グッドイヤー、公道走行が承認されたサステナブル素材90%のデモタイヤを発表

  グッドイヤーは、公道走行が可能なサステナブル素材90%のデモタイヤを発表した。今年2023年にはサステナブル素材70%のタイヤの量産および販売も予定している。

タイヤの写真

▲GOOD YEAR サステナブル素材90%のデモタイヤを発表

 このデモタイヤは従来の素材で作られた比較用タイヤと比べ転がり抵抗が低く、より優れた燃費と二酸化炭素排出量の削減をもたらす可能性を示唆している。またグッドイヤーの社内テストとともに、公道走行を可能にするために適用されるすべての規制テストに合格済のタイヤだ。

今回のサステナブル素材90%のタイヤはデモタイヤとして開発されたタイヤだが、グッドイヤーが高レベルのサステナブル素材を使った消費者向けタイヤを製造する技術と能力があることを証明したとも言える。

グッドイヤーはサステナブル素材への移行を進めており、2022年1月にサステナブル素材70%のタイヤ開発成功を発表。現在8つの商品ラインと一部のレース用タイヤに「大豆油」が使用されているほか、2018年以降、コメの加工の際に廃棄されていた「モミ殻シリカ(RHAシリカ)」を活用したシリカの使用量は2倍以上になっている。そして今年2023年には、サステナブル素材70%のタイヤの量産および販売を開始する予定だ。

デモタイヤ  トレッド部

▲サステナブル素材90% デモタイヤ トレッド部

■クリス・ヘルセル氏(グッドイヤー上級副社長 グローバルオペレーション&CTO) コメント
「私たちグッドイヤーは、2030年までに業界初のサステナブル素材100%のタイヤを導入するという目標に向けて順調に前進し続けています。昨年は、この目標を達成するための極めて重要な年でした。私たちは新しい技術を研究し、コラボレーションをさらに強化しました。チームの粘り強さもあり、サステナブル素材90% のタイヤを生産する能力を実証するだけでなく、今年は、サステナブル素材最大 70% のタイヤを生産・販売する見通しも立ちました。私たちのチームは、より良い未来(BETTER FUTURE)を築くためのイノベーションとコミットメントを引き続き示していきます。」

グッドイヤーのタイヤのアップ写真。BETTER FUTUREのロゴ写真

▲サステナブル素材とは・バイオベース/再生可能なリサイクル素材・資源保護/排出削減を可能にする製造工程で作られるマスバランス素材の総称だ

 このサステナブル素材90%デモタイヤは、12にわたるタイヤ構成要素と17の特徴的な成分から成り立っている。

タイヤのコンパウンド補強や寿命向上のために配合される「カーボンブラック」は、従来さまざまな石油製品を燃やして作られてきた。今回のデモタイヤでは、メタン、二酸化炭素、植物由来の油、使用済みタイヤの熱分解油原料から作られる4種類のカーボンブラックを使用。炭素排出量削減、循環性の向上、およびバイオベースの炭素を使用しながらも一定の性能を発揮することを目標にしている。

極端な温度変化の中でもコンパウンドの柔軟性を保つのに役立つ性質をもつ「大豆油」。デモタイヤに使用された大豆油はバイオベースの資源であり、グッドイヤーの石油系製品の使用量を削減。大豆タンパク質のほぼ100%が食品や動物飼料用途に使用されているが、かなりの余剰油があるため産業用途に使用できるという。

「シリカ」はタイヤ製造に頻用される成分で、グリップ力の向上や燃費低減に寄与している。デモタイヤには米の加工時に出る副産物で、廃棄され埋め立てられることが多い籾殻廃棄物残渣(RHAシリカ)から生成された高品質のシリカが含まれている。

ラジアル構造のタイヤにおいて強度を補強する役目を担うビードワイヤーとスチールコードには、電気アーク炉 (EAF) プロセスを使用して製造された高リサイクル率の鋼のビードワイヤーとスチールコードを使用。EAFプロセスを利用することで、エネルギー使用量を削減しリサイクル含有量を高めて鋼を生産することが可能になり、高炉を使用して生産された鋼と比べて温室効果ガス排出量が少ない可能性があるという。

他にも、リサイクル素材を使用した「ポリエステル」や、松の木の「樹脂」国際持続可能性カーボン認証(ISCC)を受けたバイオおよびバイオ循環原料からのマスバランスポリマーなども含まれている。

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