ガンバレNISSAN!! 世界が驚いたスーパーパフォーマンス  GT-R栄光の系譜 その2

GT-Rヒストリー02

R32 GT-R Fキマリ大.jpg日産スカイラインGTーR(1989年式) 新車価格:5MT 445万円 3rd・GTーRは16年の空白期間を経て1989年5月に登場(発売は8月)

ツインターボ+4WD!ニュルで世界最速ラップをマーク

 1989年デビューのR32型GTーRは「901」=「90年代に世界一の動質を_」というスローガンの下、開発が始まった。その開発メンバーの一員に加えてもらったことは光栄だった。

 開発の参考車は、FR車で最高のハンドリングとされていたポルシェ9444ターボだったが、すぐに凌駕した。まったく新しい発想と技術を満載した4WD/4WSのコンビネーションがもたらすコーナリングスピードとスタビリティは、当時の常識をはるかに超えていた。​

 最後の仕上げでニュルブルクリンク北コースを訪れた。一般走行枠をちょと走った経験しかなかったボクが、2周目で8分44秒のタイムをマークした。当時のニュルは「9分を切れば一流のスポーツカー」とされていただけに驚いた。強力無比のスタビリティのおかげで、目視情報だけでもかなり大胆に踏んでいけた。これがタイム短縮の秘密だった。

 ボクの前に走ったニュルスペシャリストは8分24秒を叩き出した。これは当時の市販車最速タイムを更新した新記録だった。GTーRのタイムは一気に世界に拡散した。すごい反響だった。

R32 GT-R Rキマリ03.jpg全長×全幅×全高4545×1755×1340mm 車重1430kg 電子制御4WD(アテーサEーTS)と4輪操舵システム(スーパーHICAS)で圧倒的な走りを実現

SP0106_0245.jpgR32型はグループAレース制覇を目指して開発 参戦を始めた1990年は6戦全勝

日産の頂点に成長 異次元の速さで魅了するR35型

 その後、スカイラインのモデルチェンジに伴ってGTーRも変化する。R33、R34へと変わっていったが、基本的には、どちらもR32を基本にした発展型。速く走るための改良が積み上げられていた。R33のボディサイズとホイールベースはかなり大型化された。しかし、これは不評だった。そこでR34はサイズダウン。同時に空力性能も大きくアップした。

 6th・GTーR=R35(現行モデルの初期型/2007年デビュー)は、スカイラインとは切り離され、日産GTーRという独立モデルになった。着任間もないゴーンCEO(当時)の直轄プロジェクトになり、秘密めいた特別開発チームが結成された。ボクにも招集がかかった。

 R32の企画を最初に聞いたときも驚いたが、R35も驚いた。世界初の独立型トランスアクスル式「プレミアムミッドシップパッケージ」を採用し、基本的重量配分や空力性能に徹底してこだわっていた。美しいとはいえないルックスだが、凄みと存在感は認めざるを得なかった。

 ただしデビュー当初の3.8リッターV6ツインターボの出力が480psにとどまった点は不満だった。日産の技術と性能のシンボルとしての地位を担うのであれば、最低でも500psを超える数字がほしいとボクは思ったからだ。現在のGTーRは570㎰を誇る。

 R35型GTーRは速かった。「異次元」と感じ、「怖い」と思わせるほどの速さだった。とくに発進加速は強烈だった。開発は仙台ハイランドレースウェイを中心に、ニュルやアウトバーンを走った。アウトバーンでは最高速度にもチャレンジ。メーターは305㎞/hに達した。

 GTーRといえば、スピード性能に気をとられがちだが、日常走行の扱いやすさ、快適性の確保にも力を注いだ。最終チェックで米国のロサンゼルスからサンフランシスコまでドライブしたが、一般道の流れに乗ったツーリングもストレスを感じず、快適で楽しい旅だった。

 日産ブランドにとってGTーRが果たしている役割は大きい。日産の、そして日本を代表するパフォーマンスカーとして、今後の進化に大いに期待しよう。

CA26J9BN_P22-1.jpg日産スカイラインGTーR(1995年式) 新車価格:5MT 478万5000円 4th・GTーRは1995年1月デビュー 全車17インチタイヤとブレンボ製ブレーキ標準 ニュルブルクリンクのラップタイムは旧型比20秒以上速い7分59秒をマーク

CA26J9BN_P23-1.jpg日産スカイラインGT-R・VスペックⅡ(2002年式) 新車価格:6MT 574万8000円 5th・GT-Rは1991年1月デビュー クロースレシオのゲトラグ製6速MTMT採用

CA26J9BN_P23-5.jpg日産GT-Rプレミアムエディション(2007年式) 新車価格:6SMT 834万7500円 現行R35型は2001年と2005年のコンセプトモデルを経て2007年に登場

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