ボルボの新世代フラッグシップEVサルーン「ES90」が初公開

ボルボが新世代電動テクノロジーのイメージリーダーとなる旗艦EVサルーン「ES90」を発表。セダンの洗練されたエレガンス、5ドアクーペの汎用性、SUVの広々とした室内空間と高い最低地上高を高度に融合させたデザインに、新世代のコアコンピューティング技術と最新の800Vテクノロジーを搭載。350kWの急速充電ステーションではわずか10分間で300kmの航続距離を追加でき、WLTPテストサイクルでは最大700kmの航続距離を実現

 ボルボ・カーズは2025年3月5日(現地時間)、新型フラッグシップEVサルーンの「ES90」を発表した。

▲ボルボが新世代フラッグシップEVサルーンの「ES90」を公開。セダンの洗練されたエレガンス、5ドアクーペの汎用性、SUVの広々とした室内空間と高い最低地上高を高度に融合させたデザインに、新世代のコアコンピューティング技術と最新の800Vテクノロジーを搭載する

▲ボルボが新世代フラッグシップEVサルーンの「ES90」を公開。セダンの洗練されたエレガンス、5ドアクーペの汎用性、SUVの広々とした室内空間と高い最低地上高を高度に融合させたデザインに、新世代のコアコンピューティング技術と最新の800Vテクノロジーを搭載する

 EX90、EM90、EX40、EC40、EX30に続くボルボの電気自動車の第6弾となるES90は、セダンの洗練されたエレガンス、5ドアクーペの汎用性、SUVの広々とした室内空間と高い最低地上高を高度に融合させたエクステリアに、プレミアムな快適性や本物の素材、目的にあったデザインで仕立てたインテリア、そして新世代のコアコンピューティング技術と最新の800Vテクノロジーを採用して、新世代電動テクノロジーのイメージリーダーに昇華させたことが特徴である。

▲ボディサイズは全長5000×全幅1942×全高1549mm/ホイールベース3100mmに設定。空気抵抗係数(Cd値)は0.25という優れたエアロダイナミクスを実現

▲ボディサイズは全長5000×全幅1942×全高1549mm/ホイールベース3100mmに設定。空気抵抗係数(Cd値)は0.25という優れたエアロダイナミクスを実現

 

 まずエクステリアは、機能が形をつくるスカンジナビアンデザインを新たなアプローチで導入して、自信に満ち、かつ個性あふれるセダンスタイルに仕立てるとともに、コアコンピューティングやコネクティビティ、電動化などの最先端技術と組み合わせて、安全性、効率、デザインを最適化する。新しいトールハンマーデザインのLEDヘッドランプおよびデイタイムランプやクローズドタイプのグリル、C字型のLEDコンビネーションランプとリアウィンドウ左右に縦型に配したランプ、空力特性を考慮した独特な造形のアルミホイールなども目を引く部分だ。さらに、わずかに高められた車高によってドライバーに広い視界を提供。合わせて、流れるようなルーフラインがエレガントな外観と室内空間をバランスよく融合させ、同時に空気抵抗係数(Cd値)0.25という優れたエアロダイナミクスを実現することで、総合的な効率性と航続距離の向上を実現した。ボディカラーについては7色を設定し、足もとのホイールは20インチから22インチまでの4種類から選択可能。最大99.9%のUVカット付きパノラミックルーフも装備し、エレクトロクロミック(電気調光)仕様を選べばガラスの透明度を調整することもできる。

▲機能が形をつくるスカンジナビアンデザインを新たなアプローチで導入して、自信に満ち、かつ個性あふれるセダンスタイルに仕立てる

▲機能が形をつくるスカンジナビアンデザインを新たなアプローチで導入して、自信に満ち、かつ個性あふれるセダンスタイルに仕立てる

▲新しいトールハンマーデザインのLEDヘッドランプおよびデイタイムランプやクローズドタイプのグリルを装備

▲新しいトールハンマーデザインのLEDヘッドランプおよびデイタイムランプやクローズドタイプのグリルを装備

▲C字型のLEDコンビネーションランプとリアウィンドウ左右に縦型に配したランプを配して、印象的かつ安全性に優れる後ろ姿を創出

▲C字型のLEDコンビネーションランプなどを配して、印象的かつ安全性に優れる後ろ姿を創出

▲最大99.9%のUVカット付きパノラミックルーフを装備。エレクトロクロミック(電気調光)仕様を選べばガラスの透明度の調整が可能

▲最大99.9%のUVカット付きパノラミックルーフを装備。エレクトロクロミック(電気調光)仕様を選べばガラスの透明度の調整が可能

▲空力特性を考慮した独特な造形のアルミホイールを装着。サイズは20インチから22インチ(写真)までの4種類から選択できる

▲空力特性を考慮した独特な造形のアルミホイールを装着。サイズは20インチから22インチ(写真)までの4種類から選択できる

▲ボディカラーはオーロラシルバー(写真・上)/クリスタルホワイト/オニキスブラック/デニムブルー/マルベリーレッド(同・下)/ベイパーグレー/サンドデューンという7色をラインアップ

▲ボディカラーはオーロラシルバー(写真・上)/クリスタルホワイト/オニキスブラック/デニムブルー/マルベリーレッド(同・下)/ベイパーグレー/サンドデューンという7色をラインアップ

 インテリアに関しては、インパネ上部を水平基調にアレンジして前方視界を高めたうえで、高品質グラフィックスの9インチドライバーディスプレイおよびヘッドアップディスプレイを配備する。また、バーチカルマウントの14.5インチサイズのセンタースクリーンディスプレイを採用し、インフォテインメントシステムとして最新のGoogleを搭載。Googleマップ、Googleアシスタント、Google Playといった各種アプリのサービスが利用できるほか、5Gに対応してシームレスかつ応答性に優れた性能を実現した。また、Qualcomm Technologies社のSnapdragon Cockpit Platformも組み込み、ドライバーディスプレイおよびヘッドアップディスプレイを通じて運転に欠かせない情報を必要なときに素早く提供するよう設計する。さらに、ヘッドレスト一体型スピーカーを含めてキャビン全体に25個の独立したハイフィデリティ・スピーカーを配したBowers&Wilkinsサウンドシステムや、スマートフォンが車両のキーとなるフォンキーテクノロジーなどの新機能も採用。4ゾーンクライメートシステムと最先端の空気清浄機能も装備して、キャビン空間の快適を高めた。

 車両と外部との間の双方向通信機能を使ってクルマ本体を制御するソフトウェアを更新し続けて、ユーザーが購入後も性能向上を享受できる“ソフトウェア・デファインド・カー(Software-Defined Car)”に対するボルボ・ブランドのアプローチをさらに発展させて具現化したことも見逃せない。具体的には、コアコンピューティング技術、常時接続、データの活用により継続的に進化し、改善していくように設計。コアコンピューティング技術では、ボルボ車として初めてデュアルNVIDIA DRIVE AGX Orinコンフィギュレーションを搭載する。人工知能(AI)コンピューティング界のリーディングカンパニーのひとつである半導体メーカーのNVIDIA(エヌビディア)が手がけたDRIVE AGX Orinは、車内のさまざまな重要システムやプロセスを超高速で統合制御。毎秒約508兆回の演算(TOPS)という高レベルの演算能力を持ち、AIベースの最先端のアクティブセーフティ機能、車両センサー、効率的なバッテリーマネージメントなどの機能を管理する。また、メイン・コアコンピュータは従来のDRIVE AGX Xavierと比べてAIコンピューティング性能を8倍ほど向上させ、ディープラーニングモデルとニューラルネットワークのサイズを4000万パラメータから2億パラメータへと徐々に拡大することができる。その結果、より多くのデータを収集し、クルマの開発を続けながらカスタマー・エクスペリエンスと安全レベルの向上という総合的な目標を時間をかけて実現していくことが可能となった。

 一方で基本設計には、アップデートしたEX90に続いて、ボルボの新世代アーキテクチャー“SPA2”をベースとするスーパーセット・テックスタックを導入。スーパーセット・テックスタックは統合型のハードウェアとソフトウェアのモジュールおよびシステムで構成し、車両のライフサイクル全体を通じて、クルマの安全性、テクノロジー、総合的なパフォーマンスを無線アップデート(OTA)を活かして向上させる。また、スーパーセット・テックスタックは今後発売されるすべてのボルボ製EVの基盤となるため、EVラインアップ全体の性能を同時に向上させることが可能。つまり、ソフトウェアがハードウェアに代わって、ユーザーにとってのイノベーションと価値創造の主な原動力に昇華するのである。

▲インパネ上部を水平基調にアレンジして前方視界を高めたうえで、高品質グラフィックスの9インチドライバーディスプレイおよびヘッドアップディスプレイ、バーチカルマウントの14.5インチサイズのセンタースクリーンディスプレイを採用。インフォテインメントシステムとして最新のGoogleを搭載する

▲インパネ上部を水平基調にアレンジして前方視界を高めたうえで、高品質グラフィックスの9インチドライバーディスプレイおよびヘッドアップディスプレイ、バーチカルマウントの14.5インチサイズのセンタースクリーンディスプレイを採用。インフォテインメントシステムとして最新のGoogleを搭載する

▲フロントのセンターコンソールにはカップホルダーやワイヤレスチャージングを装備

▲フロントのセンターコンソールにはカップホルダーやワイヤレスチャージングを装備

▲リアシート中央に多機能な格納式アームレストを配備

▲リアシート中央に多機能な格納式アームレストを配備

▲キャビン全体に25個の独立したハイフィデリティ・スピーカーを配したBowers&Wilkinsサウンドシステムを設定

▲キャビン全体に25個の独立したハイフィデリティ・スピーカーを配したBowers&Wilkinsサウンドシステムを設定

 一方、キャビン空間自体は3100mmというロングホイールベースを活かし、広々とした後席足もと空間を確保。また、6種類のアンビエントライトテーマによって乗員の感覚的な心地よさを演出する。さらに、シート仕様にはリサイクル素材を使用したテキスタイルなど多彩な表皮を設定。インテリア全体にもサステナブルな素材や責任ある方法で調達された天然素材を使用した。荷物の積載性も重視し、大きく幅広のテールゲートを配したリアラゲッジは424リットル(3分割式後席シートバック格納時で最大733リットル)の容量を確保。ゲートのリッドには収納できる荷物の大きさを正確に把握できる便利なガイド「Will it fit?」を刻印する。合わせて、フロントには充電ケーブルの収納に最適な22リットルのフランクを備えた荷物スペースを配備した。

▲3100mmというロングホイールベースを活かし、広々とした後席足もと空間を確保。6種類のアンビエントライトテーマによって感覚的な心地よさを演出する

▲3100mmというロングホイールベースを活かし、広々とした後席足もと空間を確保。6種類のアンビエントライトテーマによって感覚的な心地よさを演出する

▲シート仕様にはリサイクル素材を使用したテキスタイルなど多彩な表皮を採用。写真上よりベンチレーテッド ドーンノルディコ、ベンチレーテッド チャコールノルディコ、ベンチレーテッド カルダモンノルディコ、ミッドナイトジンクテーラードウールブレンド チャコールの表皮

▲シート仕様にはリサイクル素材を使用したテキスタイルなど多彩な表皮を採用。写真上よりベンチレーテッド ドーンノルディコ、ベンチレーテッド チャコールノルディコ、ベンチレーテッド カルダモンノルディコ、ミッドナイトジンクテーラードウールブレンド チャコールの表皮

▲シートにスウェーデン国旗のタグを付ける

▲シートにスウェーデン国旗のタグを付ける

▲大きく幅広のテールゲートを配したリアラゲッジは424リットル(3分割式後席シートバック格納時で最大733リットル)の容量を確保

▲大きく幅広のテールゲートを配したリアラゲッジは424リットル(3分割式後席シートバック格納時で最大733リットル)の容量を確保

▲ゲートのリッドには収納できる荷物の大きさを正確に把握できる便利なガイド「Will it fit?」を刻印

▲ゲートのリッドには収納できる荷物の大きさを正確に把握できる便利なガイド「Will it fit?」を刻印

▲フロントには充電ケーブルの収納に最適な22リットルのフランクを備えた荷物スペースを配備

▲フロントには充電ケーブルの収納に最適な22リットルのフランクを備えた荷物スペースを配備

 

 パワートレインについては、新しい800Vテクノロジーを採用して航続距離および充電性能を高めたことがトピック。350kWの急速充電ステーションではわずか10分間で300kmの航続距離を追加でき、WLTPテストサイクルでは最大700kmの航続距離を実現する。パワーユニットとしては、最高出力245kW/最大トルク480Nmを発生するリアモーターに総電力量92kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせるシングルモーター エクステンディッドレンジ、システム最高出力330kW/最大トルク670Nmを発生する前後モーターに容量106kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせるツインモーター、システム最高出力500kW/最大トルク870Nmを発生する前後モーターに容量106kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせるツインモーター パフォーマンスを設定。充電に関しては、AC普通充電とDC急速充電に対応させた。一方、基本骨格は新世代のSPA2プラットフォームと、約18%の再生スチールや約29%の再生アルミニウム、そして約16%のリサイクルポリマーとバイオベース素材を使用した専用ボディで構成。車内のウッドパネルにはFSC(Forest Stewardship Council)認証の木材を採用している。

▲新しい800Vテクノロジーを採用して航続距離および充電性能を向上。350kWの急速充電ステーションではわずか10分間で300kmの航続距離を追加でき、WLTPテストサイクルでは最大700kmの航続距離を実現する

▲新しい800Vテクノロジーを採用して航続距離および充電性能を向上。350kWの急速充電ステーションではわずか10分間で300kmの航続距離を追加でき、WLTPテストサイクルでは最大700kmの航続距離を実現する

 

 先進安全運転支援システムの進化もES90の注目ポイントで、周囲の状況を正確に把握する高度なセンサー群、LiDAR 1個、レーダー5個、カメラ7個、超音波センサー12個に加え、車内には高度にドライバーの状況を把握し理解するシステムを搭載する。これらのシステムは、暗闇でも障害物を検知し、衝突回避などのプロアクティブな安全機能を作動させることで、高い安全性を確保する。ボルボはこの先進安全技術を“セーフ・スペース・テクノロジー”と呼称している。

▲周囲の状況を正確に把握する高度なセンサー群、LiDAR 1個、レーダー5個、カメラ7個、超音波センサー12個に加え、車内には高度にドライバーの状況を把握し理解するシステムを配備して、最上レベルの走行安全性能を成し遂げる

▲周囲の状況を正確に把握する高度なセンサー群、LiDAR 1個、レーダー5個、カメラ7個、超音波センサー12個に加え、車内には高度にドライバーの状況を把握し理解するシステムを配備して、最上レベルの走行安全性能を成し遂げる

 

 なお、ES90は3月よりオーストリア、ベルギー、チェコ共和国、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国で注文受付を開始。その他の市場では本年後半から2026年にかけて順次展開する予定である。日本への導入時期は現在のところ未定だ。

 

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