられた絣糸(かすりいと)、紫、紺、黒の4色の中から選んだ5本を撚り合わせた7種類の撚糸をパイルとして打ち込み、微妙な色彩の変化を“打ち込んで描く”ことで、光り輝く安らぎの夜空を足もとに具象化する。運転席と助手席、左右の後席の4つのマットをすべて異なるデザインで仕立てて、無限の星の広がりを演出したことも、職人たちのこだわりである。
なお、X7 錦ラウンジは2月10日から3月3日にかけて、東京・麻布台ヒルズのBMWブランド・ストア「FREUDE by BMW」にて特別展示される。市販化に関しては、現在のところ正式なアナウンスはなし。「BMWと日本の名匠プロジェクト」の第3弾モデルまでは、3台、2台、3台と限定で販売されてきたので、X7 錦ラウンジの発売も期待したいところである。