日産GT-Rニスモ 試乗記
日産GTーRニスモ 価格:6SMT 2420万円 各部が大幅に改良された2020年モデルは2019年10月8日発売 外観はフロントフェンダーのエアアウトレットが特徴 パフォーマンスは圧倒的
フルモデルチェンジ級の改良でポテンシャル大幅アップ!
GT-Rの最強版となる2020年モデルのニスモに試乗した。試乗の舞台はドイツのベルリン。ニスモの2020年モデルは、フルモデルチェンジ級の改良が施されている。エンジンは、いっそうリニアでレスポンシブな特性を目指し新型ターボを採用。それに合わせてエンジンと6速DCTの制御が見直された。エンジンスペック(600ps/652Nm)は従来モデルと同じだが、内容は大幅に異なる。
シャシーもレベルアップした。グリップ力と接地面積がアップした新タイヤ、軽量高剛性のアルミホイール、強力な制動力を生むカーボンセラミックブレーキを装備。サスペンション設定も見直された。外装はルーフ、ボンネット、フロントフェンダーを軽量カーボン製で統一。室内は全面刷新したレカロ製シートを装着する。
大きな期待を抱いて走りだす。サーキットスペックにもかかわらず、一般道での乗り心地のよさにびっくり。短いストローク中での軽やかな足さばきとしなやかさは見事。初期型の標準車よりもすべてが優しい。アウトバーンでもその印象は変わらない。直進安定性と微舵の正確性、そして空力デバイスのアシストで、250km/h以上でもステアリングに軽く手を添えているだけでOKだった。
ルーフ/ボンネット/フロントフェンダーは軽量カーボン製 車両重心点から遠い部分を従来比10.5kg軽量化してコーナリング能力が向上 リアスポイラーは大型ウイング形状
レスポンスは従来比20%向上! スーパーパフォーマンスを体感
サーキットはニスモの主戦場。驚いたのは、車両重量が1.7トンを超えるにもかかわらず、ひとまわり軽量でコンパクトなクルマのような身のこなしを披露したこと。ステアリングを切れば素直にノーズがインに入る。アンダーステアの量は確実に少なく、S字のような切り返しでもボディがグラッと動く心配はない。
カーボンセラミックブレーキも最高だった。絶対的な制動Gや優れたコントロール性をはじめ、何周走ってもまったく変化のないタッチとフィーリングにほれぼれした。
エンジンはアクセル操作に対する応答性、滑らかなトルクの立ち上がり、そしてトップエンドまで一気に吹き上がる鋭いレスポンスを実感。「約20%レスポンスを向上させた」というメーカーの説明に納得した。6速DCTはRモードのシフト制御を改良。Dレンジのままでサーキットでも最適なギアをセレクトしてくれる。マニュアルで操作するより速く走れる。
新型はスピードのレベルアップだけでなく、その性能を誰でも楽に安心して引き出せるモデルに発展した。GT-Rのコンセプトは「究極のドライビングプレジャーの追求」。ニスモはその頂点にある。進化・熟成を続けてきたGT-Rの「ファイナルアンサー」といってもいい。
ニスモのインパネとステアリングホイールはアルカンターラ仕上げ ナビやフルオートACなど快適アイテムは標準モデルと共通 サーキット走行をイメージしたスペシャルモデルながらスパルタンなイメージはない
レカロ製シートはカーボンシェルにコアフレーム構造を追加したニュータイプ 軽量化と高剛性を実現
ニスモのエンジンは標準車比30ps/15Nmパワフル パワーウエイトレシオは2.84kg/ps 操縦性は軽快な味わい
※次ページでスペックを紹介
日産GT-Rニスモ主要諸元
グレード=ニスモ
価格=6SMT 2420万円
全長×全幅×全高=4690×1895×1370mm
ホイールベース=2780mm
トレッド=フロント1600×リア1600mm
車重=1703kg
乗車定員=4名
エンジン=3799cc・V6DOHC24Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=441kW(600ps)/6800rpm
最大トルク=652Nm(66.5kgm)/3600~5600rpm
WLTCモード燃費=申請中(燃料タンク容量74リッター
(市街地/郊外/高速道路=申請中)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:255/40ZRF20/リア:285/35ZRF20
駆動方式=4WD
最小回転半径=5.7m
パワーウエイトレシオ=2.84kg/ps
※価格を除き、数値は欧州仕様 ※価格は消費税(10%)込み リサイクル費用は1万470円
※スペックは2019年8月現在
新設定のフロントフェンダーアウトレットはレースフィールドで得たノウハウを生かした機能アイテム
タコメーター文字盤はレッド仕上げ 新開発ターボの採用でエンジンレスポンスが向上