メルセデスAMG独自開発のメルセデスAMG GTクーペにトップハイパフォーマンスPHEVモデルの「メルセデスAMG GT 63 S E PERFORMANCEクーペ」を追加設定。パワートレインにはシステム総出力600kW/1420Nmを発生する4リットルV8ツインターボエンジン+電気モーターとAMG自社開発の高性能リチウムイオンバッテリー、AMGのパフォーマンス志向連続トルク可変配分4輪駆動システムの4MATIC+を搭載
メルセデス・ベンツ日本は2025年2月12日、メルセデスAMG独自開発の「メルセデスAMG GTクーペ」にトップハイパフォーマンスPHEVモデルの「メルセデスAMG GT 63 S E PERFORMANCEクーペ(GT 63 S Eパフォーマンス クーペ)」をラインアップし、同日より発売した。車両価格は3085万円に設定する。
▲メルセデスAMG GT 63 S E PERFORMANCEクーペ 価格:3085万円 全長4730×全幅1985×全高1355mm ホイールベース2700mm 車重2150kg 乗車定員2(4)名 WLTCモード燃費8.3km/リットル EV走行換算距離(WLTCモード)13km 写真のボディカラーはMANUFAKTURハイパーブルーマグノ(マット)
F1テクノジーを採用した高性能システムを導入するメルセデスAMG GT 63 S E PERFORMANCEクーペは、メルセデスAMG GTクーペのトップパフォーマンスモデルに位置する。注目のパワートレインは、M177型3982cc・V型8気筒DOHCツインターボエンジン(最高出力612ps/5750~6500rpm、最大トルク850Nm/2500~4500rpm)に、リアアクスルに配する電気モーター(最高出力150kW/4500~8500rpm、最大トルク320Nm/500~4500rpm)、専用セッティングのAMGスピードシフトMCT 9速トランスミッション、400VのAMGハイパフォーマンスバッテリー(リチウムイオン電池)、AMGのパフォーマンス志向連続トルク可変配分4輪駆動システムのAMG 4MATIC+でシステムを構成。システム最高出力は600kW(816ps)、システム最大トルクは1420Nmを発生する。性能面では0→100km/h加速2.8 秒を実現した。
電気モーターに関しては、電動シフト式2速トランスミッションおよび電子制御式リミテッドスリップデフとともに、コンパクトなエレクトリックドライブユニット(EDU)としてまとめられる。P3 ハイブリッド(変速機内あるいは変速機よりも下流に電機モーターを配置)と呼ばれるこの設計レイアウトは、車両の前後重量配分とアクスル荷重配分の最適化に寄与。そして、電気モーターがリアアクスルを直接駆動するために動力をよりダイレクトでトラクションに変換できる、電子制御式リミテッドスリップデフが一体化されていることから後輪左右へも駆動力が適正配分されて再加速時のアジリティの向上や高い走行安全性を実現する、EDUをリアアクスルに直接取り付けることで車両の前後重量配分とアクスル 荷重配分が改善されてハンドリング性能の向上につながる、2速トランスミッションが俊敏な発進から高速走行時の安定的な連続出力に至るまで広い範囲をカバーする、などの特性を達成した。
▲パワートレインはM177型3982cc・V型8気筒DOHCツインターボエンジン(612ps/850Nm)に、リアアクスルに配する電気モーター(150kW/320Nm)、AMGスピードシフトMCT 9速トランスミッション、400VのAMGハイパフォーマンスバッテリー(リチウムイオン電池)、AMGのパフォーマンス志向連続トルク可変配分4輪駆動システムのAMG 4MATIC+でシステムを構成。システム最高出力は600kW(816ps)、システム最大トルクは1420Nmを発生
AMG独自の400Vハイパフォーマンスバッテリー(HPB)については、メルセデスAMGペトロナスF1チームが使用しているF1ハイブリッドレーシングマシンの、きわめて苛酷な条件下で実証済みの先進テクノロジーを基に開発。高出力を頻繁に繰り返し発生できる能力と軽量構造とを兼ね備えることで、クルマの総合的なパフォーマンスを向上させる。そして、EV走行可能距離はWLTCモードで13km、ハイブリッド燃料消費率はWLTCモードで8.3km/リットルを実現した。冷却性能も最大限に重視し、非導電性の液体をベースとする高度な冷却液を循環させて560個のセルすべてを個別に直接冷却する方式を採用。合わせて、厚さわずか数mmという新しい薄型冷却モジュールを開発し、約14リットルの冷却液を高性能電動ポンプでバッテリーの上から下まで全体に循環させて各セルを冷却するとともに、バッテリーに直接取り付けた油水熱交換器内を通過させることで、モジュール内の熱分布を均一に、かつ動作最適温度範囲内に保つことを可能とする。充電ソケットはリアバンパー右側に配置した。
一方、AMGダイナミックセレクトには「Electric(電動)」、「Battery Hold」、「Comfort」、「Sport」、「Sport+」、「RACE」、「Slippery」、「Individual」という8つのモードを設定。選択したモードによって駆動システムやトランスミッションのレスポンス、ステアリング特性、サスペンションの減衰特性、サウンドなど主要なパラメーターが変更される。モードの切り替えは、センターコンソールのロッカースイッチまたはAMGドライブコントロールスイッチで行う仕組みだ。また、回生ブレーキの強さは、アクセルを離した際にほぼコースティング状態で走るレベル0、通常のエンジン車でクラッチを繋いだ状態の減速度に相当する標準設定のレベル1、さらに強い回生を生み出すレベル2、エネルギー回収量が最大となるレベル3という4段階の選択が可能。回生ブレーキはSlipperyモード以外のすべてのドライブモードに適用され、選択するモードに応じて異なる設定でエネルギー回収が行われる。
▲AMGダイナミックセレクトには「Electric(電動)」、「Battery Hold」、「Comfort」、「Sport」、「Sport+」、「RACE」、「Slippery」、「Individual」という8つのモードを設定
シャシー面に関しては、専用セッティングを施した油圧式のAMG ACTIVE RIDE CONTROLサスペンションを装備。電動機械式の連続可変式電子制御スタビライザーにより、コーナリングや車線変更時のロールをより効果的に抑制することで、メルセデスAMGならではの俊敏かつ正確なハンドリング特性をもたらす。また、統合型車両運動特性制御システムのAMGダイナミックプラスパッケージや、アジリティと走行安定性を向上させるリアアクスルステアリングも採用した。さらに、制動機構には“AMG Carbon Ceramic”ロゴを刻むブロンズカラー塗装キャリパーを配したAMGカーボンセラミックブレーキを装備。シューズには21インチAMG鍛造アルミホイール(RWE)+前295/30/後305/30R21タイヤを標準で組み込み、オプションとして21インチAMG鍛造アルミホイール(RWL)を設定した。
エクステリアについては、AMGエクステリアクロームパッケージやプライバシーガラス、マルチビームLEDヘッドライトなどを標準で採用。エンジン前方のアンダーボディに配した超軽量カーボンファイバーパーツが下降し、ベンチュリ効果によって車体下部への空気の流れを加速させて走行安定性を高めるアクティブエアロダイナミクスシステムも組み込む。また、サイドに“V8 BITURBO”と“E PERFORMANCE”エンブレムを、リアに赤く縁取った“GT 63 S”エンブレムを配備。オプションとしてAMGカーボンエクステリアパッケージやAMGエアロダイナミクスパッケージ、AMGエクステリアナイトパッケージⅡなども選択可能である。
インテリアに関しては、AMGハイパフォーマンスカーのDNAを取り入れながら、高品質な素材やクラフトマンシップ、そして先進の機能装備を導入した、アナログとデジタルを高度に融合する“ハイパーアナログ”デザインを採用したことがトピックだ。航空機から着想を得た左右対称のダッシュボードは力強いウイング形状にデザインし、タービンノズル型のエアアウトレットとともにスポーティな印象を創出。また、ワイドなセンターコンソール中央部にはNACAダクトデザインを採用して、モータースポーツのDNAを受け継いでいることを強調する。そして、様々な情報を見やすく表示する11.9インチの縦型メディアディスプレイはNACAダクトデザインとシームレスに融合。さらに、12.3インチのデジタルコックピットディスプレイは立体的なバイザーに巧みに収められ、合わせて大胆に絞り込んだグリップやフラットボトム形状、大型のアルミニウム製パドルシフト、AMGドライブコントロールスイッチを配したツインスポークデザインのAMGパフォーマンスステアリングを配備して、ハイパーアナログなコックピットを形成した。ステアリングについては、オプションでカーボンファイバー/MICROCUTを配したAMGパフォーマンスステアリングも選択可能。トリムはMANUFAKTURブラッククロームインテリアトリムを標準で、AMGカーボンファイバーインテリアトリムをオプションで設定している。
シートについては、レイヤーや折り目を巧みに組み合わせ、ライトでスリムなデザインを採用したAMG専用のスポーツシート(ナッパレザー)を標準装備。シートカラーは標準内装で4色、エレガントなダイヤモンドステッチ入のMANUFAKTURナッパレザーのオプションで3色を用意する。また、オプションのAMGパフォーマンスパッケージおよびナッパレザー /MICROCUTを選択した際はヘッドレスト一体型のAMGパフォーマンスシートが組み込まれ、シートカラーはナッパレザーが全7色、ナッパレザー/MICROCUTシートがブラックのレッドステッチ入りとブラックのイエローステッチ入りの2タイプを設定する。一方、リアシートはオプションで選択可能。着座できる乗員の身長は150cmまで(チャイルドシート装着時は135cmまで)で、シート自体には可倒機構を組み込んでいる。ラゲッジルームは2シーター仕様で182リットル、オプションの可倒式リアシート装着時は後席を倒すことで562リットルの容量を確保。利便性を高めるEASY-PACK自動開閉テールゲートとフットトランクオープナーも装備している。
▲航空機から着想を得た左右対称のダッシュボードは力強いウイング形状にデザインし、タービンノズル型のエアアウトレットとともにスポーティな印象を創出。ワイドなセンターコンソール中央部にはNACAダクトデザインを採用して、モータースポーツのDNAを受け継いでいることを主張する。ハンドル位置は左のみの設定。写真はブラックのナッパレザーのトリム仕様