アウディが新世代プレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)を採用した新型プレミアムミッドサイズSUVの電気自動車「Q6 e-tron」および「Q6 e-tronクワトロ」とハイパフォーマンスモデルの「SQ6 e-tron」を日本で発売。パワートレインや航続距離、充電機構、ドライビングダイナミクス、デザインなどすべてが大幅進化。新たなデジタルステージの電子アーキテクチャーE3 1.2も初採用。導入限定モデルの「Q6 e-tron edition one grey/edition one blue」も設定
アウディ ジャパンは2025年3月25日、新型プレミアムミッドサイズSUVの電気自動車「Q6 e-tron」および「Q6 e-tronクワトロ」とハイパフォーマンスモデルの「SQ6 e-tron」を本年4月15日に発売すると発表。合わせて、導入記念モデルの「Q6 e-tron edition one grey(エディションワン グレー)/edition one blue(エディションワン ブルー)」を計130台限定でリリースするとアナウンスした。
車両価格は以下の通り。
Q6 e-tron:839万円
Q6 e-tronクワトロ:998万円
SQ6 e-tron:1320万円
Q6 e-tron edition one grey:1238万円(販売台数100台)
Q6 e-tron edition one blue:1253万円(販売台数30台)
新型Q6 e-tronシリーズは、ポルシェと共同開発した新しい電気自動車用プラットフォームのプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)と新たなデジタルステージの電子アーキテクチャーE3 1.2を最初に採用するEVモデルで、パワートレインには800Vの主電源システムにパワフルで効率的な電気モーター、革新的なバッテリーと充電管理システムを搭載する、アウディの電動化とデジタル化における次の大きなステップを体現する新世代の電動SUVに位置。また、アウディが本社を構える独バイエルン州のインゴルシュタットの工場で生産する初の電気自動車というキャラクターも有している。
エクステリアについては、長いホイールベースと短いオーバーハングで構成する力強くダイナミックなパッケージによるアウディのSUVデザインの典型を踏襲したうえで、随所に新しいデザイン言語を導入する。基本フォルムは全体的にソフトな形状に、シャープなラインとエッジを配して絶妙なコントラストを形成。アップライトなフロントエンドには、完全に閉じられた立体的な造形のシングルフレームとサイドエアインテークを配して、先進性あふれる印象的なマスクを創出する。また、高い位置に配備したデジタルデイタイムランニングライトがQ6 e-tronシリーズに特徴的かつオリジナリティあふれる眼光をもたらした。一方でサイドビューは、力強い形状でボディ後方へと延びて効果的な緊張感を演出。ウィンドウ自体は車両後方に向かってわずかに細くなっており、緩やかに傾斜したDピラーがボディワークの筋肉質なショルダー部分にエレガントに流れ込んでいる。また、Dピラーとルーフ間に設置した開口部は、車両の外観をよりダイナミックに演出するとともにキャビンをいっそう長く見せる役割を果たす。さらに、リアコンビネーションランプからリアドアへと延びるラインによって、緩やかに傾斜したDピラー下部の“クワトロブリスター”を強調させた。アウディはこのデザインの指針を「テクノロジーの可視化」と呼称する。そして、ダイナミックに絞り込んだリアエンドは、エレガントでスポーティな雰囲気と、力強い造形を巧みに融合。左右を結ぶライトストリップを備えたクリーンで幅広いリアコンビネーションランプも、Q6 e-tronシリーズに先進的かつシックな印象を与えている。ボディサイズはQ6 e-tronが全長4770×全幅1940×全高1695mm/ホイールベース2895mmに、SQ6 e-tronが全長4770×全幅1965×全高1670mm/ホイールベース2895mmに設定した。
▲長いホイールベースと短いオーバーハングで構成する力強くダイナミックなパッケージによるアウディSUVデザインの典型を踏襲したうえで、随所に新しいデザイン言語を導入。基本フォルムは全体的にソフトな形状に、シャープなラインとエッジを配して絶妙なコントラストを形成する。写真はQ6 e-tronクワトロ
世界初のアクティブデジタルライトシグネチャーを備えた点もトピック。Q6 e-tronシリーズには5台のドメインコンピューターを搭載し、その内の1台によって制御されるソフトウェアモジュールにより、この新しいライトシグネチャーを可能とする。フロントライトでは、調光可能な12のセグメントとアルゴリズムの相互作用によってアクティブデジタルライトシグネチャーを作成。一方で第2世代のデジタルOLEDリアライトでは、合計360のセグメントを備えた6枚のOLEDパネルが専用開発のアルゴリズムを使用して10ミリ秒ごとに新しい画像を生成する。また、デジタルOLEDリアライトは路上での安全性を新たなレベルへと引き上げたことも訴求点。今回初めて、特定の目的で車両の周囲とコミュニケーションを取れるよう、コミュニケーションライトを設定する(Car-to-X)。他のアウディモデルに既に採用している近接検知システムの機能をさらに拡張したコミュニケーションライトは、通常のテールライトグラフィックスに加えて、危険な運転状況または交通状況が発生した場合にデジタルOLEDリアライトが警告シンボルをスタティック(静的)テールライトシグネチャーとして表示する機能を組み込んでいる。なお、今回採用したライティングテクノロジーは、カスタマイズの面でも新たな基準を創出。マトリクスLEDヘッドライトのデイタイムランニングライトとデジタルOLEDリアライト2.0には、合計で最大8パターンのデジタルライトシグネチャーを設定し、ユーザーはまったく新しい方法でQ6 e-tronシリーズのライティングをパーソナライズすることを可能としている。
インテリアに関しては、立体的かつハイコントラストな新しい3Dデザインと新世代のデジタルステージを採用したことが注目ポイントだ。アウディMMIパノラマディスプレイとMMIパッセンジャーディスプレイで構成する、いわゆるデジタルステージは、インテリアのデザインコンセプトと完全に統合され、明るく広々としたスペース感覚を創出する。スリムな独立型アウディMMIパノラマディスプレイは、曲面デザインとOLEDテクノロジーを特徴とし、11.9インチのアウディバーチャルコックピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイで構成。運転席エリアは曲線を基調にしてデザインし、ディスプレイがドライバー側に向けて緩やかにカーブする。このディスプレイは、アンビエントライトの効果により、夜になると宙に浮かんでいるように見え、合わせて操作も最適化される。一方で助手席前には、アクティブプライバシーモードを備えた10.9インチMMIパッセンジャーディスプレイを装備。これにより運転中にドライバーの注意が散漫になることを防止し、合わせて助手席の乗員が映画を観たり、ビデオコンテンツをストリーミング再生したり、ドライバーにナビゲーションのルート案内を伝えたり、充電ステーションを見つけたりすることを可能とした。
デジタルステージでは、飛躍的な進化を遂げた拡張現実(AR)ヘッドアップディスプレイをオプション設定したことも注目点。ドライバー前方のフロントガラスに対角約88インチの大きさで映像を映し出し、そこに、速度、道路標識、各種アシスタンスシステムの情報、ナビゲーションシステムのシンボルなどを表示する。拡張現実ディスプレイの機能をさらに高めるために、画像は前方に傾けて配置。ドライバーは表示される情報に簡単に焦点を合わせることができる。また、このプロセスと画像の仮想距離を遠くに設定したことにより、表示されるエレメントが車両から最大200m離れたところに浮かんでいるような印象を演出。そのため、仮想コンテンツは現実世界とシームレスに統合され、ドライバーがイライラしたり、気を散らしたりすることなく、情報を素早く理解することを可能とした。
▲スリムな独立型アウディMMIパノラマディスプレイは曲面デザインとOLEDテクノロジーを特徴とし、11.9インチのアウディバーチャルコックピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイで形成。運転席エリアは曲線を基調にしてデザインし、ディスプレイがドライバー側に向けて緩やかにカーブする。写真はQ6 e-tronクワトロのインテリアで、日本導入モデルのハンドル位置は右
▲拡張現実(AR)ヘッドアップディスプレイをオプション設定。ドライバー前方のフロントガラスに対角約88インチの大きさで映像を映し出し、そこに、速度、道路標識、各種アシスタンスシステムの情報、ナビゲーションシステムのシンボルなどを表示する
キャビン空間自体はアットホームな雰囲気を重視し、“ソフトラップ”と呼ぶトリムはドアからコクピット全体を通ってセンターコンソールにまで広がり、調和の取れた、乗員を包み込むようなスペース感覚を具現化する。シートにもトリムと同様のカラーと高品質な素材を使用し、その一部にはリサイクル素材を配備した。さらに、使用する素材は機能的な観点から選択するとともに、インテリアの様々なエリアの間で明確なデザインの区分けが行えるように設定。快適性を重視したエリアでは広々とした雰囲気を強調した表面と柔らかい素材を用いてデザインし、一方でコントロール類には高品質なハイグロスブラックを採用して、車両との対話に必要な明確さを実現している。スペース自体は新しいPPEの採用により、広々としたスペース感覚と居住性を両立。ロングホイールベースにセンタートンネルがない電気自動車の特徴により、とくにリアシート中央席の快適性が大きく向上する。シート表皮はフラッグシップEVのe-tron GTより導入を始めたレザーフリーマテリアルを採用する、S lineパッケージエラスティックメランジクロス/アーティフィシャルレザー (レザーフリーシート)をオプションで用意し、eモビリティにシフトするアウディの新しいラグジュアリーの姿を提示。エラスティックメランジクロスは100%リサイクルポリエステルから製造された素材をメインとしており、異なる色の繊維が織りなす、表情豊かな素材感が特徴だ。また、ファインナッパレザー表皮のSスポーツシートもオプションで選択可能である。
ラゲッジスペースについては、後席使用時で526リットルの容量を確保。40:20:40分割可倒式リアシートを折りたたむと、最大1529リットルまで拡大する。また、ボンネット下のフランク(フロントのトランク)には、64リットルの収納スペースを設定した。
注目のパワートレインは、パワフルかつコンパクトで高効率な電気モーターに、800Vテクノロジーおよび12のモジュールと180のプリズムセルで構成した新開発リチウムイオンバッテリーを搭載する。後輪駆動のQ6 e-tronは最高出力185kW/最大トルク450Nmを発生するリアモーターに、総電力83kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、一充電走行距離はWLTCモードで569km、0→100km/h加速は7.0秒を実現。一方でQ6 e-tronクワトロはシステム最高出力285kW/最大トルク580Nmを発生する前後モーターに、総容量100kWh(総電力量94.9kWh)のリチウムイオンバッテリーを搭載し、一充電走行距離はWLTCモードで644km、0→100km/h加速は5.9秒を達成する。そしてSQ6 e-tronはシステム最高出力360kW(ローンチコントロール使用時380kW)/最大トルク580Nmを発生する前後モーターに、総容量100kWh(総電力量94.9kWh)のリチウムイオンバッテリーを搭載し、一充電走行距離はWLTCモードで672km、0→100km/h加速は4.3秒を成し遂げた。充電に関しては、3kWまたは8kWのAC普通充電と、ChAdeMO方式のDC急速充電に対応。急速充電では充電レベル(SoC)10%から80%を約35分でこなす。一方、走行距離を延ばす回生システムの改良も実施。日常の制動プロセスの約95%は回生ブレーキによって行い、最大220kWのエネルギー回生を実現した。
パフォーマンスの面では、新設計のフロントアクスルと精密なトルク配分により、俊敏かつ安定した走行性能を実現。コントロールアームはサスペンションアームの前方に配置し、これが高電圧バッテリーのレイアウト最適化に寄与する。また、サブフレームに固定したステアリングラックや洗練されたアクスル構造によって、ステアリングの応答性を向上。さらに、プログレッシブステアリングとフリークエンシーセレクティブダンパーシステムを備えたサスペンションが、快適性と路面追従性をいっそう高めている。
車両のデジタル化をこれまで以上に直接体験することができる電子アーキテクチャーE3 1.2を初採用したことも、Q6 e-tronシリーズのアピールポイントだ。E3という名称は、エンドツーエンドの電子アーキテクチャー(end-to-end electronic architecture)を意味。機能指向のアーキテクチャーは、5台の高性能コンピュータ(HCP:ハイパフォーマンス コンピューティング プラットフォーム)を備えた新しいドメインコンピューター構造に基づいており、インフォテインメントや運転機能から、将来の部分的自動運転に至るまで、すべての車両機能を制御する。演算能力において、これまでで最も高性能なこの電子アーキテクチャーは、ユーザーの要件をスムーズかつ効率的に実現するように設計。より高度なシステムに対応し、モジュール構造をサポートするためにドメインコンピューター、制御ユニット、センサー、アクチュエーターを緻密かつ安全にネットワーク化した。また、E3 1.2はCar-to-Xスワームデータアプリケーションとオフボード(車外)計算機能を実行するための、高性能でシームレスなバックエンド接続機能も実現している。
▲Q6 e-tronクワトロはシステム最高出力285kW/最大トルク580Nmを発生する前後モーターに、総容量100kWh(総電力量94.9kWh)のリチウムイオンバッテリーを搭載。一充電走行距離はWLTCモードで644km、0→100km/h加速は5.9秒を実現
▲SQ6 e-tronはシステム最高出力360kW(ローンチコントロール使用時380kW)/最大トルク580Nmを発生する前後モーターに、総容量100kWh(総電力量94.9kWh)のリチウムイオンバッテリーを搭載。一充電走行距離はWLTCモードで672km、0→100km/h加速は4.3秒を達成
最後に、導入記念モデルの「Q6 e-tron edition one grey/edition one blue」の特徴を紹介しよう。ボディカラーはedition one greyがマグネットグレー、edition one blueがアスカリブルーを纏い、ここにダークヘッドライトハウジングやレッド塗装カラードブレーキキャリパー、デコラティブパネルハイテックメッシュアンスラサイト、ドアエントリーライト“e-tron edition”、専用キーカバーを特別装備。足もとはedition one greyに5アームアエロデザインブラックメタリックポリッシュト&スモークド前9J/後10J×21アルミホイール(Audi Sport)を、edition one blueに5Yスポークダイナミックデザインラックメタリックポリッシュト&スモークド前9J/後10J×21アルミホイール(Audi Sport)を組み込む。また、S lineパッケージやファンクションパッケージ、テクノロジーパッケージ、ラグジュアリーパッケージ、ダークAudi rings&ブラックスタイリングパッケージ (Audi exclusive)を標準で採用した。
▲導入記念モデルのQ6 e-tron edition oneもリリース。写真・右はedition one grey(価格:1238万円、販売台数100台)で、同・左はedition one blue(価格:1253万円、販売台数30台)