独ポルシェAGは8月26日(現地時間)、EVスポーツモデルの「タイカン(Taycan)」のインテリアデザインを公開。合わせて、独ニュルブクリンク北コースでプロトタイプによるタイムアタックを実施し、4ドアEVスポーツカー最速となる7分42秒のラップタイムを記録したと発表した。
9月4日のワールドプレミアを控えるタイカンは、システム電圧800Vを誇るポルシェ初のピュアEVスポーツモデルである。そのエレクトリックパワートレインは、ル・マン24時間レースを3連覇したレーシングプロトタイプの919ハイブリッドのテクノロジーをフィードバック。システム最高出力は600psを発生し、最高速度は250km/h、0→100km/h加速は3.5秒に達するという。
▲ポルシェ初のEVスポーツモデルであるタイカンのインテリアが公開された。ダッシュボードデザインは初代911が発想の源。スポーティなドライビングためにアレンジされたこのダッシュボードデザインを、デジタル時代にふさわしい造形に再構築。独立型の湾曲したメーターパネルは明確かつ必要最小限、しかも最先端のデザインで構成し、ポルシェ特有の丸型メーター表示も可能な湾曲した16.8インチディスプレイを組み込んだ
今回公開されたタイカンのインテリアは、1963年に登場した初代911のダッシュボードデザインが発想の源という。スポーティなドライビングためにアレンジされたこのダッシュボードデザインを、タイカンではデジタル時代にふさわしい造形に再構築。独立型のメーターパネルは明確かつ必要最小限、しかも最先端のデザインで構成し、ポルシェ特有の丸型メーター表示も可能な湾曲した16.8インチディスプレイを採用する。また、カウルを省略した一方で、パネル表面には蒸着偏光フィルターによる反射防止コーティングを施したガラスを組み込んだ。
メーターパネル自体は4つの表示モードから選択できる。まずはクラシックモード(パワーメーター)。ポルシェ特有の丸型メーターを彷彿させるディスプレイは、明確に配置された情報を提供し、素早い読み取りを可能とする。パワーメーターは、メーターパネル中央にレブカウンターを配置する表示だ。次にマップモードでは、中央のパワーメーターをマップレイアウトに変換。フルマップモードでは、丸型メーターを省いて全画面のナビゲーションマップを表示する。そしてピュアモードでは、速度、道路標識、最小化した矢印によるナビゲーション指示などの重要な運転情報のみを表示する仕組みだ。
▲メーターパネルの表示はクラシックモード(パワーメーター)/マップモード/フルマップモード/ピュアモードという4つのモードから選択可能
ダッシュボード上部および下部は、翼をイメージさせるような左右に広がったデザインで構成。中央の10.9インチインフォテインメントディスプレイとオプションのパッセンジャーディスプレイの組み合わせは、ブラックパネルルックの一体化されたガラス画面を形成し、それによってインテリアと視覚的に融合する。また、上昇するセンターコンソールには、触覚フィードバック技術を備えた大型の8.4インチタッチパネルを装備した。
一方ですべてのユーザーインターフェースは、タイカンのために新たにデザインされる。スイッチやボタンなど、従来の制御用ハードウェアはその数が大幅に削減。代わってタッチ操作や"Hey Porsche"コマンドに応答するボイスコントロール機能を組み込んだ。また、ポルシェアクティブサスペンションマネージメントシステム(PASM)などの車両設定はセンターディスプレイを直接タッチすることで操作可能とし、さらにカスタマイズ可能なホーム画面からすべてのアプリに素早くアクセスできるように設定する。アプリはナビゲーション、電話、メディア、コンフォート機能、およびPorsche Connect機能を含み、最適化されたボイスコントロールを使えば、ドライバーは必要な機能によりいっそう素早くアクセスすることが可能だ。加えて、助手席側には専用のタッチディスプレイをオプションで用意。ドライバーの気を散らすことなく、ナビゲーターが簡単に設定変更を行えるようにした。
▲センターコンソールには触覚フィードバック技術を備えた大型の8.4インチタッチパネルをセット。中央の10.9インチインフォテインメントディスプレイとオプションのパッセンジャーディスプレイの組み合わせはブラックパネルルックの一体化されたガラス画面を形成する
ディテールの刷新も要注目。タイカンはポルシェ918のように従来のセレクターレバーに代えてメーターパネルにコンパクトなディレクションセレクタースイッチを装備。センター部をすっきりとした造形に変更し、同時に新たな収納スペースを創出する。また、タッチ操作によって高速冷房の"フォーカス"とドラフトフリーエアコンの"ディフューズド"の切り替えが可能なクライメートコントロールシステムを標準装備。さらに、4ゾーンオートマチッククライメートコントロールシステムのアドバンスドクライメートコントロールをオプションで設定した。
ステアリングホイールは2種類を用意する。ベーシックバージョンは、アクセントパッケージの一環として塗装仕上げのインレイによるカスタマイズが可能。オプションのGTスポーツステアリングホイールはネジの頭が見える特徴的なデザインを採用し、同時にさまざまなドライビングモードの選択に使用できる丸型モードスイッチを組み込んだ。
内装のカラーおよび素材に関しては、伝統的なものから持続可能で現代的なものまで、さまざまなタイプを設定する。レザーには従来の仕様に加えて、オリーブの葉をなめし工程で使用するクラブレザー"OLEA"を用意。Race-Texという高品質なマイクロファイバー材料を使用したレザーフリーの仕様もラインアップする。また、フロアカバーにはリサイクル繊維のEconylを導入した。
豊富なインテリア仕様を用意したことも訴求点。ブラックライムベージュ、ブラックベリー、アタカマベージュ、メランティブラウンのインテリアカラーは、タイカン専用だ。また、オプションのインテリアアクセントパッケージではブラックマットやダークシルバーのほか、エレガントなシャンパントーンのネオジムによる特別なコントラストカラーを設定する。さらに、ドアとセンターコンソールはウッドトリム、マットカーボン、エンボス加工されたアルミニウム、またはファブリックで仕上げることが可能だ。
▲タイカンのプロトタイプはニュルブルクリンクのノルドシュライフェ(北コース)において4ドアEVスポーツカー最速のラップタイムとなる7分42秒を記録した
ニュルブルクリンクでのテスト走行に話を移そう。タイカンのプロトタイプは、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェ(北コース)においてタイムアタックを実施。20.6kmにおよぶ難関コースを、ラップタイム7分42秒で駆け抜けた。この記録は、4ドアEVスポーツカーで最速である。
▲システム電圧800Vを誇るエレクトリックパワートレインを採用。システム最高出力は600psを発生する。公表最高速度は250km/h
ちなみに、タイカンのプロトタイプは7月末にドイツ・バーデン南部にあるレジオ・リングで0→200km/h加速を26回連続で行うという過酷なトライアルを敢行し、平均タイム10秒以下、最速タイムと最低タイムの差はわずか0.8秒という好記録を達成。8月中旬には南イタリアのナルドにあるテクニカルセンターの高速走行専用コースで耐久テストを実施し、24時間で3425kmを走破する。そして今回のニュルブクリンクでのタイムアタックによって、さらなる高速耐久性の高さと速さを実証したわけだ。
果たして、市販版のタイカンはどのような内外装デザインと走りでドライバーを楽しませてくれるのか――。9月4日のワールドプレミアはもうすぐだ。