BMW M130 xDrive/価格:7DCT 698万円。4代目1シリーズは生粋のドライバーズカーとして刷新。プラットフォームは従来のリファイン版。ボディタイプは実用的な5ドアHB。M135は300ps/400Nmのハイパワー2リッター直4ターボを搭載
フルモデルチェンジを受けてBMW1シリーズが4代目に生まれ変わった。車両レイアウトが前輪駆動ベースのエンジン横置き式とされたのは3代目から。新型も基本的には先代のプラットフォームを踏襲している。ホイールベースが従来と共通なことから一部では「ビッグマイナーチェンジ?」との指摘も飛び出している。
ただし、メーカー側の主張はあくまでも「フルモデルチェンジ」。開発コードはF40からF70へと刷新され、フロントマスクのデザインが大きく変わっただけでなく、メカニズム面でもさまざまな改良が実施されている。
直列3気筒1.5リッターターボを搭載する120には新たに48Vマイルドハイブリッド・システムを搭載。先代の118iに比べると、最高出力は140psから156psへ、最大トルクは220Nmから240Nmへと大幅に強化された。
120に搭載するギアボックスは先代と同型式の7段DCT。直列4気筒2リッターターボを積むMパフォーマンスモデルのM135 xDriveのほうは従来の8段トルコン式ATから7段DCTに換装された。これはよりダイレクトなシフトフィーリングが期待できるほか、軽量化にも貢献するはず。事実、車重は先代M135iよりも10kg軽い1570kgとなった。一方で最高出力は306psから300psへ、最大トルクは450Nmから400Nmへとダウン。0ー100km/h加速も0.1秒遅い4.9秒となった。数値変更は8段ATと7段DCTで受けとめられるトルクの違いに関係がありそうだ。とはいえ圧倒的にパワフルで速いことは従来と変わらない。
なお、ここまでの記述でモデル名の見直しに気づいた読者もいることだろう。そう、長らくガソリンモデルの最後につけられていた「i」の文字が、この世代から省かれたのだ。もともとiはインジェクション、つまり燃料噴射装置付きであることを示す記号だった。
昨今は燃料噴射装置を持たないガソリンエンジンなど考えられない。そこでBMWは、今後BEVにiのモデル名を与えることとし、ガソリンモデルのiを省略することにした。
新型のシャシーで注目されるのが、120に投入されたハイリー・プリテンションド・アンチロールバーである。これはアンチロールバーとベアリングの間にシェルと呼ばれる部品を挟み込むことで、これまで以上に締め付けトルクを高めたもの。これにより乗り心地がよりスムーズになるとともに、微小操舵時の姿勢変化を抑えたという。
アダプティブMサスペンションを装着した120 MスポーツやM135に搭載された周波数感応型ダンパーも4代目の新機軸。ダンパーのピストンスピードが0.3m/sを越えたとき、リバウンド側の減衰力を落として乗り心地を改善する機構である。先代よりベースとなる減衰率を高めることが可能となり、結果として操縦性の改善も図れたという。
なお、周波数感応型ダンパーの動作自体はパッシブに行われるが、日本仕様のM135は周波数感応方式を盛り込んだ電子制御式ダンパーが標準装備される。
インテリアではメーターパネルとセンターディスプレイを一体としたカーブドディスプレイを採用したことが注目される。インフォテインメント系には最新のOS9と呼ばれるソフトウェアを搭載。サードパーティのアプリを搭載可能とすることで、利便性の向上を図っている。
試乗モデルは、1シリーズのトップパフォーマー、M135。高性能になれば乗り心地は硬くなるのが従来の常識だが、最近のMパフォーマンスモデルにそうした常識は当てはまらない。新型M135も、そんな1台である。
ボディの姿勢変化は確実に抑え込んでくれるのに、ゴツゴツとした印象はほとんどない。むしろ、上質なダンパーが生み出すしっとりとした乗り心地に陶酔感を覚えたほどだ。
足回りの完成度は、さすがBMW。ワインディングロードで強力な武器となってくれる。ステアリングレスポンスが鋭いだけでなく、荒れた路面でもロードホールディングは良好。おかげでステアリング特性が安定しており、ドライバーに強い安心感をもたらす。抜群の走り味に剛性感の高いボディが貢献しているのも間違いのないところだ。
2リッターターボも素晴らしい。全域でシャープな反応を示すとともに、つねに十分以上のトルクを生み出してくれるのはBMWだから当然としても、トップエンドで伝わってきてもおかしくない4気筒特有のザラツキ感がまったく見当たらない。これは驚嘆に値する。この点でも、Mパフォーマンスモデルはベースモデルを確実に上回る上質さを実現している。
ちなみにM135の車両価格は698万円。ストレート6を積んだ2世代前の3シリーズ「335i」を上回る。だが、充実した装備や胸踊るパフォーマンスを考えると十分に納得できる。M135は、BMWのスポーティさを全身で表現している。