BMWが次世代EVモデル「Neue Klasse(ノイエ・クラッセ)」への採用を意図して企画・開発した新しい電動制御技術“Heart of Joy(ハート・オブ・ジョイ)”を搭載するEVコンセプトモデル「Vision Driving Experience(ビジョン・ドライビング・エクスペリエンス)」を発表。Heart of Joyはドライブトレイン、ブレーキ、充電および回生、操舵機構といった各サブシステムを統合制御するとともに、従来の10倍の速度で高速処理する制御ユニットを採用。BMWの伝統である“ドライビングプレジャー”を新たな次元で提供する
独BMWグループは2025年2月17日(現地時間)、次世代EVモデルの「Neue Klasse(ノイエ・クラッセ)」への導入を目的に企画・開発した新しい電動制御技術“Heart of Joy(ハート・オブ・ジョイ)”の内容を公表し、合わせてHeart of Joyを搭載するEVコンセプトモデル「Vision Driving Experience(ビジョン・ドライビング・エクスペリエンス)」を披露した。
Heart of Joyはドライブトレイン、ブレーキ、充電および回生、操舵機構といった各サブシステムを統合制御するとともに、従来の10倍の速度で高速処理する制御ユニットと、それに連携する新ソフトウェア「BMWダイナミック・パフォーマンス・コントロール・ソフトウェア(BMW Dynamic Performance Control software)」を採用したことが訴求点。また、この新システムは1万8000Nmの強大トルクに対応可能で、高速巡航を含めた日常走行のあらゆる状況で優れたパフォーマンスを発揮するという。さらに、運転モードのDまたはB、アクティブクルーズコントロール使用時、パーキングブレーキまたはパーキングロックなどで、停止と再始動を従来以上にスムースかつシームレスに行うことも特徴だ。高度な統合制御により、コーナリング時の正確性とトラクション性能の向上を果たしたこともトピック。BMW車らしい俊敏でドライバーの意図に忠実なハンドリング特性を実現している。
▲従来の10倍の速度で高速処理する制御ユニットと、それに連携する新プログラムのBMWダイナミック・パフォーマンス・コントロール・ソフトウェアを採用。1万8000Nmの強大トルクに対応可能で、高速巡航を含めた日常走行のあらゆる状況で優れたパフォーマンスを発揮する
制動システムの進化も見逃せない。ブレーキの回生とドライブトレインの統合制御によって、ブレーキ操作の98%が回生の入力のみで完結し、メカニカルなブレーキングは急停止など緊急時に使用。この結果、エネルギー効率は最大25%向上している。また、ホイールリムに配したカラーコードで作動状況を視覚的に表したことも注目点。加速時はグリーン、エネルギー回生時はブルー、ブレーキング時はオレンジで表示する。
▲センターディスプレイとインストルメントパネルを一体化し、前席乗員がすべてのインフォテインメント機能を最適に操作することを可能とする。BMWパノラミックビジョンはフロントウィンドウの全幅に主要な情報を投影
ちなみに、今回発表されたHeart of Joyは、次世代EVモデルのVision Neue Klasseに採用予定の4つのハイパフォーマンスコンピュータ“スーパーブレイン”の1つに位置するという。ほかの3つは、高度自動運転、インフォテインメントシステム、温度制御/快適機能/車両アクセス/内外装ライティングといったベーシック機能をそれぞれ担当する。
▲Heart of Joyの検証は米国サウスカロライナ州スパータンバーグに居を構えるBMWパフォーマンスドライビングセンターなどで実施。写真のホイールリムの色はグリーンなので、加速状態であることが認識できる
なお、Heart of Joyを搭載したVision Driving Experienceは、本年4月開催の上海モーターショー2025で正式にワールドプレミアを飾る予定である。