ボルボが新世代電動テクノロジーのイメージリーダーとなる旗艦EVセダン「ES90」を本年3月5日に発表すると予告。合わせてエクステリアのティーザー画像を公開。インテリジェントカー用コアコンピュータにはボルボ車として初めてデュアルNVIDIA DRIVE AGX Orinコンフィギュレーションを採用
ボルボ・カーズは2025年2月20日(現地時間)、新型フラッグシップEVセダンの「ES90」を本年3月5日に披露すると発表。合わせて、エクステリアのティーザー画像を公開した。
ボルボの新世代電動テクノロジーのイメージリーダーとなるES90は、車両と外部との間の双方向通信機能を使ってクルマ本体を制御するソフトウェアを更新し続けて、ユーザーが購入後も性能向上を享受できる“ソフトウェア・デファインド・カー(Software-Defined Car)”に対するボルボ・ブランドのアプローチをさらに発展させて具現化したことが特徴。具体的には、コアコンピューティング技術、常時接続、データの活用により継続的に進化し、改善していくように設計している。
コアコンピューティング技術では、ボルボ車として初めてデュアルNVIDIA DRIVE AGX Orinコンフィギュレーションを搭載する。人工知能(AI)コンピューティング界のリーディングカンパニーのひとつである半導体メーカーのNVIDIA(エヌビディア)が手がけたDRIVE AGX Orinは、車内のさまざまな重要システムやプロセスを超高速で統合制御。毎秒約508兆回の演算(TOPS)という高レベルの演算能力を持ち、AIベースの最先端のアクティブセーフティ機能、車両センサー、効率的なバッテリーマネージメントなどの機能を管理する。また、メイン・コアコンピュータは従来のDRIVE AGX Xavierと比べてAIコンピューティング性能を8倍ほど向上させ、ディープラーニングモデルとニューラルネットワークのサイズを4000万パラメータから2億パラメータへと徐々に拡大することができる。その結果、より多くのデータを収集し、クルマの開発を続けながらカスタマー・エクスペリエンスと安全レベルの向上という総合的な目標を時間をかけて実現していくことが可能となった。
一方で基本設計には、アップデートしたEX90に続いて、ボルボの新世代アーキテクチャー“SPA2”をベースとするスーパーセット・テックスタックを導入。スーパーセット・テックスタックは統合型のハードウェアとソフトウェアのモジュールおよびシステムで構成し、車両のライフサイクル全体を通じて、クルマの安全性、テクノロジー、総合的なパフォーマンスを無線アップデート(OTA)を活かして向上させる。また、スーパーセット・テックスタックは今後発売されるすべてのボルボ製EVの基盤となるため、EVラインアップ全体の性能を同時に向上させることが可能。つまり、ソフトウェアがハードウェアに代わって、ユーザーにとってのイノベーションと価値創造の主な原動力に昇華するのである。
▲エクステリアは4ドアのファストバックセダンスタイルを基調に、スタイリッシュなアレンジのフロントエンドや流れるようなルーフライン、フラットなフラッシュドアハンドルなどを採用して、フラッグシップモデルらしい高級かつ存在感あふれるルックスを具現化
ティーザー画像から見て取れるエクステリアについては、EX90と同様に機能が形をつくるスカンジナビアンデザインを新たなアプローチで導入していることが理解できる。空力特性を重視した流麗な4ドアファストバックセダンのスタイルを基調に、スタイリッシュなアレンジのフロントエンドや流れるようなルーフライン、フラットなフラッシュドアハンドル、キックアップしたリアエンド、リアピラー部とリア後端に分割して配置したコンビネーションランプなどを採用して、フラッグシップモデルらしい高級かつ存在感あふれるルックスを構築する。最新のボルボ車のアイデンティティであるトールハンマーデザインのLEDヘッドランプおよびデイタイムランプも、おそらく装備してくることだろう。
先進安全運転支援システムの進化もES90のトピックで、周囲の状況を正確に把握する高度なセンサー群、LiDAR 1個、レーダー5個、カメラ8個、超音波センサー12個に加え、車内には高度にドライバーの状況を把握し理解するシステムを搭載する。これらのシステムは、暗闇でも障害物を検知し、衝突回避などのプロアクティブな安全機能を作動させることで、高い安全性を確保する。ボルボはこの先進安全技術を“セーフ・スペース・テクノロジー”と呼称している。
なお、ボルボ・カーズのエンジニアリング&テクノロジーの責任者であるアンダース・ベル氏は、「ボルボES90は、今日の市場で最も技術的に進歩したクルマのひとつであり、時間とともにさらに改善されるように設計されています。最先端のスーパーセット・テックスタックをベースに開発されたES90は、安全性を最優先に考えられています」とコメントしている。
▲ES90は車両と外部との間の双方向通信機能を使ってクルマ本体を制御するソフトウェアを更新し続けて、ユーザーが購入後も性能向上を享受できる“ソフトウェア・デファインド・カー”のリーダーを目指して開発される