6年ぶりに北海道のクローズドコースで開催された三菱の雪上試乗会で、新しくなったばかりのアウトランダーPHEVとトライトンに試乗した。
タイプの異なる4WD機構を持つ2台には、それぞれふさわしいコースが用意されており、三菱のキーメッセージである“どんな路面でも誰もが安全、安心、快適に自信を持って楽しく走れる”という事実を確認した。
アウトランダーPHEVには、4輪の駆動力と制動力を個別に調節する車両運動統合制御システム、S-AWCが搭載されている。これは前後輪間のトルク配分、左右輪間のトルク移動、4輪のブレーキ制御を総合的にコントロールする機構。アウトランダーは、S-AWCとツインモーター4WDの強みを活かし、ややリア寄りの理想的な駆動力配分を実現。より高い次元で意のままの操縦性を実現した。
制御は実に緻密だ。路面μはセンシングできないので、前輪と後輪の横Gをパラメーターから推定。それをもとに前後駆動力配分をフィードフォワード制御している。その結果、路面μが下がる圧雪路でも安定して4輪のグリップが確保できている。雪上でもパワフルに発進し、加速できるのは驚くほどだ。
また、操舵に対する追従がスムーズだ。その結果、加速、減速、旋回のすべてが上手くいくようになり、まさに意のままに操ることができた。
路面に応じて最適にチューニングした多数のドライブモードを用意しているのも魅力である。
SNOWモードではより挙動が乱れにくくなり、GRAVELモードでは積極的に姿勢を操れるようになる。モードに応じて走りが変化することも確認できた。
アウトランダーPHEVは、雪道でもまさしく意のままに安心して操れた。舗装路と同じような感覚で、何事もないように安定して走れたのである。その背景には、S-AWCの複雑で緻密な制御が頑張っていたに違いない。
ピックアップトラックのトライトンは、センターデフ式フルタイム4WDとパートタイム4WDのメリットを併せ持つSS4-Ⅱを採用。これにブレーキAYCを加えた点がメカニズム上の特徴だ。タフなピックアップで、ブレーキAYCのような最新デバイスを搭載したクルマは他に心当たりがない。
トライトンの試乗は、オフロードバイク向けのハードなコースが舞台だった。それにもかかわらずイメージした走行ラインからあまり外れなかったのは、ブレーキAYCの効果だろう。
たっぷり200㎜以上を確保した地上高と、長い脚のおかげで、タイヤがしっかりと路面を捉え、ガンガン乗り越えていけた。走りの実力はさすがである。
凹凸路面では、前輪が滑ると後輪に、後輪が滑ると前輪に、自動的に遅れることなく駆動力を配分する機械式4WDの強みが生きる。リアデフをロックすると、トライトンはいっそう前へ前へと進もうとするようになり、クルマが軽くなったように感じられた。
きつい上り勾配で坂道発進を試みると、その機械式4WDとリアデフをロックした効果がよりよくわかった。
タイプの異なる2台の4WDを雪上でドライブして印象的だったのは、両車共に“とにかくよく曲がる”ことだった。三菱がいかにそこにこだわっているかが身に沁みて感じられた。