ウエットグリップに定評のあるブルーアース初のSUV用タイヤ
横浜ゴムは2種のSUV用サマータイヤをリリースした。
オンロード用のブルーアースXTと、マッド&スノー規格をクリアしたジオランダーCVだ。
従来はオンロード主体のSUV用にブルーアースRV―02を、オン/オフ両用としてはジオランダーSUVをラインアップしていた。
ブルーアースRV―02は当初ミニバン用に開発されたモデルで、新機種のブルーアースXTはブランド初のSUV専用モデルになる。
▲非対称デザイン採用した新型ブルーアースXT 直進安定性を得るため3本のセンターリブ剛性を高めた点が大きな特徴 215/70R16~235/55R20の全18サイズ 一部サイズは4月発売 設定サイズは今後増えていく 価格はオープン
ブルーアースXTはSUVにマッチする操縦安定性や低燃費、ウエットグリップ向上に力を注いだ。
舗装路のドライ&ウエットに適したサマータイヤとして開発。非対称デザインを採用し、アウト側の横剛性を向上。
トリプルセンターリブと呼ぶ、幅が広い3本の中央リブで高速域の安定性を追求。
横方向の溝やサイプはすべて非貫通にしてブロック剛性を高めた点が特徴だ。
▲専用開発パターンとゴムの効果でジオランダーSUV比ドライ制動8%短縮/ウエット制動16%短縮/パターンノイズ7%低減/通過騒音11%低減/転がり抵抗9%低減 ラベリング制度の転がり抵抗とウエットグリップは全18サイズがAーaをクリア
コンパウンドは2種のシリカを混合。新分散剤によりシリカの凝集を防ぎ、アートミキシングと呼ぶ新世代混合技術で低燃費とウエットグリップの両立を図った。
ラベリング制度の転がり抵抗とウエットグリップは全18サイズがA―aをクリアする。
▲アウト側ショルダー部は横に長いブロックでコーナリング剛性を向上
▲イン側ショルダー部は細い縦溝を刻んでブロック剛性を最適化
パターンやコンパウンドの開発手法は18年に登場した乗用車用ツーリングタイヤ、ブルーアースGTに近い。
剛性が高く、しっかりした走りが特徴のブルーアースGTをベースに、SUV用にチューニングしたのだろうか。
オンロードのハイレベルな性能を徹底して追及
225/55R18サイズのブルーアースXTをシトロエンC5エアクロスSUVに装着して試乗した。
走り始めてまず感じるのが静粛性だ。
さまざまなSUV用タイヤが登場している中でも、ブルーアースXTはそうとう静かなタイヤといえる。
▲非貫通の横溝や5ピッチバリエーションでノイズを分散した効果によりパターンノイズは小さく抑えられる 乗り心地はソフトでフラット感あり
乗り心地は快適。柔軟性に富むシトロエンとの組み合わせによる部分もあるが、タイヤ自体にも、しっとりした当たりの丸みを感じる。
▲接地面は丸く仕上げて乗り心地を改良 センターリブを太くして高速直進性を向上 横溝は貫通させずパターンノイズを抑制
マウンド・プロファイルと呼ぶ接地のラウンド形状がしなやかさを生み出すのだろう。
センターフィールはしっかりしており、高速直進性は良好。横風などに乱されにくい。
▲路面への当たりはマイルドでコンフォート指向 シトロエンとのマッチングは良好 足回りの固さやゴツゴツ感を低減したいSUVにマッチ
直進から微少舵の応答は遅れがなく自然なフィール。レーンチェンジやインターチェンジのコーナリング時にも弱さを見せず支えてくれる。
走りと乗り心地がハイレベルで両立し、ウエットグリップはラベリング制度の最上位"a"という、オンロード指向のSUVにとってある種の理想的な特性にまとめ上げてある点はさすがだ。
▲スポーティな特性ではないがコーナリング時の手応えや挙動はしっかり 重いSUVにマッチした剛性を備えており安心感は高い
SUV用タイヤは、従来のクロスカントリー4×4用から発展したモデルが多く、マッド&スノー規格を捨てきれず、舗装路の性能が中途半端になりがちだ。
一方、最近のクロスオーバーSUVは、ユーザーの使い方に合わせてオンロード専用の純正タイヤを装着するケースが増えた。
しかしリプレース用では、いまなおオンロード専用SUVタイヤの選択肢は少ない。ブルーアースXTは貴重な存在といえよう。
マッド&スノーはクリアしていないため、降雪時期は事前に冬タイヤに履き替える必要がある。その点だけ注意すれば最高のサマー性能が手に入るわけだから、ブルーアースXTを選ぶ価値は高い。
▲ラベリング制度のウエットグリップは最高グレードの"a"を全サイズがクリアする 雨が多い時期にも安心して走れるタイヤだ