ホンダ・ヴェゼルe:HEV Z・PLaYパッケージ(FF)/価格:355万6300円。PLaYパッケージは各部をお洒落に仕上げたスペシャルモデル。ボディカラーは2トーン標準。4WD(377万6300円)も選べる。e:HEVシステムは1.5リッターエンジン(106ps/127Nm)+モーター(131ps/253Nm)の組み合わせ
ヴェゼルは、ホンダを代表するジャストサイズのクロスオーバー。2024年4月末にマイナーチェンジを実施した最新型は、各部の改良で完成度を一段と高めた意欲作である。グランドコンセプトは「EXPAND YOUR LIFE」。さまざまな生活シーンで、気軽に一歩を踏み出すきっかけになってほしいという願いを込めた。
最新モデルの注目ポイントは、内外装&メカニズムのリファインと、明確な個性を主張する2種の新パッケージの設定だ。
内外装は「more SIMPLE, more CLEAN」をテーマに刷新。エクステリアは水平基調が一段と強調された。具体的にはフロントグリル&バンパー形状見直しと、リアランプのオールLED化を実施。室内はシンメトリー2段センターコンソールと本革巻きステアリングの拡大採用で使い勝手に磨きをかけた。
メカニズムは、主力となるe:HEVのエネルギーマネージメント制御を改善。エンジン始動回数を大幅に低減するとともにアクセルレスポンスの向上を図った。同時にFF車ではダンパー減衰力を再設定しフラットな乗り味を強調。4WD車はトラクションコントロール介入タイミングの見直しで走破性を高めている。遮音材と防音材の効率配置で、静粛性を大幅に向上させたのもポイント。エンジン&モータースペックは従来と共通ながら、開発陣が「徹底的な走り込みで、ぐんとドライブが楽しいクルマになっている」と語るように、ハイレベルだった実力が一段と向上している。
走りは、日常領域のスムーズさとスピードの伸びが印象的。ハイウエイやワインディングロードでは、今一歩、パワーの余裕が欲しいと感じるシーンもあるが、全体として十分に満足できる。静粛性もハイレベル。電動車ならではの静けさは大きな魅力だ。ハンドリングの楽しさと、良好な快適性を含め、ヴェゼルの完成度は抜群に高い。誰が乗っても、気持ちがいいと感じる走りの持ち主である。
最新型は“選ぶ楽しさ”も際立つ。注目は販売主力となるe:HEV車の充実だ。上級のZにPLaYパッケージ。ベーシックグレードのXにはHuNT(ハント)パッケージが新設定された。
PLaYはファッショナブルな印象のスペシャルモデル。従来の独立グレードから、Zベースに刷新することで左右独立オートAC、アダプティブドライビングビームなど装備が充実。駆動方式も4WDが選べるようになった。ボディカラーに2トーンカラーを採用し、明るいグレージュ内装で開放感を高めたのは従来と同様。各部の差し色をブルーとすることで、都会的なイメージを強めたのがポイントになる。価格はベース車比35万7500円高。PLaYはHondaコネクトナビ&ケータイ・ワイヤレス充電が標準。パノラマルーフもopで選べる。
一方のHuNTは、都市と自然を積極的に楽しむユーザーを想定した行動派。アクティブ/カジュアル/ギア感をテーマに仕上げられ、エクステリアはルーフレール、専用16inアルミ、カッパー塗装のフォグランプガーニッシュが標準。室内はカーキ&ネイビーの専用カラーコンビシートを採用する。シートファブリックは、撥水・撥油機能のあるFABTECT素材と凝っており、個性的なインテリアカラーと相まってカジュアル&タフな印象を訴求する。駆動方式はFFと4WD車から選べ、価格はベース車比11万円高。ボディカラーは新色のボタニカルグリーンパールをはじめ全5色から選べる。
魅力をグッと高めたヴェゼル。実車に触れ、改めて「いいな」と感じたのは、クルマとしての基本の確かさだった。ボディサイズは4340×1790×1580〜1590mmと適度ながら、室内空間は驚くほどルーミー。中でも後席のゆったり感とラゲッジルームの広さ、アレンジ性は群をぬく。各部の作りも丁寧で質感はハイレベル。まるでプレミアムカーのような味わいを持っている。もちろんメカニズムはホンダの最先端。e:HEVは魅力的だし、安全支援システムのホンダセンシングも一段と充実した。ヴェゼルは、日常のライフシーンを輝かせるまさに実力派、溌剌とした個性の持ち主である。