新発売されたグッドイヤーのオールシーズンタイヤ、ベクター・フォーシーズンズGEN‐3のドライ&ウエット性能をレポートしよう。
グッドイヤーのオールシーズンタイヤは1977年に世界に先駆けてデビュー。以来、長年の実績と人気がある。
日本では欧州で開発されたベクター・フォーシーズンズを販売中だが、今回GEN―3(ジェネレーション3)と呼ぶ新型が加わった。従来のベクター・フォーシーズンズ・ハイブリッドはスタンダードモデルとして併売するという。
新型は文字通り第3世代のベクター・フォーシーズンズだ。欧州ではGEN―2があったが、日本では2016年にベクター・フォーシーズンズを国産化、ハイブリッドと命名して国産車対応サイズの拡充を図ったため、GEN―2は輸入されなかった。
最新のGEN―3は回転方向指定型のⅤ字溝を継承するものの、スマートなデザインに進化。ブロックを細分化してエッジを増やす一方、溝を細くして接地面内のブロック比率を引き上げ剛性のバランスを取った。2009年デビューのベクター・フォ―シーズンズのデザインは溝が太く深く、スノータイヤに近い印象で、新型と見比べると隔世の感がある。
新型はもちろん最新のコンパウンド技術を駆使し、スノー性能を向上。よりシビアな冬性能の基準であるスノーフレークマークを獲得。冬季性能も期待できるが、今回はドライ&ウエット性能を試した。
まずトヨタ・カムリでウエットブレーキの新旧比較を実施。60㎞/hからの制動距離は旧型が19m、新型は17・1mと1.9mの差がついた。
新型GEN―3はSUV用もラインアップする。従来のSUV用アシュアランス・ウェザーレディとのウエットブレーキ比較をトヨタ・ハリアーで行った。新旧の制動距離差は1.4m。ウェザーレディは比較的新しいタイヤだが、GENー3のウエットグリップはさらに高い。
次に新旧モデルをスラロームで試す。試乗車は日産リーフ。旧型はロールが大きくトラクションも抜けやすい。新型は変形が小さく、タイヤ骨格部分の剛性がアップして、狙ったラインをスポーティに走れることが把握できた。
一般道の新旧比較はVWゴルフとマツダCX‐5で実施。旧型はパターンノイズが聞こえがちで、ロードノイズも大きめだが、新型は静粛性がグッと高まり上質だ。
乗り心地にも違いは明確に表れる。タイヤが重く感じる旧型に比べて、新型の走りは軽快。ソフトだが振動の減衰に優れており、揺れが乗員に伝わらず、すっきりと走れる。
最後に一般道と高速道路をメルセデスCクラスとホンダ・シビックで走行した。新型は走りと乗り心地のバランスでいえば、わずかに乗り心地指向だ。荒れた一般道でも優れたフラット感を発揮し、凹凸の吸収性は抜群。極めて快適に走れる。
高速道路はそつなくこなすタイプ。骨格部分の剛性が高まりライントレース性を発揮する。センターフィールは夏タイヤと比べたら、あいまいさは残る。このあたりはオールシーズンタイヤの特徴であり、多少の慣れを必要とする部分ではある。
夏タイヤと変わらないイメージで走れ、年間を通じて急な天候の変化にもあわてず対応可能なオールシーズンタイヤだ。次回は雪氷路性能をメインにレポートしよう。