【黒木美珠のクルマTALK】Z世代が考察したTOYOTAアルファード&ヴェルファイアPHEV。キーワードは「フォーマルカー/ショーファーカー/環境先進車」

ヴェルファイア・エグゼクティブラウンジPHEV/価格:THS 1085万円。若い世代にとってもアルヴェルは注目の存在。黒木さんは“特別な時間を過ごす”ことにフォーカスした上質な室内は、最上級のもてなしを提供し、誰もが快適に移動できる配慮にあふれていると称賛。今という時代にふさわしい“相手を思いやる”フォーマルカーと評価する

ヴェルファイア・エグゼクティブラウンジPHEV/価格:THS 1085万円。若い世代にとってもアルヴェルは注目の存在。黒木さんは“特別な時間を過ごす”ことにフォーカスした上質な室内は、最上級のもてなしを提供し、誰もが快適に移動できる配慮にあふれていると称賛。今という時代にふさわしい“相手を思いやる”フォーマルカーと評価する

Z世代が「アルヴェル」を素敵と感じる理由

 自動車ジャーナリストを目指して日々活動する中で、街を走るクルマを自然と観察するようになった。そんななか、ひときわ目を引く存在がある。トヨタのLクラスミニバン、アルファードとヴェルファイア——通称“アルヴェル”だ。

 堂々としたボディサイズに、重厚かつ洗練されたフロントフェイス。押し出し感の強いデザインなのに、どこか優雅で落ち着きもある。いわゆる「ファミリーカー」や「送迎車」の枠にとどまらず、このクルマには独特の“オーラ”があると感じている。

スタイル01

後席

 若者はクルマを所有するだけでなく、“誰かをもてなす空間”として捉える感覚が強まる中、アルヴェルの車内はまさに“動く特等席”。シートアレンジの自由度や上質な内装、静粛性の高さなど、すべてが「特別な時間を過ごす」ことに寄与している。たとえば友人同士のドライブ、恋人との記念日、家族とのちょっとした旅行、大切なお客様を乗せる。そうした日常の中に“非日常”を持ち込めるクルマ、それがアルヴェルなのだ。

 この“特別感”は、フォーマルなシーンにおいても大きな価値を発揮している。かつてショーファーカーといえば高級セダンが王道だったと聞く。センチュリー、クラウン、レクサスLS——どれも大人のステータスを象徴するようなクルマだが、今やその座はアルヴェルに引き継がれているようにも見える。実際に私自身、都内でのVIP送迎車としてアルファードを目にする機会が格段に増えている。

フォーマルカーで大切なのは「格式」ではなく「配慮」だと思う

 若い世代の目線でフォーマルカーを見たとき、重要なのは「格式」よりも「配慮」ではないかと感じている。広く、静かで、誰もが快適に乗れる空間。高齢の方でも乗り降りしやすく、静かな車内では気兼ねなく会話ができる。そういった“相手を思いやるクルマ”こそが、いまの時代のフォーマルカーとしてふさわしいのではないだろう。

真横

インパネ

 今回試乗したモデルはPHEV(プラグインハイブリッド)だった。PHEVに対する若者のイメージは、かなりポジティブだ。私自身もギリギリそうだが、Z世代と呼ばれる世代にとって「環境に配慮すること」は特別なことではなく、ごく自然な価値観のひとつだ。

 実用面でインフラにまだ不安のあるEVに比べて、PHEVは“ちょうどいい”という感覚がある。充電だけでなくガソリンでも走れる、というハイブリッドの安心感を残しながら、日常はEVのように静かでクリーンな移動ができる。この“使い分け”こそが、広い世代に受け入れられる理由だろう。

 また、静粛性の高さはアルヴェルの魅力をさらに際立たせている。大きなボディでありながら、発進時にスーッと滑るように走り出し、車内にはほとんど音が届かない。まるでクルマが呼吸を止めたような静けさの中に、確かなエネルギーの流れを感じる瞬間がある。それはまさに、技術と高級感が融合した、これからの高級車の理想形といえるかもしれない。

とくに住宅街では、深夜の移動でも近所に配慮しながら静かに走れるEVモードのありがたさを実感する。こうした“生活目線”で選びたくなる電動車が、アルヴェルのPHEVなのだ。

運転しやすさと最新のサポート機能も嬉しさ満点

 アルファードやヴェルファイアと聞くと、どうしても後部座席の快適性に注目が集まりがちだが、実際にハンドルを握ってみると、運転のしやすさにも驚かされる。「大きくて運転が大変そう」——そう思う人も多いかもしれない。しかし意外にも大柄なボディとは思えないほど取り回しが良く、ドライバーをしっかりとサポートしてくれる。中でも注目したいのが「スムーズストップ」という機能だ。

ドライブ

走り

 運転が上手だと感じる瞬間にはいくつかの要素があるが、その一つに「ブレーキの優しさ」があると私は思う。停止直前にブレーキを少し抜いて、クルマの沈み込みを自然にいなしながら穏やかに止まる。まるで熟練したドライバーが操作しているかのような、そんな止まり方を、アルヴェルのPHEVモデルでは車両がサポートしてくれるのだ。この機能では、ブレーキの踏み方に関わらず、停止時に自動的にブレーキを“抜く”制御が働き、同乗者に優しい停車を実現してくれる。

 誰が運転しても“うまく運転している”と感じさせてくれるドライブ支援技術が備わっているのも、若い世代にとっては大きな安心材料だ。運転経験の豊富な世代に比べれば、どうしても若年層はスキルに差がある。しかし、そうした不安を感じさせない自然なサポートこそが、このクルマの本質的な魅力であり、まさに“配慮の行き届いたクルマ”だと感じさせる大きな要素だ。

黒木さんリア

メカニズム

 若者がクルマに求める価値は、単に移動やステータスではない。これからの生き方や価値観を反映しているかどうかだ。アルファードやヴェルファイアは、ラグジュアリーでありながら、実用性や環境性、そして“人を想う心”を内包したクルマだ。家族や友人を迎えるホスピタリティカーとして、次世代のフォーマルカーとして、そしてサステナブルな移動手段として。すべてをひとつに融合したこのクルマは、いまの若い世代にも強く響く存在だと思う。

黒木さんトメ

【プロフィール】
くろき みじゅ/1996年生まれのクルマ系 YouTuber、自動車ライター、自動車インフ ルエンサー。幼少期からクルマに親しみ、 Super GT観戦や祖母のホンダS2000で のドライブを楽しむ。洗車YouTubeチャン ネルを立ち上げ、車中泊95日連泊の日本 一周旅やメーカー試乗会での新車紹介動 画を制作。クルマの能力だけでなく、作り 手の想いも伝えるジャーナリストを目指す。

SNSでフォローする