トヨタ自動車は9月17日、カローラのセダンとワゴンを車名とともにフルモデルチェンジし、同時にハッチバックのカローラ・スポーツの一部改良を実施して発売した。通算で12代目となるカローラのセダンは、従来のカローラ・アクシオから「カローラ」の単独ネームに回帰。カローラのワゴンは従来のカローラ・フィールダーからかつてのネーミングの「カローラ・ツーリング」に刷新した。
▲トヨタ・カローラ・ハイブリッドS(2WD) 価格:THS257万4000円 全長4495×全幅1745×全高1435mm ホイールベース2640mm 車重1350kg 従来より95mm長く、50mm幅広く、25mm低く、ホイールベースが40mm長くなった
車種展開は以下の通り。
▲水平基調のコンビネーションランプを採用してワイド感を強調する。写真のボディカラーは新色のセレスタイトグレーメタリック
新型カローラ/カローラ・ツーリングはグローバル共通のTNGA(Toyota New Global Architecture)プラットフォームを活用しつつ、日本専用ボディを新設計し、かつ最新の先進安全機構やディスプレイオーディオなどを採用したことが特徴である。
エクステリアについては、TNGAプラットフォームの採用により低重心なシルエットを実現したことが訴求点。そのうえで、前後のホイールフレアを張り出させてワイドかつダイナミックなスタンスを強調した。各部のデザインにも工夫を凝らす。フロント部はロワグリルフレームを大型台形とメッシュグリルに統一し、さらにヘッドランプの光源をLED化したうえでラウンドを強めた一文字形状とすることで、力強さとスポーティさを表現。W×Bグレードでは、2連続させたJ字形状のクリアランスランプ&デイライトを組み込んで、昼夜を問わず横方向に伸びやかな印象を与える。また、カローラのリア部には水平基調のコンビネーションランプを採用してワイド感を高めた。一方、カローラ・ツーリングのリア部は樹脂バックドアを導入するなどして立体的な造形を創出。後方への抜けのよいウィンドウグラフィックとショルダーラインで構成する伸びやかなサイドビューとともに、精悍かつスポーティなワゴンフォルムを具現化した。
▲インパネを薄型・ワイド化することで開放感を演出。同時に部品の合わせや形状・質感の統一感など感性品質にこだわり、全体のクオリティをいっそう引き上げた
ボディサイズはカローラが従来より95mm長く、50mm幅広く、25mm低い全長4495×全幅1745×全高1435mm、カローラ・ツーリングが85mm長く、50mm幅広く、50mm低い全長4495×全幅1745×全高1460mmと、いずれも全幅によって3ナンバー規格に移行。ホイールベースは2モデルとも従来より40mm長い2640mmに設定する。全長と全幅、ホイールベースについては、日本の交通環境での使い勝手を踏まえてグローバルモデルよりも縮小。また、ドアミラーの取付位置を工夫することでミラー格納時の車幅を従来比で片側+5mmに抑え、さらに最小回転半径(5.0m、16および17インチタイヤ装着時は5.3m)やドア開け幅も従来と同レベルを確保した。
▲トヨタ・カローラ・ツーリング・ハイブリッドW×B(2WD) 価格:THS279万9500円 全長4495×全幅1745×全高1460mm ホイールベース2640mm 車重1390kg 従来より85mm長く、50mm幅広く、50mm低く、ホイールベースが40mm長くなった
ボディカラーに関しては、W×Bグレードに新色のスパークリングブラックパールクリスタルシャインを含めたシックでスポーティな全3タイプを用意し、ホイールやミラーカバーなどをグレーメタリックでコーディネート。一方、G-XとSグレードには新色のセレスタイトグレーメタリックを加えた全7タイプを設定した。
▲リア部は樹脂バックドアを導入するなどして立体的な造形を創出する。写真のボディカラーは新色のスパークリングブラックパールクリスタルシャイン
内装デザインについては、まずインパネを薄型・ワイド化することで開放感を演出したことがトピック。同時に、部品の合わせや形状・質感の統一感など感性品質にこだわり、全体のクオリティをいっそう高める。また、Aピラーを細径化するなどして視界のよさを確保した。さらに、前席にはスポーティシートを設定し、座り心地の向上と後席の有効なニースペースを実現。カローラのW×Bグレードの後席には、トランクスルーが可能な6対4分割可倒機構を内蔵した。カローラ・ツーリングのラゲッジスペースも要注目。荷室床面の高さを2段階に調節できるリバーシブルデッキボードを装備し、使い勝手をいっそうアップ。また、ボードの裏面を樹脂製とし、タフな使い方に対応した。
▲前席にスポーティシートを設定して座り心地の向上と後席の有効なニースペースを実現。後席には6:4分割ワンタッチ格納シートを装備する
装備面では、国内のトヨタ車としては初めてディスプレイオーディオを採用したことが注目ポイントだ。これによりスマートフォンとの連携を可能とし、操作および使い勝手を効果的に高める。また、車載通信機のDCMやサービス機能範囲を拡大したT-Connectなども採用して、ユーザーの利便性をより向上させた。
内装色は、W×Bグレードにブラックとホワイトの2色、G-XとSグレードにブラックのみを組み合わせた。
▲荷室床面の高さを2段階に調節できるリバーシブルデッキボードを装備。また、ボードの裏面を樹脂製としてタフな使い方に対応した
パワートレインは、エンジン排気量を従来の1.5リットルから1.8リットル(2ZR-FXE型1797㏄直列4気筒DOHC、98ps/14・5kg・m)へと拡大したリダクション機構付きのTHSⅡ、1.8リットルのガソリンエンジン(2ZR-FAE型1797㏄直列4気筒DOHC、140ps/17・3kg・m)+7速スポーツシーケンシャルシフトマチック付Super CVT-i、1.2リットル直噴ガソリンターボエンジン(8NR-FTS型1196㏄直列4気筒DOHC直噴ターボ、116ps/18・9kg・m)+6速MT(i-MT)という3機種を設定する。駆動システムにはTHSⅡに2WD(FF)とE-Four(電気式4WDシステム)を、ほかの2機種には2WDのみを組み合わせた。
▲ハイブリッド車はエンジン排気量を従来の1.5リットルから1.8リットル(2ZR-FXE型1797㏄直列4気筒DOHC)へと拡大したリダクション機構付きのTHSⅡを採用する
基本骨格にはTNGAプラットフォームを導入し、さらに運転中の目線の動き、旋回時の姿勢、ライントレース性などドライバーが感じる動きを解析して最適化した専用セッティングの前マクファーソンストラット/後ダブルウィッシュボーンの懸架機構を採用する。ブレーキ制御により内輪に制動力を付与してコーナリングをアシストするACA(Active Cornering Assist)制御も組み込み、安心かついつまでも乗っていたくなるような走行性能を実現した。
安全機能の充実ぶりも、新型カローラ/カローラ・ツーリングのアピールポイントだ。自転車や夜間の歩行者検知が可能な最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備。また、インテリジェントクリアランスソナーやリアクロストラフィックオートブレーキなどを標準またはオプションで設定した。
▲トヨタ・カローラ・スポーツ・ハイブリッドG"Z" 価格:THS282万4800円 全長4375×全幅1790×全高1460mm ホイールベース2640mm 車重1400kg 写真のボディカラーは新色のアティチュードブラックマイカ/エモーショナルレッドⅡのツートン仕様
最後に、カローラ・スポーツの変更点を紹介しよう。まず外装では、ボディカラーにエモーショナルレッドⅡを新設定。さらに、ブラックルーフとの組み合わせのツートン仕様を全3色オプションで用意する。インテリアでは、本革シートに内装色ブラックを追加。また、新型カローラ/カローラ・ツーリングと同様の解析手法でサスペンションを最適化し、走りを一段とレベルアップさせた。
▲乗員をしっかりとサポートするスポーツシートを装備。写真の本革+ウルトラスエード表地(センシャルレッド)はオプション設定