独フォルクスワーゲンは9月9日、フランクフルトモーターショー2019開催前日のメディアナイトにおいて、新型EVのID.3(アイディ3)を発表した。
▲フォルクスワーゲンID.3 新世代プラットフォームのMEBをベースとした最初の電気自動車。発売は2020年半ばを予定する。マトリックスLEDヘッドライトなどを大胆にアレンジしたフロントマスクが印象的
ID.3は、フォルクスワーゲンの新世代プラットフォームのMEB(モジュラー・エレクトリック・ツールキット)をベースとした最初の電気自動車である。なお、将来的に発売されるすべてのID.(アイディ)モデルも、このMEBプラットフォームを使った電気自動車になる予定。ゴルフ・クラスの2ボックス車のID.3に続くのはSUVセグメントの「ID.CROZZ」やMPVの「ID.BUZZ」で、さらにセダンモデルやコンパクトクラスのEVを市場に放つ計画だ。
▲四隅に配した大径タイヤや流れるようなボディパネルなどによって新時代の2ボックススタイルを構築。全長×全幅×全高4261×1809×1552mm/ホイールベース2765mm
ID.3のパワーユニットとなる電動モーターはリアアクスルにレイアウトされ、1速ギアボックスを介して後輪を駆動する。アンダーボディに配する駆動用バッテリーは航続距離が最大420kmの58kWhが標準で、ほかに最大330kmの45kWhと最大550kmの77kWhを設定。充電時間については、急速充電器を使用した場合、58kWh仕様では30分以内の充電で約290kmを走行できるという。
▲電動モーターはリアアクスルにレイアウトされ、1速ギアボックスを介して後輪を駆動。駆動用バッテリーはアンダーボディに配置する
エクステリアについては、四隅に配した大径タイヤ(18~20インチを用意)や流れるようなボディパネルなどによって新時代の2ボックススタイルを構築する。各部のデザインにも工夫を凝らし、冷却用グリルを必要としないフロントセクションではマトリックスLEDヘッドライトなどを大胆にアレンジしてオリジナリティあふれるマスクを創出。また、駐車中にドライバーが車外から近づくと"まばたき"するユニークな機能も内蔵する。サイドビューでは、短い前後オーバーハングやダイヤモンド形状の"ID.ハニカム"フォイルを設置したCピラーなどがアピールポイント。リア部では、ダークカラーのガラス製トランクリッドや水平方向に配したLEDコンビネーションランプなどで個性を際立たせた。ボディサイズは全長×全幅×全高4261×1809×1552mm/ホイールベース2765mmで、DIN規格に準拠した最小車両重量は1719kg。また、前面投影面積は2.36㎡、空気抵抗係数(Cd値)は0.267という優秀な数値を実現した。
▲インパネ中央にはさまざまな情報を表示する新開発の10インチタッチディスプレイを装備した
インテリアに関しては、短いオーバーハングやロングホイールベース、そしてパワートレイン系のセンタートンネルがないというメリットを活かし、クラスの新基準となる広くて快適なキャビン空間を具現化する。インパネはスリークかつ実用性に優れる水平基調で構成し、中央には重要なすべての情報を表示する新開発の10インチタッチディスプレイを組み込んだ。また、最新のインフォテインメントシステムやアシスタンスシステムなども豊富に装備している。
▲フォルクスワーゲンID.3 1ST モーターは最高出力150kW/最大トルク310N・mを発生。バッテリーは58kWhタイプを搭載する
ID.3の車両価格はドイツ本国で3万ユーロ(約360万円)を切る見込み。発売は2020年半ばを予定する。また、発売記念モデルとして「ID.3 1ST」を設定。駆動用バッテリーは58kWhタイプで、モーターは最高出力150kW/最大トルク310N・mを発生する。公表最高速度は160km/hだ。
▲ID.3 1STのインテリア。装備バリエーションはベースバージョン、Plus、Maxの3タイプを設定する
ちなみに、フォルクスワーゲンはID.3の公開とあわせて、新しいブランドデザインおよびロゴを発表した。VWの新ロゴはフラットな2次元デザインで構成し、よりクリアでシンプルなアレンジが特徴。デジタルメディアにも適したデザインだ。また、新ロゴにはClear and simple/Flat/Contrasting/Focused/Flexible/Open/Easy to use/Reduced to the essentialsという、フォルクスワーゲン・ブランドの新しい姿勢の意が込められているという。
▲フォルクスワーゲンはID.3の公開とあわせて新しいブランドデザインおよびロゴを発表。VWの新ロゴはフラットな2次元デザインで構成し、よりクリアでシンプルなアレンジが特徴だ